南から北からやってきた
学説では南方系ミクロネシア等の簡素な言語に、北方系の社会的な語彙が重ねられているとなっているようですが、ここでは南方系が饒舌です。何故なら、まだ中国の政治体制も整っていない時代なので、北方系はあくまでも狩猟民族であり、後のやまんととなります。
古語同好独学 または海の民エビ
このあたりに大陸があって、ということは、このあたりは海だった。相互の、あるいはその他のプレート活動の結果、大陸側と海側に弓型の弧状列島が形成されるのが常だ。
この列島が落ち着いた頃、定番のように、北回りでやけに言葉数の少ない一団がやってくる。寒さゆえに言葉が少ない、あるいは狩猟のため簡潔な指示と報告が好まれたなどと言われているが、確かに、斥候がハンドサインで方向、距離、獲物の種類と概数を報告すれば、後はリーダーの指示程度しか発声は必要ない。
「きの、まけ(行け、巻け)」と迫り来る獲物に方向を示す。
「川沿い、さんか?ご?(川沿い、三人か?五人か?)」残りのベテランには、最短で待ち受けできる位置と、その縦深についての戦術指示程度で事足りる。
反対に、南回りで姿を見せた一団は、言葉を重ねて興奮する気質であった。
「この山の辺の青きこと、深きこと、我が愛しき妹の福々(ふくふく)と味わう真心の世に、心熱く打たれ…」
結局、何が言いたいのかが、良くわからない。
彼らは、先にやってきた北の民と出会うと狂喜し、すぐに混じり合いを始める。
何と言っても、北の民の言葉は、一文字ないし二文字で紡がれる簡潔な言語体系である。南の民にとっては、ますますビビッと来る単語が作り放題、組み合わせ放題だという予感が止まらなかった。
「わとわなのいぬねこわこひめにのひこにのひめさんのひめのきょへゆばしばきせん?」
(※意訳:私と貴方の犬と猫は、貴方の愛しい姫の子の、その子の姫さんの姫の家へ、行くべきでしょうか、行かざるべきでしょうか?)
北の姫が連れてきたイヌやネコも大人気であり、「何匹飼っているのか?」が、第二夫人候補をナンパする時の殺し文句になるほどの流行となっていた。
ちなみにイヌは、餌を与えてもいなくなるので「いぬ(去ぬ)」と言われていたが、ある時から逃げずに人と行動を共にするようになったことから、「いなぬ(去なぬ=去らない)」と恐れと共に否定するようになり、ここに尊いヒトイヌ連合が成立した。
ネコは、大陸を何度も横断した彼らの先祖が西の方から連れてきたそうで、いつも寝ているから「ねねこ」、二文字に縮めて「ねこ」となり、人の尽くすべき宝物が同居するようになったという。
ヒメコトとアマゾネネコの名も、ネコに肖って名付けられていた。恵まれた体型と膂力を誇る彼女だが、男の好みは小さくて可愛い、いわゆるショタであった。かといって、可愛いだけの戦えない男には興味がなく、その複雑な乙女心と根深い性癖が察せられる。
ネネコが見つけたのは「ヨタ」という背の低い少年だ。理想の見た目に加え、回転の速い頭脳と小賢しさ、行動も小回りや機転を兼ね備えていた。
「これは!」
ネネコは思わずガッツポーズである。
なんとなく、この浮気関係では、生まれ変わった先の先でも苦労させられそうな予感もあったが、それくらいの刺激があった方が、充実した人生を送れて楽しいと思った。
「こいつもらってくから」
ネネコは、旦那予定者の家族親戚を威嚇しながら宣言し、状況を理解できていないヨタを背負って帰ったと、神話に残っているという。
女の方から声をかけたり、ましてや攫ったりすることは、こうやって後々まで話題になるものだから、**「上手く声掛けさせなさい」「上手に攫われなさい」**という、後の世の母親たちの切実な願いがこの神話から窺える。
でないと、浮気島になったり、泡踊りのお店に落とされたりと、大変なことになった歴史的な蓄積があったのだろう…。
そろそろ、まったく学説に沿わない言葉の発展への想像が始まります。
北方系は数度、流入していて、日本語の複雑な言葉はその時に移入したように思います。日本語に多い、オノマトペも南方系のように感じます。基礎的な身体の部位を示すような言葉も




