じいちゃん 俺はゲーマーになる!
「じいちゃん、話があるんだが、聞いてもらえるか」
リビングでくつろぐ八雲に大和は帰るやいなや言った。
「なんじゃ、珍しい。時はクリスマスイブ! 彼女でも紹介か。わしもテンションがあがってきたぞ。まさか扉の向こうにもういるのか?」
俺は自分の人生を生きたい。もう大和には後悔はなかった。
「じいちゃん、俺は、俺はゲーマーインザウォーの参加者に選出されたんだ」
大和は今まで隠してきた心を全てふり絞るように言った。
「なんじゃと!?」
「選出されたんだよ。じいちゃん、俺は全世界からのたった30人に」
「ほめるって、大和、お前、放課後に今までゲームをしていたのか。わしはあれだけ禁じたはずじゃぞ。お前は勉強して立派になって」
「いやなんだよ、俺はもう自分の心に嘘をつくのは、俺はゲームがしたい。ゲーマーとして活躍したい。俺の心がそう言っているんだ。このままじゃ一生後悔する」
「おまえにも話したろう、尾上禅の話を。それに尾上を育てたわしの孫がゲーマーにでもなれば世界連邦は、世界連邦にも目を付けられる羽目になるんだぞ。それがいかに窮屈なことか」
「知ってるよ。何度も聞いた。でも関係ないんだよそんなことは。 俺はじいちゃんのように自分の才能にふたをして暮らすなんておもしろくもなんともない。そんな人生、罪人と同じだ」
大和はそう言うと勢いよく走って自分の部屋に閉じこもってしまった。
扉を閉める音が大きく響いた後、沈黙となった。
窓の隙間からの寒気が部屋に流れ込んでいるのを感じた。
「大和、ほんとはな、ゲームを教えているうちにおまえの才能が恐ろしくなったんじゃよ。昔の尾上禅にそっくりに育っていた。わしは二度同じ過ちを犯すのではないかと怖くなったんじゃ」
八雲はテーブルの上の料理を前に小さくつぶやいた。そしてとりわけ、大和の閉められた部屋の前にそっとおぼんにのせて置いた。
八雲は自分の部屋に入り、腕時計のホログラムボタンを押した。
暗闇の中で佐々木氏からのゲーマーとしての招待状が出現した。