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異界人とギルドとカルガモ2

 トントン、少々控えめにドアをノックする。


「おーじさーん」


「まだ休んでるんですかねー」


「珍しい程に吸血鬼としての弱点がある方でしたものね」


 出てこないな。やはりまだ寝ているのだろうか?

 三人でボソボソと話していると、小さな軋み音を上げてドアが開いた。


「………おじさん、寝てていいよ」


 顔を覗かせたおじさんの顔ときたらもう尋常じゃない顔色だった。

 土気色とかいうレベルを超えている。

 今にも死にそう、いや死なないのだがおじさんの特性として苦しいのはやはり苦しいだろうしせめて一思いに楽にしていて欲しい。


「……いえ、いつもよりは……大丈夫です……」


 のそのそと這い出てくるがヨロヨロしている。こりゃあかんわ。


「いやいやいや、寝てて大丈夫ですって!」


「いえ、でも……」


 問答していると部屋を興味深そうに覗き込んでいたウルトが呑気な声をあげた。

 ウルトの下で同じように覗き込んでいるフィリアも微妙そうな顔である。

 双子かお前ら。行動原理が同じすぎだろ。細かなポーズまで寸分の狂いもなく同じだ。


「うーん。クーヤちゃん、アッシュさんにこの部屋は逆に駄目なんじゃないかなー」


「そうですわね……。迂闊でしたわ。端の部屋は窓が多いのですわね……」


「え?」


 ウルトとフィリアの更に下から同じように覗き込む。

 三つ連なって見事な団子であろう。


「うわ」


 普通の人間であれば当たりの部屋だろう。が、おじさんには拷問だろコレ。

 燦々と降り注ぐ日差し。朝日に照らされた部屋は眩しい程に白い壁が輝いている。

 むしろおじさんが焦げていないかを心配した方がよさそうだ。


「アッシュさん、身体は大丈夫ですの?」


「……少し、火傷が」


「こちらへいらっしゃいまし。治癒魔法を使いますわ」


「……迷惑をお掛けして……すみません」


「気にしなくてもいいですわ。………それと、アッシュさん。言っておきますけれど、これは少しの火傷ではなく重度の火傷というのです」


「はあ……すみません……。これぐらいは頻繁にあるので……」


 ……割と焼け爛れている。これはいかん。

 それと頻繁にあるなんて言わないで欲しいのだが。


「凄いですねー。冷やします?」


「直接は駄目ですわ。小さな氷を沢山作ってくださいまし」


「面倒ですけど美しい女性の頼みとあらば仕方ないですねー」


 治療を横目にぱらっと本を捲る。

 何かないのか?見ていて不憫だ。痛みに呻く様子もないのが特に。


「いつもよりは……痛みは無いんです。

 何故でしょう……」


「そうなんですの?」


「……はぁ……自分でも不思議なんですけど…」


「ん?………あー」


 おじさんの言葉に少し考えてからポンと手を打つ。

 そういやそういう加護を付けたブレスレットをあげたのだった。

 それなりに役立っているようである。よしよし。

 あとはこの太陽への弱さを何とかしたいのだが。

 カテゴリは安定の加護と干渉。


「………」



 商品名 魂の変質

 魂が持つ特質や特性、魂に定められた運命を書き換えます。

 下手に核に近い部分を弄ると消滅、あるいは全くの別人になってしまう可能性があるので購入の際には注意が必要。



「ほげぇ」


 変な声が出た。なんじゃこりゃ!?

 たっか!しかも消滅とか!

 こんなのしかないのか?もっとこう、ソフトな奴とかさ!

 更にページを捲る。



 商品名 アカシャ年代記干渉

 カルマを無視し、因果律を消滅させます。

 対象は消滅させる因果に見合ったものを背負うので購入には注意が必要。



「うへぇ」


 言うまでも無い。次だ次。



 商品名 運命係数操作

 魂の運命係数の天秤を操作します。

 対象の数値を減らすと対象の関係者の分が増えます。

 増やすと逆に減ります。思わぬ作用をもたらす事がままあるので購入には注意が必要。



「………」


 注意書きが付いた奴多すぎだろ!?

