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海が好きな少年とその少年のことが好きな2人

作者: MomoTUAT

砂が流される音。生き物が動く音。泡の音。波の音。遠くで聞こえる人の声。


「あう、あぅ」

パクパク

「うぅ〜だぁ!」

パクパク バシャッ

「ふふふ。楽しそうね」

「あぁ、ずっと側にいてやろうな。」

「えぇ、そうですね。」


ジリリリジリリリ-

...涙が、出ている...?

なんだかとても懐かしく感じた

赤ん坊を暖かく優しい顔で見守る夫婦がいた

さっきの続きをみてみたい

そう思いもう一度寝ようとしてやめた

学校に遅刻してしまう...

仕方ない、諦めよう


僕の名前は蒼井凪(あおいなぎ)海に近い高校に通う

2年生だ

僕の髪は生まれつきの白髪で目の色が水色だ

こんな身なりをしているからかあまり好かれているとは思わない。むしろ避けられているだろう。


「おっはよー凪!」

「おう、おはよう」

「相変わらずお前の髪は日に当たると綺麗だなぁ」

平気で照れくさいことを言ってくるこいつは松本理斗(まつもとりと)中学からずっと一緒。こんな僕と仲良くしてくれている。ありがたい。

そういえば今日見た夢の赤ん坊も白髪だったな...

そんなことを考えながら校門をくぐる。

特に何も無く放課後となった。

僕は美術部に入っているのだが自分の好きなところで好きなよう絵を描いていいと言われている。

僕はいつも決まって行くところがある。

海だ。

海に来ると落ち着く。匂い、音、全てが気持ちいい。

気持ちを落ち着けたら、まず、すぐそこの僕の家から画材を持ってきて海の絵を描く。

そして終わったら必ず海に入るのだ。

潜ると僕も海の1部になった気になれる。


海にならいつまでもいられる。ずっと海の中にいたいくらいだ。でもそんなことはできない。母さんがご飯だと呼びに来る。だからその時までずっと海に入っている。



僕には特別な力がある。

海の生き物と喋る事ができる。

僕が力に目覚めたのは高校の入学式の日だ。

~入学式の後、浜辺を歩いていたら、どこからか助けを呼ぶ声が聞こえる。

人の影は見当たらない。声を頼りに探しているとそこに居たのは小さな子供のリュウグウノツカイだった。

僕は助けてやりたいと思った。でも僕の言葉は魚には通じな...

「~~~~~~~~~~~~~~」(助けたい。どうしたらいい?)

いと思ったら何かの言語が口からでていた。

その時頭に何かが一気に流れ込んできた。サァァァ--------


コポプクコポポ『お父さん!お母さん!だーいすき!』

『あら、ありがとう』『おぉ!嬉しいなぁ』『でもな俺たちはお前のことを』『『愛してるよ』』ブクブクコポ


「!!言葉が通じるのですか...! では私を...」

.......

「ありがとうございます」

「~~~~~~~~~~~」(気をつけてな)

.....


どうして僕は魚と喋れたのだろうか

母さんに聞いてみよう


「なぁ母さん。笑わないで聞いてくれる?」

「笑わないわよ。どうしたの?」

「僕、魚と喋れるみたいなんだ。」

「そっか。どう?楽しかった?」

「んー...あんまりかな。浅瀬で動けなくなっていたリュウグウノツカイを助けただけだったから。

ねぇ母さん。どうして僕は魚と喋れるの?」

「そうね...なぜ喋れるかはお父さんもいる時にしましょう。」

「うん、わかった...。」~


高校1年の夏

僕は理斗とクラスメートと海に遊びに来ていた。「来ていた」と言ってもいつも通りの家の前の海なのだけど。

みんなが遊んでいる中僕はいつものように海をただよっていた。周りの音が消えていって自然の、僕の大好きな音が大きくなっていく。なんとも言えない気持ちになっていく...はずだった。

「痛いよ...助けて」 サァァァ---------


コポプクコポ 『お母さんっ!みんな!...待って!

  ちょっと...まっ..て...よ...』ブクブクコポ


悲痛な声が僕の耳に飛び込んできた。

それを聞いた瞬間僕は海から飛びだしていた。

「おいっ!」

みんなの視線が僕に集まる。

だが僕はそんな視線を無視してみんなの輪を掻き分けていった。

みんなの中にいたのはウミガメの赤ん坊。

瞬時に辺りを見渡す。クラスメートがいじめていた気配はない。

孵化はできたが海にたどりつけなくて苦しんでいたのだろう。

僕はそのウミガメの赤ん坊を海にかえし誰も聞いていないところで声をかけた

「~~~~~~~~」(頑張れよ)

その後は何事もなくみんな楽しんでいた。



僕の母さんと父さんは海の生き物調査の仕事をしている。

僕が生まれてからは母さんは近辺の調査をしている。

父さんは海外にいくこともあれば近場の海にいることもある。

今は確か海外に行って帰ってきている途中のはずだ。

あと3日ほどで帰ってくる。

久々にあえるから楽しみだ。それに今回は数ヶ月家にいると言っていた。


「父さん!おかえりなさい」

「おかえりなさい、(ひろ)さん」

「ただいま、凪、(みさき)。久しぶりだな、また大きくなったか?」

「ほんと?!今は...186cmだよ」

「でっかいなぁ」

「ふふふ、2人とも、嬉しいのは分かるけど家に入りましょ」

「おう!」「うん!」

僕たちは家に入り他愛もない話をたくさんした。


「「「いただきます」」」

もぐもぐ...ぱく...

