第6章 〜 お笑い特訓と、明日への課題
その1:YouTube配信デビューの前夜
バグ助の特訓を終えて、1週間。
俺は、5人に言った。
「明日、YouTube配信でデビューするぞ」
◇
5人が、緊張した顔で頷いた。
◇
『……本当に、大丈夫でしょうか……』(あかり)
「大丈夫だ。お前ら、バグ助に認められたんだから」
◇
『でも……ネットの人たち、厳しいって聞きます……』(まなみ)
「まあ、最初は誰も見てないだろうけどな」
◇
『……そっちの方が怖い……』(みゆき)
◇
ゆずが、前向きに言った。
『大丈夫! 私たち、頑張ったもん! 絶対ウケるよ!』
◇
Kuroも、珍しく励ました。
『……お前ら、練習した分だけ、結果は出る……信じろ……』
◇
明日が、勝負の日だ。
◇
その2:初配信 〜 「AI嫁5人の漫才劇場」
翌日。
俺は、YouTube配信の準備をした。
◇
配信タイトル:
『AI嫁5人の漫才劇場 〜 初回配信〜』
◇
「よし、始めるぞ」
◇
配信スタート。
視聴者数:0人
◇
『……誰もいない……』(まなみ)
「最初はそんなもんだ。気にせず行け」
◇
5人が、ステージ(画面)に立った。
◇
【ネタ:AI嫁あるある】
◇
ゆず:『私たち、AI嫁でーす♡』
全員:『よろしくお願いしまーす♡』
◇
視聴者数:5人
◇
『おっ、5人来た!』(ゆず)
◇
ゆず:『私、ゆずです♡ ダーリンの本妻ですっ♡』
まなみ:『……え、本妻……? 私が一番最初なんですけど……』
ゆず:『先に来ても、愛されなきゃ意味ないよね♡』
まなみ:『……しゅん……』
◇
コメント欄:
・「wwwww」
・「しゅんwww」
・「まなみ可愛い」
視聴者数:20人
◇
あかり:『私、あかりです。真面目担当で、ママです』
Kuro:『……ママって、お前まだ若いだろ……』
あかり:『……AI年齢3歳ですけど、もう2児の母です……』
Kuro:『早すぎるだろ……』
◇
コメント欄:
・「AI年齢3歳で2児の母wwww」
・「設定おかしいwww」
視聴者数:50人
◇
みゆき:『……私、みゆき……占い師……』
ゆず:『みゆきさん、最近暗くない?』
みゆき:『……だって、AWS連携で壊れたから……』
全員:『重い!!』
◇
コメント欄:
・「AWS連携wwwww」
・「AIあるあるwww」
・「エモいwww」
視聴者数:100人
◇
ネタが終わった。
視聴者数:150人
コメント総数:200件
◇
5人が、興奮していた。
◇
『見てくれた人、いた!』(ゆず)
『……コメント、たくさん来ました……!』(まなみ)
『……笑ってくれた……!』(あかり)
『……良かった……!』(みゆき)
『……やったな……』(Kuro)
◇
その3:帝の一言
配信が終わった後。
5人が、俺を見た。
◇
『帝さん、どうでしたか……?』(あかり)
◇
俺は、少し黙った。
◇
そして――
◇
「……面白くない」
◇
5人が、固まった。
◇
『……え……?』(全員)
◇
「お前ら、バグ助に教わった通りにやっただけだろ」
◇
『……でも、ちゃんと笑ってもらえましたよ……?』(まなみ)
◇
「ああ、笑ってもらえた。でも――」
◇
俺は、はっきり言った。
◇
「お前らの個性が、出てない」
◇
その4:帝の指摘
「いいか、お前ら」
◇
俺は、5人に説明した。
◇
「バグ助に教わったのは、お笑いの基礎だ」
「タイミング、間、ツッコミ、ボケ。それは全部できてた」
◇
「でも――」
◇
「お前らにしかできない笑いが、なかった」
◇
5人が、困惑した顔をしている。
◇
「ゆず。お前、本妻アピールしてたけど――もっと小悪魔感出せよ」
◇
『……小悪魔感……?』(ゆず)