 この本の事で注意書きなんて初めて見たわ!

 恐らく、いや、絶対に危険だ。

 断言していい。

 これは駄目だ。下手に買わないほうがいい。つーか買えない値段だけど。

 ……おじさんの日光への弱さってこういうレベルの代物なのか?

 こんなのしか出ないとは相当だ。しかしなぁ……。


「そうだ!」


「どうしましたの?」


「思いついたのだ!」


 あのロウディジットの街での事を思い出す。

 そうだ。太陽光の中、逃げる時にシーツに日除けの加護をつけて渡した。その時は確かに日光が大丈夫だったのだ。

 体質に関しては正直どうしようもない、だが抜け道はある。そういう事だ。

 ブレスレットもそうだ。痛覚緩和もきっちり効いている。やりようはある。

 まずは道具だ。何か適当な加護をつける奴。それなりに良いのがいいだろう。となると本で出した方が良い。買いに行ってもいいが探すのに時間が掛かりそうだ。

 ペラっと捲る。生活セットである。



 商品名 ドラキュラセット

 ドラキュラのコスプレが出来る。

 ハロウィンにどうぞ。



「………」


 これは、ちょっと。可哀想。この格好で出歩くのは最早罰ゲームだろ。

 更に捲った。



 商品名 ドラキュラコート

 仕方ないですね。



「…………」


 まぁ、マシ、か?

 パンクなのかゴシックなのかロックなのか耽美なのか。

 赤の表地と黒の裏地、あちこちに付いた無意味なベルト、兎にも角にも派手なコートだ。

 つーかなんだこの商品説明。私が文句をつけたせいか?いいけど。

 さくっと購入。


「何ですかそれ?」


「ドラキュラコート?」


「派手ですわね」


「言うな」


 そこは我慢して欲しい。

 再び加護と干渉へ戻る。



 商品名 暗黒の欝

 服に付ける永久加護。着ている対象の存在時間軸を常に夜にずらす事で太陽光から完全に遮断します。

 朝日なんて昇るな昼の世界なんて糞食らえ世界なんて明日には滅べな気分のあなたに。



 ……まあ、いいか。

 商品説明はアレだが。

 やはり高いが購入だ。



「おじさんこれあげるー」


 突き出した。

 おじさんは青い顔でぶるぶると首を左右に振った。

 気持ちは分かるが我慢して欲しい。


「それは、ちょっと、いくらなんでも私には、若すぎるといいますか」


「いいから着るのだー!」


 ぐいぐい押し付けた。

 なんとも悲壮な顔で見てくるがしょうがないのである。


「これを着るとおじさんでも太陽が平気になるようにしておいたから着るのだ!」


「………はぁ……」


 半信半疑って顔だ。

 そりゃそうだろうけど。

 諦めた顔でごそごそと袖を通している。

 うん、似合わないな。ちょっと可哀想な事をしてしまったかもしれない。


「……夜になったんですが」


「え?昼ですわよ?」


「ははは。そういうコートですか。クーヤちゃんは凄いですねー」


 夜になった?確かにそんな事が書いてあったが文字通りの意味であったらしい。

 行き成りは怖いのでちょっと試してみよう。


「おじさん、ちょっとここ、日向にさ、ほんのちょっとだけ、ほんのちょっとだけつま先だしてよ」


「え?あ、はい。そこって日向なんですか?」


 ほんのちょっとと言ったのにおじさんはがっつり突っ込んできてしまった。

 怖いからやめてください!おじさんはもっと自分を大事にすべき!


「……平気ですね……。本当に日向なんですか?」


「おおー」


 フィリアも目を丸くしている。

 ウルトはいつも通りだが。


「これで行けそうですねー」


「そうですわね……驚きましたわ……」


「………」


 おじさんが一番驚いているな。

 でもまあこれで太陽光に怯える必要はないわけだ。

 オッケーオッケー。


「その、クーヤさん。……有難う、ございます」


「う、うむ」


 真剣な顔で礼を言われるとなんだかこそばゆいぞ。

 いかん、逃げよう。


「ぬおおお……!かゆい!ギルドに行くぞー!」


「あっ!待ってくださいまし!」


「クーヤちゃん行き成りだなー」


「あ、え、と、待ってください、私も行きます……!」


 いざいかーん!