カチャ...カタ

「「「ごちそうさまでした」」」


「ふぅ、久々の岬の飯は美味いな」

「ふふ、ありがとう」


「...母さん」

「そうね」

「ん?何かあるのか?」

「父さん、あのね」

これは僕から言うと母さんと事前に決めていたのだ

「僕、魚と喋れるんだ」

「!!...そうか...」

父さんが動揺している。僕の狂言めいた発言に動揺しているのかと思った。最初は。

「...やっぱり父さんもなにか知ってるんだね」

「俺もということは、まさか岬!」

「いいえ、私もまだ...洋さんと一緒にと思って」

「そう、か」

「父さん!母さん!教えてよ。どうして僕は魚の言うことがわかるの?」

「凪、いくつか質問がある。」

初めて聞く真剣な声でまっすぐな眼差しに返事しようとしたけど声が出なかった。

「初めて声を聞いたのはどんな魚だった?

会話した時なにかみえたか?」

「あ、えっと...」

「ッすまない...ゆっくりで大丈夫だ。自分のペースで大丈夫だ。」

「うん...えっと初めて声を聞いたのは高校の入学式の後浜辺を歩いてたら助けを求めるような声が聞こえたんだ。声を出していたのはリュウグウノツカイの子供だよ。 会話した時は...んん言い表すのが難しいんだけど、頭の中に直接水が流れ込んでくるような感覚で泡のはじける音がしたなと思ったら、リュウグウノツカイの親子の会話のシーンが見えたんだ。そしたらまた泡のはじける音がして、気づいたら元に戻ってた。」

「そうか...うん、ありがとう。分かりやすかったよ。」

「最後にもう1ついいか」

「うん」

「凪、記憶に異常はないか?」

「え?う、うん大丈夫だよ。」

どういうことなんだろう...

「岬...ここから先は頼んでもいいか?」

「...えぇ、もちろんですよ、洋さん」

「そっか、もう高校1年生だったわね。入学式、行けなくてごめんね。」

「気にしないでって言ってるじゃん。どうしたの急に」

「もう少し早く言っておくべきだったかしら。まぁ今更悔やんでも仕方ないか」

なんの事だろう...

「凪、あなたはねほんとうは私と洋さんの子供じゃないの。」

「...え?ど、どういうこと?」

「私たちと凪の血は繋がってないの。こんな言い方はしたくないけど1番わかりやすいのはア「岬っ!!」「それは俺も岬も凪も傷つく...」「...うん、ごめんなさい」

え...俺は母さんと...父さんの、子供じゃ...な、い...?

「ちょ、ちょっと待って!!」

「ど、ういう...こと?」

「僕は母さんと父さんの子じゃなかったの...?」ポロポロ

「「ッ!!」」「凪落ち着け話を聞いてくれ」

「グスッ...ゴシゴシ...うん、大丈夫聞く。」

「ありがとう凪。」

「凪、あなたはね...」

「「海の神様」」「なんだ」「なのよ」

「海の...神、様?」

「そう。私たちはね前の神様、つまり凪のお母さんとお父さんね。」

「2人に頼まれたんだ。息子を育ててくれと。」

「でも、なんでっ」

「なんでお母さんもお父さんもいるのに自分で育てないんだよってな。...俺もそう思ったよ。」

「でもねこれは由緒ただしい育て方なの。」

「俺の家系が育てる役目にあたっていたんだ。ここ数百年なかったからもう無くなったと思っていたんだがな。」

「私たちが育てることで感受性を豊かにしたりするの、海の近くなのは凪のお母さんとお父さんが常に近くにいれるように。」

「俺たちはこのことを凪に伝えてしまうと消えてしまうんだ。だからもうお別れだ。1人で生きる力もついているからな。だからこれからは凪の好きなようにするといい。」

「海に戻ってもいいの。陸にいてもいい。でもねこれだけは覚えてて欲しい。私たちは凪のことをほんとうに息子だと思っているわ。」

「「凪」」

僕は顔をあげる

「ッ!!」

ずっと俯いていたから気づかなかった。

母さんと父さんが泣いていたことに。

目頭が熱い。目に涙が溜まっていくのがわかる。

「「凪、愛してる」」

僕は号泣してしまった。

「体が...」

ポコポコ「ふふ、泡になって消えるならまた凪とも逢えるかもね」「あぁそうだな」フワ

「うわああああぁぁ...グッうわぁいやだいやだ」

涙が溢れて溢れて仕方がない

「消えないでよっヒグッずっと側にいて...僕と一緒ッッ生きてよッ!!」

「「なーぎ」」

「...ッ...?」

「凪は海の神様なんだよ?」

「そんな弱気でどうするんだ。」

「ぅぅ...でも...」

「それにまた逢えるわよ。」

「言っただろう?」

「「ずっとそばにいる。」」フワフワ~~~~

うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ____________



数年後


僕は今も海の神様だ。

陸では世界一の海の生き物専門の医師だ。


またいつか母さんと父さんに逢える日まで...


サァァァ-----『『頑張ってね』』コポコポポ...

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