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超能力って便利で不便だね  作者: ののまる
1/1

天才が失ったもの、得たもの

その黒い人型のモヤは夜に自室に現れた


でもなぜか当たり前かのような感じ…


「〜〜〜」


ん…なんだ…?


「〜〜〜〜〜」


なんて言ってるんだ…?


そのモヤは私の左耳に伸びてきて




ブチッ




大量の汗と蹴飛ばされてぐちゃぐちゃになった布団と共に朝を迎えた。


「…んぅ〜」


目を擦りながら重い体を起こす。


「…ん?」


スンスンと鼻を鳴らしながら空気を吸ってみると


「お腹減ったぁ〜」


朝ごはんの匂い。




階段で転けそうになりながらもふらふらとリビングに辿り着く


そこには見知らぬ白髪の美少女…


ではなく、いつもの妹。アリサである


「あ、お姉ちゃんおはよ〜」


制服にエプロンでフライパンを握りながら空いてる右手でひらひらと私に手を振る


「ん、アリサおはよう…」


「ところでお姉ちゃん、なんであんなに寝苦しそうだったの?」


私は昨日の夢の事をアリサに話す。


「ほぇ〜、それ悪夢ってやつ?耳千切られるとか痛そ〜」


アリサは特に関心も示さず適当に返答してくる


「ほい、朝ごはん出来た、お姉ちゃん早く着替えなよ〜」


テーブルの上には二人分のベーコンエッグとサンドイッチ。かなりアメリカンだな、妹よ。私は和食が好きだぞ


と、適当なことを考えながらパジャマから制服に着替え、テーブルの席につく。


アリサは律儀に待っててくれたようだ


「いただきます」


「はい、おあがりなさい」


そうしていつもの朝ごはんの時間だ


うちには親がいない。


正確に言えば私が進学すると同時に一人暮らしを初めて、二年後にアリサが後を追ってきた感じ。


私達二人は地元では神童と言われたほどの天才姉妹だ。


しかし私は最初から何でもできた天才タイプ。


妹は努力で全てこなす努力家タイプ。


そして精神面でも違うところがある


私は全体的にやる気がなく、妹はやることはちゃんとやるタイプ。


昔はよく母親のお腹の中にやる気を落としてきたとか言われたもんだ。気にしてないけど。


そのせいで妹はすごくモテる、大して私と容姿も変わらないのにモテる。私はモテないのに。気にしてないけど


そんな天才姉妹は無事国立の学力ナンバーワン高校に進学でき、学年でも1位、模試でも全国1位を総取りするレベルに達していた。


私達のどっちの方が天才かって?


それは私ってことにしておいてくれ。姉だから。


もう自己紹介はいいかな?


いいでしょ?私もこんな回想疲れたよ。


「…ヤビさん!ミヤビさ〜ん!」


「は、はい!?」


「もー、お姉ちゃん急に返事しなくなったと思ったら何ぼーっとしてんの?」


「いや、ちょっとした紹介を…」


「紹介?なんの?」


「え、いや、なんでもない…」


「もー、寝すぎて頭おかしくなったの?」


「スイマセン…」


そうだ、言い忘れてた、私の名前、ミヤビだ。


名前なんて人を区別するための記号でしかないから特に重要に考えてなかった。


「ん、ごちそうさま」


「お粗末さまでした」


そうして朝ごはんを食べ終わり、2人して洗面所へ。


いつも通り交互に鏡を使い、支度を済ませる


ちなみに妹はきっちりメイクするタイプ


私は適当に歯を磨き、適当に顔を洗い、適当に髪はポニーテールに…


「ん?ん、んん?」


「お姉ちゃんどうしたの?そんな口を塞がれたみたいな声出して…」


そして私達は同時に叫ぶ


「「えぇ〜!!」」


そう、髪を上げて見えたのだ。


私の左耳が。



無くなっているのが。


「お姉ちゃん…それ…」


アリサが震えた指で鏡越しに私の左耳があった場所を指さす。


私はあの悪夢の事を思い出していた。


まさかあいつに耳を取られた?


でもあれは夢じゃ?


血も出てないし、ちぎったというか、消失した?


私の天才脳内に色々な憶測が駆け巡る。


しかし答えは出なかった。


そして呆気に取られた私の指からするりとヘアゴムが床に落ちた。


「あっ」


それに気づき、ヘアゴムを拾おうとすると




…ヘアゴムが私の手に飛んできた。

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