第六話 ティラノサウルス討伐依頼
入学式から2週間程たった頃
開花と夜野は放課後、制服から着替え終わったら
司令室に来て欲しいと神爪に言われていた。
神爪は人をまとめたり、物の整理をしたりするのが
得意なため、生命班の司令官としての業務を
主にこなしている。
開花、夜野が司令室に来たようだ。
「一体なんの用なのだ」
夜野が問い始める。
「開花、夜野よ。ふたりでティラノサウルスを
討伐せよ」
と命令した。
開花と夜野は慌ただしく姿勢を正すが
神爪からやめてくれと言われたので
ふたりは姿勢を崩した。
「内容は?」
開花は依頼について質問した。
内容は蠍座系の代表星 アンタレスの中心都市
スコルシストにて闇裁断[ダークヴァイヤンス]の力に
侵されたティラノサウルスが暴れていると連絡が
来たらしい。
闇裁断軍とはかつてラグナロクを起こした神族
『悪意者』を中心に結成された軍である。
再びラグナロクを起こすと宣言しており
その理由は不明。
そのため宇宙国内で国家反逆組織として
最重要ターゲットにされている。
闇裁断は生命石の中に闇裁断粒子[ダークヴァイヤンスりゅうし]を閉じ込めて、生命体の体内に入れて、
暴走させる能力を有しているらしい。
「また哀れな命が出てきてしまった」
開花は哀れんでいた。
せっかく1つの命として生まれてきたにも関わらず
闇裁断軍のせいで殺さなければならない。
それは生命班全員がわかっていて、仕方ない事だと
理解している。
だが開花は全ての命を心から愛しているからであろう。
開花は毎回、闇裁断化した生命体達の素材を
大事に使っている。それは開花にとっての
せめてもの償いなのかもしれない。
「どうだ、いけるか?ふたりとも」
「承知した」
「了解なのだ!!」
ふたりは眉間にしわを寄せてそう返事した。
「そうか、では出動せよ」
開花と夜野は頷いて戦纏[アルベール]に着替えた後
ヘリに乗り込み、蠍座系 アンタレス 中心都市 スコルシストへと向かった。