「どこだっけ?」


「知らずに走ってましたの!?」


「まぁ」


「全く……あちらですわ」


「ふぁーい」


 不覚であった。この私ともあろう者がカルガモの子の後を付いていくとは。

 やはり事前準備は大事である。

 てくてくと付いて歩いてやがて一つの建物の前でフィリアは立ち止まった。


「ここですわよ」


「ほほう」


 なにやら賑わっている。

 ここがギルドか。

 どれどれ、一つ覗いてみようではないか。

 ガヤガヤとしたロビー。

 これが冒険者って人達か。あの荒野のギルドとは全然違うな。

 一緒にするのも悪いレベルである。


「いらっしゃいませ!」


 受付のおねーさんも朗らかだ。

 あの酒場にはスキンヘッドの強面おっさんが居るだけだったからな。


「ご用件はなんでしょうか?」


 朗らかなのは良いが私を無視している。というか多分気づいてないな。

 クソッ!カウンターが高いんだ!ピョコンピョコンと飛び跳ねるが全然駄目だ。


「あはは、僕らじゃなくてこの子なんですよ」


「え?」


 おねーさんはきょとっとした顔でこちらを見て、慌てたように叫んだ。


「ご、ごめんなさいね!貴女にお姉さん気づかなかったの!

 えーと、どうしたのかな?なにかご用?」


 何だかお子様に話しかけるような、……合ってるな。反論のしようがないので黙っとこう。


「連絡を取って欲しいギルドがあるのです」


「他ギルドに?どこかな?」


「えーと、ローズベリーギルドです」


「……えーと、間違えてない?」


「あってますー!ローズベリーです!おいしい紅茶なのです!」


「は、え?ええ?」


 おねーさんは益々挙動不審な動きを見せるばかりである。


「えーっと、あのね、ごめんなさい。そんなギルドはないのよ?」


「ありますわーい!」


 信用されてねぇ!

 しかしそういやあの店主があのギルドは普通は知られていないと言っていた。

 いかん。このおねーさんはマジで知らないのかもしれない。


「仕方がないですわね……。申し訳ありませんが、かの地に連絡していただける?

 私ならばよろしいですわよね?」


 良いながらフィリアが何やら取り出しておねーさんに見せる。何だ?身分証明書か。


「え?………って、フィリアフィル様ですか!?

 す、すみません!少々お待ちください!」


「……納得いかねぇー!」


 走ってどこぞへ消えたおねーさん。

 何か釈然としない。クソッ!

 やっぱり知ってたんじゃねぇか!


「仕方ありませんわよ。本来は貴女のような子供が行って良い場所ではありませんもの。

 少しでも良心があればまず断りますわよ」


「ぐぬぬ……」


 治安が恐ろしく悪い暗黒街なのは確かなのでそう言われると強くも言えない。

 おのれ。


「凄いですねコレ」


「………凄い人ですね……」


 ウルトとおじさんはまったりとギルドの雰囲気を楽しんでいるようだ。

 ……しかし、さっきから気になっていたのだが。


「めっちゃ見られてね?」


「そうですねー」


 見られている。それもウルトが分かるレベルで。

 何でだ、考えて気づいた。間違いない。隣に立っている公然猥褻物のせいである。


「なんですの?」


「……何でもない」


 勇者バーミリオンも最初はこうだったのかもしれないな。

 オヤツになった彼に遠く思いを馳せる。

 そういやフィリアは正気を疑うレベルの痴女服だった。慣れって怖い。


「お待たせしました!」


「お」


 フィリアの痴女服を見ていると受付のおねーさんが戻ってきた。

 改めてみると耳が獣耳だな。亜人って奴だろう。


「こちらへどうぞ」


「ふぁーい」


 案内されるままにおねーさんへと四人で付いていく。

 奥の部屋のようだ。まぁ聞かれたくないのだろう。


「マスター、お連れしました」


「あ、はーい」


 間延びした声だった。

 女の人、だろうか。

 ぴょこりと顔を覗かせると女の人、いや、女の子と言って良いな。

 ぎこちなく笑った。


「ど、どうも。私の名前は櫂野綾音です。このギルドの総括を勤めてます」


「ほほう。どうもどうも。私はアヴィスクーヤです」


「ウルトです」


「フィリアですわ」


「え?おじさんです?」


「正式名称を名乗れよお前ら!」


 何なんだその適当さ!

