幕間 一人の少女のものがたり:第2話
少女にとって、外の世界は過酷でした。
ただ息を吸うだけのことが難しい。何もかもが襲いかかってくるかのようで、少女はすぐに後悔しました。
優しいお姉さんやお義兄さんが少女を部屋から出さなかったのは、こうなることを知っていたからなのです。二人は心から、少女のことを心配していたのです。
だけど、誰かのおまけでしかない自分なんかいらない。
誰かの背景でしかいられないくらいなら、死んだほうがずっといい。
少女は心からそう願い、そしてその通りに、力尽きて倒れました。
他に誰もいない、どこかの森の中。ああ、もはやここは背景ですらありません。誰が見ていることもない舞台裏です。
少女は涙が出てきました。どうしてこんなに弱いのか。どうしてこんなに不出来なのか。自分の無力さを、魂の底から呪いました。
――大丈夫?
そんな彼女に、綺麗な手が差し伸べられたのです。
それは、お姫様でした。
美しいドレスに、見惚れてしまう目鼻立ち。お話の中でしか知らないお姫様が、少女に手を差し伸べていたのです。
少女は悲しくなりました。
――いいんです
――死んでしまえばいいんです、こんな弱いわたしは
お姫様は、綺麗な眉をきっと縦にしました。
――弱ければ強くなればよいでしょう
――そうすれば、きっと誰かがあなたを見つけてくれます
――実は私も、その途中なのです
どうしてか、お姫様の言葉は少女の心にすっと入り込みました。
少女はお姫様の手を取り、彼女のもとで修行をすることにしました。
強くなる。
そうすれば、少女のままでいなくてもよくなると信じて。