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Kの正体

そのまま大和はゲーマーインザウォーが置かれているニューオーサカゲームセンターにバスで向かった。


ニューオーサカゲームセンターはあらゆるゲーム機材が置いてある複合施設である。家でできないような複雑なゲーム器具がここにはおかれていた。


ホログラム型の対戦ゲームも置かれており、皆ゲームセンターでのランキングを競ったりしていた。

 ゲームセンター内はファミリーから子供、大学生まで多種多様な客層で埋め尽くされていた。


大和はその中の、一角にあるゲーマーインザウォーのコーナーに入った。

ゲーマーインザウォーは内部が360度ディスプレイでコーティングされた球状のゲーム機の中に入りプレイする。


その中央に操縦席が置かれており、そこでコントローラーを握るのだ。


第三次世界時のESもコントローラーで操縦していたのであるからゲームが開始されるとあたかも本物のESに乗っているかのようである。


ゲームには対戦モードと、ストーリーモードがある。対戦モードはオンライン対戦ができ、全世界のプレイヤーと多人数もしくは少人数で対戦出来た。


ストーリーモードは第三次世界の一パイロットとして招集されるところから始まり、最後のボスである反逆者尾上禅が操縦するESを倒してゲームクリアである。






 空を飛んでいる敵のESの操縦席のモニターには、街の景色が広がっている。

走っているリニアモーターカーは玩具のように小さく、この高さから見る川や海はミニチアセットのように現実感がなかった。


雲の狭間、遠くかすんだ街のほうで微かに光が見えた。

ES二機がブースターを点火して飛び立った証拠だ。


彼らが地面を蹴り飛びあがった衝撃でアスファルトの道路には大きな足跡が残された。その衝撃が伝わってビルが身ぶるいをしたように窓ガラスが砕け散る。


二つの赤い光は徐々にその機体が視認できるほどに空高く君臨する敵1機に迫る。

敵一機は突如急降下を始めた。


「気をつけろよ」


口元に髭を生やしているニート臭漂う30代半ばくらいの男が言った。


彼の操縦席には予測不可能な動きで迫ってくる赤い機体が徐々に大きくなっている。


「分かってますよ、でもあいつ、速すぎる。一体何者」


彼の目は大きく見開き、敵の動きを必死で追おうと右へ左へ動いていた。


「ええい! なんて速さだ! 相手は後一機だけなんだぞ! 一機相手に我々歴戦のパイロットが翻弄されるなんて」


二人はビーム砲を構えたまま、なすこともできぬ状態で宙に留まる。パイロットの目には焦りの色がどんどん濃くなっていく。


機体が空を摩擦する音が豪と響く。


敵は太陽を背にしてビームソードを振りかぶった。


パイロットの目には太陽と赤い機体が同化していた。

「くそっ! 太陽でよく見えないぃっ! うわああああ 来るなあああああ」


二機が真っ二つに斬り裂かれる影が地面に映った。


斬られた胴体は徐々にずれていき、残骸が地面に触れると同時に乾いた爆発音をあげた。土埃めいた閃光が広がる。


その衝撃波が周りのビル群に吹きかかり、窓ガラスが圧によって粉砕される。


「そんなばかな、……俺たちがやられるなんて」


「ニックネーム、K!そうか、こいつ一切メディアに姿を見せないゲーマーで有名なあの」


30代半ばくらいの太ったニート達の声は、世界から消え去った。


大和のモニターにはYOU WINの文字が大きく表示されている。

「おれが最強なんだ。俺はK。ここでは怖いものなど何一つありはしない。この戦場、命をかけた緊張感が俺の生を実感させてくれる。そうここだけが……」


突如として世界は真っ暗となり、機械の乾いた開閉音と共に光が差し込み始めた。

「俺が、最強なんだ……」


 大和はゲームセンターにたたずんでいた。周りにはホログラミング射的ゲームではしゃぐ子供。


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