 おじさんが一番酷いぞ!

 綾音さんも困ってるじゃないか!

 綾音、綾、ん?


「異界人ですか?」


「はい。異界から流されてきました」


「………おー……」


 ぱかーんと口を上げて見上げる。

 女の子だ。普通の女の子だ。

 肩口までの茶色っぽい黒髪、茶色っぽい目玉。

 中肉中背、少々胸が寂しいか?若いから希望を持て。

 黒縁のメガネを掛けている。むむむ、クラスの地味っこ担当だな。

 どれどれ、ステータスは……。



 名 櫂野綾音


 種族 異界人

 クラス 多重次元存在者

 性別 女

 B:73 W:52 H:81



 ふーむ、普通だな。

 ちっちゃいけど。せめてもの情けにどことは言わないが。

 多重次元存在者……異界人だからだろうか?

 よくわからん。いっぱい居るってことか?もしくは異界とこちらで両方に居るとか。

 その辺の人よりは強いが、ステータスも普通……が、私の目は最近アテにならない。信用できないな。

 恐らく彼女もまた異界人特有のスキルとやらがあるのだろう。見ようと思えば見れるのだろうがあれをやると首がやけに苦しいのでやりたくない。その先に行くべからずとばかりなのである。


「それで、ローズベリー支部に連絡が取りたいとか」


「あ、はい」


「中へどうぞ」


 招かれるままに部屋へと入る。

 うむむ、書類の山である。

 あと巧妙に隠されているがお菓子がいくらかあるな。

 女子の嗜みなのだろう。


「それで…まずですね。最近、ローズベリーの方から連絡が入ってるんです。

 女の子を保護してくれって。もしかしたら貴女の事でしょうか?」


「え?」


「三つ目で黒くて長い髪の毛、10歳に満たないくらいの幼子。一番大きな特徴として変人。多分貴女の事かな、と」


「まてーい!その結論は不服である!訂正を要求する!」


 変人!?それは私の事ではない、断言するぞ!!


「やっぱり貴女の事ですね」


 何故そこで納得する!?


「クーヤちゃんですね」


「クーヤさんですわよ」


「……すみません、そうとしか思えません…」


 な、なにぃ!?

 馬鹿な!?


「何を言うんだ!私は変人じゃないわーい!」


 全員あさっての方向向いてやがる!クソッ!裏切り者どもめ!


「あの、伝言を預かってるんです」


「なんでしょう」


 向き直った。

 間違いなく私ではないが伝言と聞けば聞くのもやぶさかではない。


「えーと、マリーベルさんからです。……わたくし達はここから出られないの。申し訳ないけれど代わりの迎えを寄越すから彼らについてきて頂戴。

 ……ですね。誰か迎えが来るそうですよ。じゃあこの街に居るって伝えておきますね」


「やったー!」


 流石はマリーさんだ。先んじて言伝を残すとはこの女心を弄ぶ達人め!

