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D+VINE  作者: たかつき
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 いつだって、「夢」は見たっていいだろ?



 埃臭く、ゆるい傾斜の薄暗い石の廊下。

 足音は2人分。揃った音ではないが、下り進む音がただ響いている。

 浮かぶ光球の明かりによって、手に持った地図が見れるお陰で迷う心配もない。

 ランプなどといった道具を必要としないので、荷物になることがないのが非常にありがたい。

 しかしながら先人たちの苦労を考えると、今の便利さはありがたいと思うべきなのだろう。

 魔術という名の編み出された技術を。


「なあ、本当にこの道で合ってるのかー?」


 淡々とした道が続いていたのだろうか、片割れが声を上げる。


「地図の通りならこの道で間違いない。

 疲れたか? 音を上げるにはまだ早いと思うが」


 もう一人はさらっとしながらも呆れを含んだ口調で静かに返す。


「確かに地図はあるし、迷いもしねえのはありがたい話だけどな?

 少なくとも…もう少し、こう、イベント的なものも欲しくなってくるっていうか」

「余計なフラグを建てて面倒が起きるよりはマシだろう」

「折角の遺跡探索だぞ? 宝箱の一つや二つあったっていいだろ?

 何もありませんでしたーっていうのもめんどくせーじゃん、依頼者から文句言われるだけだし」

「そもそも、今回の依頼は探索であって回収じゃない。文句を言われる筋合いではないだろう」

「まあ、そうだけどよ…」

「それに心配をしなくとも、それなりには「運動は出来る」ようだぞ」


 通路の先を見つめたまま地図を折り畳んでしまい込む片割れを追うように、視線を向けて聞き耳を立てると奥から音が此方に向かってくるのがわかる。


「やっとお出迎えかい!」


 同時に構えてそう言うと、奥からぞろぞろと現れたのは個々に武器を持った赤黒く染まった骨の兵士だった。

 少なくとも20体はいるだろうか。

 天井もそこそこに高く、道幅がある通路ではあるがそれなりには狭いので囲まれはしないものの、行く手を阻まれるには十分な数である。

 骨たちはカタカタと小刻みな揺れを少々繰り返した後、一斉に二人に向かって走り出した。 

 腰に携帯していた装飾のされた筒状の得物を手にし、彼はそれを手に群れへと駆け出す。

 床を蹴って飛び上がり、得物を横に振ると電子の起動音のような音とともに先端から勢いよく光の線が弧を描くように出現、空を切る音を発しながら骨の1体に襲いかかった。

 それは赤い光を放つ、鞭であった。

 直撃すれば打撃音にしては乾いてはいたが、衝撃は凄まじいようで骨は打撃音とともにバラバラに飛び散っていく。

 ひゅん、と頭蓋骨が衝撃で床を跳ねて空を舞うのを、すかさず捉えて他の骨に叩きつけて出来た足場に着地をし、群れの中から隊列を崩しにかかる。


「はーい注目注目ぅ!」


 軽口のように言うとぐるりと頭だけが回転し、骨たちは歪な状態のままでそのまま向かってくる。

 思わずその姿に一瞬だけ頬を引きつらせてしまうが、容赦なく鞭は骨たちを砕いていく。

 何体かその鞭を逃れ、もう一人の方へと向かっていくがその途中で光線が撃ち抜かれていく。

 その手には少々場に似つかわしくない、近未来的な凝ったデザインの白銀の銃が握られていた。

 次の標的を狙いを定めようとした所で、眉間に皺が寄る。

 バラバラになったはずの骨兵士たちが、瞬く間に元の形に戻っていったのだ。

 再度砕くも少々の時間の後に戻ってしまうその様に「普通ではない」状況が過る。


「おい! 倒しても倒しても元に戻りやがんぞ?!」


 相方が砕いていくそれもまた元に戻る様を見ると、一つの結論に行き着く。

 その考えの答えを確かめるべく銃をホルダーに収め、飛びかかってきた骨兵士を回し蹴りで撃退。

 壁に叩きつけられてバラバラになると頭蓋骨に帯刀していた剣を突き立て、頭蓋骨を砕いた。

 その中身、つまりは頭蓋骨の内側に、黒く描かれた紋様が紫色に一瞬光ってすぐに消える。

 予想通り、であった。

 頭蓋骨を砕いた骨兵士は復活することなく、タダの骨に戻った。


「頭を砕け! 術が仕込まれている!」


 対処法がわかれば苦労することはない。

 相方の指示が飛ぶと「あいよ!」と声を上げ、確実に仕留めていく。

 しかしながら誤算は生じるもので、時間を掛けていた為か否か、ぞろぞろとまた奥から同じ様な骨兵士たちが隊列を組んで現れ始めたのだった。


「冗談だろぉ?! まだいんのかよ!!」


 何とか1グループを倒しきったものの、相方に並んで声を上げれば、さらっとした感じで返す。


「お前の望んだ通りに暇をしない状況になったな」

「フラグを立てるつもりなんてこれっぽっちも考えておりませんでしたのよ?!」


 真顔で見つめてくる相方に、いわゆる「てへぺろ★」といったような可愛い子ぶったあの動作をしてみる。

 ただし、その後の真顔と無言がきつかったのか、居た堪れなくなって盛大に謝りだした。


「いや流石に真顔と無言はやめろよ怖いだろなんかツッコミいれろよ本当すいませんでした」

「問題はない、「俺達の目的」もこの先にある」


 迫る敵に向き直り、相方が剣を構えて言うと気を取り直して構え直す。


「依頼に便乗させてもらったんだ、このくらいは覚悟の上に決まっている」

「お前のそういう物分りがいいトコ、オレ本当大好き! 愛してる!」



 かたや、赤髪の青年。

 名は、アカシャ=ノウルズ。


 かたや、黒髪の青年。

 名は、アサキ=ミスラ。



「遅れるなよ、アカシャ」

「もちばち!」

本当の冒頭部分からの出発になります。

難しいと承知でこれから頑張ってまいります。

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