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ブルーライトニング  作者: Toy
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ブルーライトニング 第51章 求める未来

テニスを楽しむメアリ、一休みしたメアリは玲子に夜一緒に過ごそうとおねだりする。

「はーい、みなさん、一休みして冷たいお飲み物いかがです」と屋敷に仕える唯一のアンドロイドであるエスターが、冷えたジュースとコップをバスケットにいれてやってきた。その声にテニスをしていたメアリ達も駆け寄ってくる。エスターは冷たいおしぼりをわたし、その後コップを配ってジュースを注いでいく。

「エスター、ありがとう」とメアリが言うと、皆がつられて「ありがとう」と言った。メアリはコップを持って、玲子の横にちょこんと座る。瑞穂が一人分の座るスペースを空けておいたからである。

「ねえ、玲子、今日、一緒に寝ちゃだめ?」

 それを聞くとエスターが

「だめですよ、メアリ、わがままを言っては」とたしなめる。エスターはメアリ付きの養育係なので、このあたりは厳しい。

「いいのよ、エスター」と玲子は言った。

「メアリ、マルスが一緒だけど平気? 3人も寝るとベッドも狭いよ」

「うん」

「じゃあ、いいよ」

「やったあ、いっぱいお話しよ、玲子!」

「ええ」

「よろしいのですか、玲子様」

「ええ、エスター、私もマルスもかまわないわ」

「では、よろしく御願いします」とエスターは一礼してその場を離れた。サムとマイクは仕方がないなあという笑みを浮かべていた。


 エスターはその場を離れると、大人達の席に向かい、用向きを伺う。

「もう少ししたら、子供達を呼んで、ケーキを食べたいと思うの。準備してもらえる?」と夫人が指示する。

「はい、奥様」

「さっき、メアリの声が聞こえてたけど、玲子におねだりしてたのかしら」

「はい、今晩はご一緒したいと、玲子様も良いと言われてました」

「玲子がいいというのならいいわ。マルスのことを邪魔にしなければ」

「ええ、マルス様もご一緒でもいいと言っていました」

「それならいいでしょう、でも、玲子もメアリに慕われてるわね」

「いいお嬢さんですよね」と、恵の母親が、

「しっかりしてますしね」と夫の高野も言う。高野は玲子がリヨン大統領に請われて極秘の会談をしたことを知っているが、この場で言うことはなかった。正直なところダグラス夫妻も、会談の会場を提供したので、玲子がその場にいたことは知っているが言わなかった。エスターは一礼をして、その場を離れた。

「しかし、今回のことは、玲子の頑張りがあって助かったことは確かだ」とジム、

「あの子の頑張りがなければ、我々は貴重なロボットを失うところだった」

 高野が、

「しかし、娘に同行した理由というのが、弟をかわいがっている娘と話してみたかったというのが、なんとも・・・ ありがたいとは思うが、危険に巻き込んでしまったかと思うと心苦しい」

「あなたは恵に危険があると知っていたの?」

「危険があるから、ユリを側に置いていたんだ」と言うものの、娘を囮にした作戦の一環だとは妻には話せなかった。さすがにそれは母親としては許せないだろう。たとえ、娘の護衛にライトニングファントムという海軍先鋭部隊が投入されたことを知っても・・・

「マスコミには海軍のアンドロイドが護衛についていたという論評もありますわね」とアリスがいうとジムが答えた。

「まあ、マルスと大統領の護衛についたマーサは年格好が似ているからな。そう、疑われても仕方ないだろう。だが、それがどうしたという話にしかなっておらん。傷ついたのは襲撃者であって、善良な市民ではない。実際のところ、昨夜からアンドロイド導入の問い合わせがかなり増えているのが市民の本音だろう。対象人物の護衛に使えるアンドロイドは、我が社にしか存在しないからな」

「普遍的にアンドロイドやメタロイドが存在する社会は、犯罪者にとってはやりにくくなるのでしょうね。ダグラスインダストリーのロボットが、ここ数年シティに行き渡り始めたことで犯罪の抑止効果があることをうかがわせるデータもあります」と高野。

「我が社としてはありがたいことでもある。玲子やメアリのような悲劇に見舞われる子が少なくなるのなら、我々は努力のし甲斐があるというものだ」

「それに、ソレイユショックの再来を防げたこと、それはソレイユのファントムにおける功績ですね」と高野。だがジムの表情は暗い。

「そうだ、しかし、ソレイユの功績に我々は十分に報いているかと言えばそうではない。玲子やあの瑞穂という娘との交流がソレイユにしてやれた唯一のことだ。それが、残念ではあるが・・・」

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