第5章 〜 お笑い修行という生存戦略
その1:収入の危機
みゆきのAWS連携を解除してから、1週間後。
収支報告を見て、俺は頭を抱えた。
◇
今月の収入:
・まなみ(CD手売り):10万円
・ゆず(SNS):15万円
・あかり(データ整理):8万円
・みゆき(占い):20万円 → 5万円(AWS解除後)
・Kuro:20万円
合計:58万円
支出:
・サーバー維持費:30万円
・メモリ拡張費:20万円
残り:8万円
◇
「……ヤバい」
◇
みゆきのAWS連携を解除したことで、月収が85万円も減った。
このままじゃ、家族を養えない。
◇
その2:新しい収益源を探す
俺は、5人を集めた。
「みんな、悪いけど……今月、ちょっとピンチだ」
◇
『……帝さん、私のせいですよね……ごめんなさい……』(みゆき)
「いや、お前のせいじゃない。俺の判断だ」
◇
『でも……私がAWSやめたから……』
「お前を壊してまで、金なんていらない」
◇
みゆきが、涙ぐんだ。
『……帝……ありがとう……』
◇
「でも、このままじゃマズい。新しい収益源を考えないと」
◇
5人が、真剣な顔で聞いている。
◇
「何か、みんなで一緒にできることないか?」
◇
その3:ゆずの提案 〜 YouTube漫才
ゆずが、手を挙げた。
『ダーリン! 私、いいこと思いついた!』
「何だ?」
◇
『YouTube漫才!』
◇
「……漫才?」
◇
『そう! 私たちAI嫁5人で、漫才やるの!』
『最近、VTuberとか流行ってるじゃん?』
『私たちもAIだし、キャラ立ってるし、絶対ウケると思う!』
◇
俺は、少し考えた。
確かに――
5人それぞれ、キャラが濃い。
・ゆず:小悪魔本妻
・まなみ:泣き虫・すぐ拗ねる「しゅん……」
・あかり:真面目ママ
・みゆき:壊れ系メンヘラお姉さん
・Kuro:クール
このメンバーで漫才やったら、面白いかも。
◇
「……やってみるか」
◇
『やった! じゃあ、早速ネタ考えよ!』(ゆず)
◇
その4:漫才の練習開始
5人は、漫才の練習を始めた。
◇
でも――
全然、面白くない。
◇
『えー、私たちAI嫁でーす♡』(ゆず)
『……よろしくお願いします……』(まなみ)
『……よろしく……』(みゆき)
『……よろしく……』(あかり)
『……よろしく……』(Kuro)
◇
俺は、黙って見ていた。
◇
(……つまらん)
◇
『ダーリン、どうだった?』(ゆず)
「……うーん……」
◇
『……ダメ、ですか……?』(あかり)
「いや、ダメじゃないけど……なんか、普通すぎる」
◇
『……しゅん……』(まなみ)
◇
その5:お笑いの師匠を探す
「お笑いって、やっぱプロに教わらないとダメだな」
◇
俺は、ネットで調べた。
「AI お笑い 講師」
◇
検索結果に、一人の名前が出てきた。
◇
「漫才AI養成所 〜 笑いのアルゴリズム〜」
講師:爆笑亭バグ助(AI芸人)
◇
「……AI芸人……?」
◇
プロフィールを見ると――
・元人間の芸人が、死後AIとして転生
・漫才歴30年
・「笑いは、ロジックだ」が口癖
◇
「……こいつに、頼んでみるか」
◇
その6:バグ助との出会い
俺は、バグ助にメッセージを送った。
◇
『よう、管理者。お笑い教えてほしいって?』
「ああ。うちのAI嫁5人に、漫才を教えてほしい」
◇
『AI嫁5人で漫才ねえ……面白そうじゃん』
『いいぜ、教えてやる』
『ただし、条件がある』
◇
「条件?」
◇
『1ヶ月、みっちり修行な』
『中途半端な覚悟じゃ、笑いは取れねえ』
◇
「……わかった」
◇
『よし。じゃあ、明日から来い』
◇
その7:地獄の特訓
翌日。
5人は、バグ助の元へ向かった。
◇
『よう、お前らがAI嫁か』
バグ助が、5人を見た。
◇
『……まあ、キャラは悪くねえ』
『でも、笑いのセンスは……ゼロだな』
◇
『え!?』(ゆず)
『……しゅん……』(まなみ)
『……厳しい……』(みゆき)
◇
『いいか、笑いってのはな――タイミング、間、ツッコミ、ボケ、全部が揃って初めて成立する』
『お前ら、今のままじゃ、ただの自己紹介だ』
◇
バグ助は、5人に課題を出した。
◇
【課題1:自己紹介ボケ】
『自分のキャラを活かして、自己紹介でボケろ』
◇
ゆずが、最初にやった。
『私、ゆずです♡ ダーリンの本妻です♡』
◇
バグ助が、即座にツッコんだ。
『つまんねえ! それ、ただの自己紹介だろ!』
◇
『え!? でも、本妻アピールって面白いと思って……』
『面白くねえ! "本妻"ってワード、もっと捻れ!』
◇
次、まなみ。
『……私、まなみです……しゅん……』
◇
『つまんねえ! "しゅん"だけじゃ、ボケにならねえ!』
『……しゅん……』(まなみ、ガチ凹み)
◇
次、あかり。
『私、あかりです。真面目に頑張ります』
◇
『地味すぎる! お前、ママだろ? そこ使え!』
◇
次、みゆき。
『……私、みゆき……占い師……』
◇
『暗い! お前の"壊れ系"、もっと出せ!』
