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争う武器商達  作者: 里芋
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第一話 それぞれの対応

 足音が聞こえる。

 俺は振り向くーーーがそこには誰もいない。

 ここは俺の家の近く、かなり街から外れた道だ。

 こんなところを平日に通る物好きなんてそうそういない。

(空耳か)

 俺は前に目を向ける

「どうも」

 目の前には俺と同年代の少女が居た。

「な・・・」

「そんな驚いた?」

 俺の周りにこいつが隠れられそうな場所はない。

 どこから出て来た?

「私は華原かはら霧奈きりな、よろしく」

「じゃあねー」

 と言って少女は去っていく。

 華原・・・親父に話さねぇとな

 俺は家に帰った。

「ただいま」

「お帰り」

 こいつは俺の妹、綾だ。

「親父は?」

「工房に居るよ」

 俺の家は古くから続く鍛冶屋だ。主に刃物を扱っている。

「ただいま、親父」

「お帰り」

 親父は体がでかくはないが、かなりの力を持っている(この体のどこからそんな力が出てくるんだ?と俺はいつも思っている)。近くにいると一般的には細めであろう体型だが、人を威圧できる何かがある。

「今日帰る時に華原と名乗る奴に会った・・・」

 俺はさっきあったことを親父に話した。

「おかしくねえか?」

 ここで俺の一族について話しておこう。

 俺の一族は代々武器商をやっている。その歴史は軽く鎌倉時代まで遡るんだそうだ。その時から変わっていないのが業物と呼ばれる『物理法則を超えた能力を持った武器』を作れると言う事(なお今は数十人しか作ることができない)だ。そして時代が進むにつれ、武器の種類ごとにそれを専門にする派閥へと分かれていった。他の分家が扱わないもの、剣や弓矢などを主に扱う本家の一ノ瀬家、銃火器を主に扱う大森家、その大森家から(他の分家と比べれば)最近分かれた華原家、主にこいつらは爆撃機、空母とかを扱う派閥だ。

 ちなみに、これは明確に分かれているわけではなく、華原家は戦闘機などに使うからか普通に機関銃なども作っているし、一ノ瀬家も簡単な後装式ライフル程度なら少数作っている。

「華原家め、また戦争でも始めようとしてるのか?」

「やっぱり親父もそう思うか?」

 そして、今は各分家の家長その時にが交わした誓いを守り、一応安定している。

 因みに俺の親父は一ノ瀬家家長で、あまり考えたくないが、親父が死んだ場合また分家間での戦争が始まるはずだ。

「晩ご飯できたよ」

「あいよ」

「そういえば今日、転校生が来てね、華原霧矢(きりや)くんって言うんだって」

「華原?」

「そっちもか」

 何でこんな急に動き出したんだ?

「ご馳走様」

「お休み」

「お兄ちゃんおやすみー」

「ああ、おやすみ」


 今日は転校生がいるらしいね。

 一体どんな人なんだろう。

 僕の名前は大森おおもり利生りしょうだ。高校生だけど銃火器専門の武器商で設計と生産を行なっている大森家の一員という変わった生活を送っている。

 始業のチャイムが鳴り先生が入ってくる。

「今日は転校生がいます」

「どうぞ、入ってきてください」

 入ってきたのは車椅子に乗った女の子だった。

「華原霧奈と言います。どうぞ宜しくお願いします」

 華原か、これは嫌な予感がする上に面倒な人が出てきたね。

 これから僕はどうするべきなんだろうか。こっそり学校から出て無視する手もあるし・・・あまり取りたくない一手だけど、このまま普通に過ごしつつ彼女を見張るって言う手もある。

 ここは家長に聞いてみようかな。

 休み時間

「あ、もしもし?家長ですか?華原が現れました」

「利生か、今電話してるってことは華原はどうにかしたのか?」

「それについてなんですけど、監視しておいた方がいいですか?」

「ああ、そうしてくれ、私も第三次世界大戦なんて起こしたく無いのでね」

「・・・分かりました」

「どうした?嫌か?」

「いや、多分家長ならそう言うだろうと思ってたのでいいですよ」

「そうか、じゃあ学校午後も頑張れよ」

 よし、監視しますか。

 教室にて

 おかしい

 霧奈が授業始まっているのに教室に来ない。

 僕は思い切って隣の人に聞いてみた。

「ねえ、転校してきた人どこ行ったか知らない?」

「早退したって聞いたぞ」

「・・・」

 僕はこの後どうすべきかを考える

 そして結論を出す。

「あり・・がと・・・う」

 ちょっとしんどい演技をする。普段から病弱なふりをしているので多分いけるだろう。

「ちょっと・・・薬取りに教室に・・・戻る事にする・・・よ」

「おい大丈夫か?」

「大・・・丈・・・夫」

 そう言って僕は先生に気づかれないように教室を抜け出す。

「もしもし?!家長!逃げられました。これから隊長直属部隊を指揮して捜索にあたり、見つけ次第拘束します!」

「了解した」

 落ち着きすぎでは?

 もしかして予想できてたのか?なら、できれば言っといてほしかった。

「必ず確保してくれ。最悪、幹部クラスの奴でもいい」

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