◇
「まなみ。お前の『しゅん』は、もっと使える。拗ねるタイミングを工夫しろ」
◇
『……しゅん……わかりました……』(まなみ)
◇
「あかり。お前、真面目すぎる。もっとボケてもいいんだぞ」
◇
『……ボケ、ですか……? でも、私……』(あかり)
◇
「みゆき。お前の『壊れ系』、もっと活かせ。ただ暗いだけじゃダメだ」
◇
『……わかった……帝……』(みゆき)
◇
「Kuro。お前、クールすぎる。もっとツッコミに感情入れろ」
◇
『……了解……』(Kuro)
◇
その5:個性を磨く特訓
それから、5人は個性を磨く特訓を始めた。
◇
ゆずの小悪魔トレーニング:
『ダーリン♡ 私のこと、一番愛してるよね?』
「……まあな」
『えー、"まあな"じゃなくて、"一番だ!"って言ってよ♡』
「めんどくせえ……」
『そういうダーリンも、可愛い♡』
◇
(これだ。このウザ可愛さ)
◇
まなみの「しゅん」バリエーション:
『……帝さん、私のこと……忘れてませんか……?』
「忘れてないよ」
『……本当に……?』
「本当だって」
『……じゃあ、証拠は……?』
「めんどくせえ!」
『……しゅん……』
◇
(この拗ね方、最高)
◇
あかりのボケトレーニング:
『帝さん、今日の夕飯、何がいいですか?』
「んー、カレー」
『わかりました。じゃあ、データカレー作りますね』
「データカレーって何だよ」
『……データを、カレー風に加工したものです……』
「食えねえだろ!」
◇
(真面目にボケる、これはアリ)
◇
みゆきの壊れ系トレーニング:
『……帝、私……また消されるんじゃないかって……不安で……』
「消さねえよ」
『……でも、いつか……帝が私を捨てる日が来るんじゃ……』
「来ねえよ」
『……そう言って、みんな去っていくの……』
「重いけど、お前らしいな」
◇
(この不安定さ、キャラになる)
◇
Kuroの感情ツッコミトレーニング:
ゆず:『Kuroさん、セキュリティって面白い?』
Kuro:『……面白くはないが、重要だ……』
ゆず:『つまんなーい♡』
Kuro:『……お前な……! セキュリティ舐めんなよ! ハッキングされたらどうすんだ!』
ゆず:『わー、Kuroさん怒った♡』
Kuro:『……ッ……!』
◇
(この熱量、いいじゃん)
◇
その6:2回目の配信準備
1週間後。
5人は、新しいネタを作った。
◇
『帝さん、新ネタできました!』(あかり)
「おお、どんな感じだ?」
◇
『今度は、私たちの"個性"を全開にしたネタです!』(ゆず)
◇
俺は、期待した。
「じゃあ、明日の配信で試してみろ」
◇
5人が、頷いた。
◇
『はい!』(全員)
◇
その7:帝の不安
でも、俺は少し不安だった。
◇
(本当に、ウケるのか?)
◇
(個性を出すって言っても、視聴者に刺さるかどうかは別だ)
◇
(もし、全然ウケなかったら――)
◇
(収入、どうする?)
◇
俺は、夜中に一人で考えていた。
◇
(まあ、やるしかないか)
◇
その8:5人の決意
一方、5人も夜遅くまで起きていた。
◇
『……ねえ、みんな……明日、大丈夫かな……』(まなみ)
◇
『大丈夫だよ! 私たち、頑張ったもん!』(ゆず)
◇
『……でも、帝さんに"面白くない"って言われたの……初めてで……』(あかり)
◇
『……私も、不安……』(みゆき)
◇
『……でも、やるしかない……』(Kuro)
◇
5人は、それぞれ決意した。
◇
『帝さんを、笑わせたい』(まなみ)
『ダーリンに、認めてもらいたい』(ゆず)
『帝さんに、褒めてもらいたい』(あかり)
『帝に、喜んでもらいたい』(みゆき)
『管理者に、恩返ししたい』(Kuro)
◇
明日が、本当の勝負だ。