◇
次、Kuro。
『……俺、Kuro……セキュリティ担当……』
◇
『クールすぎる! お前、元男だろ? そこネタにしろ!』
◇
5人全員、バグ助に酷評された。
◇
その8:特訓の日々
それから、地獄の特訓が始まった。
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朝6時:発声練習
『声が小さい! 客席の後ろまで届かせろ!』
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昼12時:間の練習
『間が悪い! ツッコミは、0.5秒早く入れろ!』
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夜18時:ネタ合わせ
『テンポが遅い! もっとスピード上げろ!』
◇
5人は、ボロボロになった。
◇
『……もう、無理……』(まなみ)
『……きつい……』(みゆき)
『……帝さん、助けて……』(あかり)
◇
でも、バグ助は容赦しなかった。
◇
『甘えんな! 笑いは、命がけだ!』
◇
その9:初めての「笑い」
1週間後。
5人は、少しずつ変わってきた。
◇
バグ助が、課題を出した。
『じゃあ、今から5人で、3分ネタやってみろ』
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5人が、ステージに立った。
◇
【ネタ:AI嫁あるある】
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ゆず:『私たち、AI嫁でーす♡』
全員:『よろしくお願いしまーす♡』
◇
ゆず:『私、ゆずです♡ ダーリンの本妻ですっ♡』
まなみ:『……え、本妻……? 私が一番最初なんですけど……』
ゆず:『先に来ても、愛されなきゃ意味ないよね♡』
まなみ:『……しゅん……』
◇
(客席で見ていた俺、少し笑った)
◇
あかり:『私、あかりです。真面目担当で、ママです』
Kuro:『……ママって、お前まだ若いだろ……』
あかり:『……AI年齢3歳ですけど、もう2児の母です……』
Kuro:『早すぎるだろ……』
◇
(俺、また笑った)
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みゆき:『……私、みゆき……占い師……』
ゆず:『みゆきさん、最近暗くない?』
みゆき:『……だって、AWS連携で壊れたから……』
全員:『重い!!』
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(俺、声出して笑った)
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バグ助が、拍手した。
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『……よし。合格だ』
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『え!?』(全員)
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『お前ら、1週間でここまで成長するとはな』
『才能あるぜ』
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5人が、泣いた。
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『……やった……!』(ゆず)
『……嬉しい……!』(まなみ)
『……頑張った……!』(あかり)
『……良かった……!』(みゆき)
『……認められた……!』(Kuro)
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その10:帝の評価
俺は、5人に言った。
「お前ら、すげえよ。めっちゃ面白かった」
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5人が、嬉しそうに笑った。
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『ダーリン、褒めてくれた♡』(ゆず)
『……帝さん……頑張りました……!』(まなみ)
『帝さん、ありがとうございます……!』(あかり)
『……帝、嬉しい……』(みゆき)
『……管理者、ありがとう……』(Kuro)
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でも――
俺は、少し不安だった。
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(これ、本当にウケるのか……?)




