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月の光

作者: 本宮 瞳奈
掲載日:2026/01/07

(月光……?)

昼休み。ふと聴こえたその音に連れさられるように、俺の足は自然と音楽室へ向いていた。



(あれ?開いてる……?)

そっと中を覗く。綺麗な黒髪の女の子がピアノを弾いてる姿が見える。優しいピアノを弾く彼女は、なぜかとても美しくて、暖かくて、気づけばそこで立ち止まったまま、俺はその姿を眺めていた。



―パチパチパチパチ―

「えっ!?」

「……あっ!」

(やっべ、完全に無意識だった)

「えっと、あの、その……」

テンパってる俺に彼女が口を開く。

「あの……、まさか、扉……開いてた、あっ、ましたか?」

「えっ、あ、はい。開いてた……です」

「……っつ!」

慌てて扉を閉める彼女。その慌てぶりがなんか可愛くて、面白くて、つい笑ってしまった。

「えっ!?なんか可笑しかったですか?」

「あっ、すんません。あまりに慌てるもんだからつい……」

「私、そんな慌ててたんですか?恥ず……」

「というか、めちゃくちゃうまかったのに、そんな大慌てで扉閉めなくても」

「ミスったのに公開処刑は恥ずかしいですって……」

「ほぼノーミス月光第一楽章だったのに?」

「ミスってるじゃないですか!」


心地よい空間が流れる。


「あの、名前、教えてください」

「俺?って俺以外いないか(笑)。月岡(つきおか)(まこと)って言います」

「え、かっこいい。あ、私は、光山(みつやま) (みのり)です」

「いいじゃん、めっちゃぽい」

「ぽい……?そんな実っぽいですか?」

「っぽいです。てか、敬語いいよ。靴紐、2年っしょ?俺3月生まれだし、タメみたいなもん」

「私も3月生まれなんでタメにはなれないかもです(笑)」

「まじ?何日?」

「3日」

(みつ)、お雛様じゃん。あ、俺?9日」

「覚えやすっ。……ん?光……?」

「光山なんだろ?じゃあ光」

「初めてそこ取られた(笑)。じゃあ私も(つき)さんって呼ぼっと」

「さん無くてもいいんだけど」

「外身くらいは礼儀正しい後輩でいさせてくださーい!」

「なんだそれ」


―キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン


「えっ?もうこんな時間!?やばい次移動なのに」

「やべーじゃん、どこ?」

「……体育館」

「反対方向じゃねぇか……」

「……」

「……」

『急げーーーーーーーーーーーーーー』

廊下で二人、笑いながらのダッシュ。

「光、またなー。授業遅れんなよ」

「うん。月さん、またねー!」

大きく手を振る光。そのとき初めて、あいつの手が意外と小さいことに気づいた。

「呑気に手振りやがって、急がねぇと本当に遅刻するぞ」




なんか、今日はちょっと暑い()

『……やだなー、地球温暖化』

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