 しかし迎えか。誰であろうか?この言い方から察するにあの三人の誰でもないということだろう。


「じゃあ暫くはこの街に居ることになりますわね」


「そうですねー」


「この街からあのギルドへ行くには船になると思いますよ。

 準備しておいた方が良いと思います。お金も掛かりますから」


「そうですわね……。クエストでもこなして待っておりましょうか」


「ギルドからもお願いいたします。フィリアフィルさんなら高レベルクエストもこなせますから」


「………いえ、それはどうでしょう」


「え?」


 ……聖女時代の話だもんね。

 まぁウルトも居るし何とかなるだろう。

 かくして暫くの間、この街にてクエストやりつつ待つことになったわけだが。


「ウルトとおじさんも登録する?」


 話はそこからである。


「よくわからないですけど面白そうですね。やってみましょうか」


「……はぁ……そうですね。クーヤさんに迷惑を掛け通しですから…自分の生活費くらい何とかしないと……」


 ウルトは兎も角おじさんは実にリアルな理由だな。

 別に構わないのだが。


「ではこちらの紙に記載をお願いいたします!」


「わかりました。美しいお嬢さん」


「……これですか?」


「はっ、はい!美しいだなんて……こ、これに書いてくださいね!」


 あの勇者顔、ロリコンの癖に女たらしてやがる。生意気な。

 まあいい。フィリアと二人で色々具が挟まれたバゲットでも食いつつ待つか。


「終わりましたよー」


「あの、どうぞ」


「はい!それではご確認をさせて…………あの、お二人ともとても古い字を書かれますね。

 その、少々、お待ちください。直ぐに解読してまいります」


 年寄りか。

 もりもりと食べながらクエストボードとやらを眺める。


「ふむふむ」



 依頼者 トーマス

 内容 ドライガードの採取

 最低20本納品

 受注条件 なし



 依頼者 ハーミット

 内容 安眠枕の製作

 依頼者の満足いく品であること

 受注条件 なし



 依頼者 ハバギリ

 内容 トレジャーハント

 アスカナ王国由来の品であること

 保存状態良好が望ましい

 受注条件 トレジャーハント系クエスト達成5件以上



「へぇ……」


 あのギルドとは大違いだ。

 まともだ。

 全部C級か。よくわからん。一番よくわからんのは安眠枕だが。

 気持ちは分かるがギルドに出す事かこれ?


「すみません!ただいま戻りました!

 それではこちらの石版に手をお当てください!」


 お、どうやらもう終わりそうだ。バゲットも食べてしまったし見に行くか。

 フィリアと二人でカウンターに近づいて覗き込んだ。


「んー、よくわかんないですけど。こうですか?」


「はい!それでは少々お待ちくださ、くだ、く」


 おねーさんは卒倒してしまった。

 石版を横から覗き込む。



 名 ウルトディアス


 種族 神竜種

 クラス 青

 性別 男


 Lv:1500

 耐久力 C

 魔法力 D


 体 D

 魂 B

 特 B



 炉:

 耐:水精霊無効 状態変化キャンセル 魔法キャンセル 寒冷耐性



「なんじゃこりゃ。全然違う」


 私が見ているのとローズベリーにあったのとも違うぞ。

 炉の部分にはなにやら青くて短い棒と黒の長い棒が居る。視覚的だな。


「あの街のを使いましたの?石版は複製する際にかなり劣化具合に差が出るのですわ」


「へぇ」


 ローズベリーのはかなり私のに近かったが。

 カウンターによじ登るようにして手をむにっと置いてみた。



 名 アヴィス=クーヤ


 種族 異界人

 クラス 異界人

 性別 女


 Lv:1

 耐久力 S

 魔法力 S


 体 S

 魂 S

 特 S



 炉:

 耐:全精霊消滅 闇魔力吸収 状態変化無視



「おー」


 ちょっと違うな。耐性もちょっと違うし。

 炉の部分には……何だこりゃ。変な感じになっている。

 しかし軒並みSなのはどういうわけだ?

 ウルトはBとDのオンパレードだったのに。


「……これ以上は無いほどに上がりきっている、つまり成長の見込みが無いという事ですわ」


「………」


 聞かなきゃよかった。

 おじさんも恐る恐ると石版に手を置く。



 名 アルカード=アッシュ


 種族 魔族

 クラス 吸血鬼

 性別 男


 Lv:32

 耐久力 A

 魔法力 B


 体 A

 魂 A

 特 B



 炉:

 耐:


 ぬ、おじさんは私の仲間だな。

 成長の見込みがあんまりなさそうだ。

 しかし耐性無しって不幸な。不老不死なんだからそこは色々持っとこうよ。

 きついだけじゃないか。炉は……無いな。すっからかんだ。ちょっと黒い棒が居る。あとは特に無い。

 ……しかしおねーさん起きないな。

 ウルトのステータスがショッキング映像なのはわかるが。

 仕方が無い、四人でクエストボードでも眺めるか。

 既に後がつかえているが知ったことではないしな。

 バゲットをもう一個買ってジュース買うか。



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