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Night Magius  作者: 青葉 夜
7/18

006 ウラカタ



「年齢的に如何なの」

「さぁ、シラネ」


何がか。さて、何の話だろうか。

アニメ…と言うことにしておこう。うん。


とりあえず、なんとか難を逃れた俺と夕子さんだが、夕子さんのほうがどうやら魔力の使いすぎで、少し休まなければいけないようだった。

そこで咄嗟に身を投げ込んだのが、上へと上る階段のすぐ近くにある空き教室の一つだった。


「お疲れ様です」

「うむ」


…突っ込まない。絶対に、俺は、突っ込まない。


「とりあえず、もう暫くは此処に隠れておいても大丈夫みたいね」

「ですね」


あの威力の前に、流石の魔物も一度外へと引き上げていった。

――正直な話俺も逃げ出しかけていた。


「…御免。ちょっと、魔力が足りてないわ。少し休ませて貰うから、何かあったら起こしてね。銃声の一発でも響けば…起きると…思う、から……」


うつらうつら。

言葉半ばから、声に力が抜けて、良い追える頃には夕子さんの瞼は完全に落ちてしまって。


「……寝ちゃった」


然し、コレはチャンスだ。

あんまりしたくは無いが、しかしコレも自分の身に関わる事。

やらなければ、自分の身が危ないかもしれないし。


眼鏡をはずして胸ポケットへ仕舞う。

コレは、俺の赤い瞳を隠す為の物であると同時に、俺の魔術が勝手に発動した時の為のブレイカーでもあって。


眼鏡を外した途端に、世界に広がる自分の精神。

世界の法則を読み取り、そこから更なる高みへ至らんとする魂。

眼鏡という自己暗示を解かれ、今の俺は正真正銘の“魔術師”であって。


「……『――ignition』」


呪文と言うのは、基本的に自分の外側へと語りかける言葉のことだ。

だから、俺のこの言葉は呪文ではない。

ただ、自分の内側へ、これから魔術を使うという号令を掛けているだけ。

いわば、自己暗示に過ぎない。

そしてコレが、俺の鍵の単語キーワード


パチン、とライターに灯が点るようなイメージ。

鍛錬された魔術回路が外側へと接続され、漸く俺は魔術師として本来の自分のスタイルへと戻る。


『虚ろと成りて在りぬ

 範囲指定:起点から半径3メートル』


訥々と呪文を紡ぐ。

いや、それは呪文と呼ぶのもおこがましい、ただ言葉を紡いだだけの物。

だが、その効果はまさに絶大ともいえる。


俺を基点に広がった、線で構成された魔法陣。

立体的に浮び上がったその魔法陣は、俺の言葉通り、俺を基点に三メートル程度に広がって。

そうして、その空間を完全に隠蔽してしまう。


魔法陣はそのまま、溶ける様に消え去って。

これで、この魔法陣の内側は完全に外界から感知不可能になった。

この魔術が解けるのは、此方から意志を持って相手と接触した場合か、もしくは此方の行動による二次的事象を相手に感知された場合。…あとは、相手が特殊な目を持っているとか、そういう場合程度だ。


少なくとも、寝ている人間が不意に解いてしまうような容易い結界ではない。


「……………………………」


夕子さんの寝顔を確認して、渡された拳銃を腰から取り出す。

黒い鉄の回転弾倉式拳銃。教えられたとおりに弾倉を開いて、其処から更にカートリッジを取り出す。


込められた弾丸は何の変哲も無い.357マグナム弾頭弾。

…と言うわけでもなさそうだ。一応、魔力の通りをよくする無地の六芒星が刻まれている。


―解らないが、多分中の火薬も手を加えられているのかな? 霊薬あたりを混ぜ込むのがセオリーといえばセオリーなんだが。


「さて」


ちょっとだけ弾丸に細工をしていく。

弾丸を地面に置き、その飢えに手を翳して。

途端、弾丸の表面が熱を帯びたように灼熱し、そこに黒い文字が刻み込まれていく。


『力と叡智と意志を此処に』

…そう、弾丸に刻み込んでいく。


言葉そのものに意味は無いが、こうして俺が弾丸を加工する事で、弾丸と俺の間に縁をつくり、魔術的な側面での威力を、ほんの少しばかり上げることができる。

…まぁ、効果といってもそれこそおまじない程度の物でしかないが。


これをあと23個。……うへぁ…。






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