贄の神殿
疲れた時に書いた。
その内見直します。
救いはないので苦手な方ご容赦国の下さい。
贄の神殿に捧げられる”神の花嫁”として異世界に召還された私。
「そなたには申し訳ないと思っている。しかし、娘は相愛の隣の大国の王と来月に婚姻を結ぶことになっている。
妻亡き後私にとって何よりも大切な宝物だ。私はたった一人の娘を失いたくない。娘を愛する父のエゴとして憎むならば私だけにしてほしい。」
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突然 知らぬ国に呼び出された私は明日 見知らぬこの国の為に”贄”となるらしい。
”贄”とは、神殿の宣託で示されたものが”神の花嫁”になる栄誉ある儀式らしい。
”贄”を捧げると100年間大陸の豊穣と発展を約束してくれる欠かすことの出来ない大切な儀式。
”贄の神殿”は大神殿の地下深くにあり100年に33日だけ扉が開く。
宣託で次の贄に選ばれたのはこの国の姫。
贄は一族の誉れ。ゆえに贄に拒否は認められない。たとえそれが王族であっても。
しかし姫を贄にしたくない王は神官長や魔導士長の反対を押し切って姫の身代わりになれるものを召還した。
「そなたには申し訳ないと思っている。しかし、娘は相愛の隣の大国の王と来月に婚姻を結ぶことになっている。
妻亡き後私にとって何よりも大切な宝物だ。私はたった一人の娘を失いたくない。娘を愛する父のエゴとして憎むならば私だけにしてほしい。」
らしい。
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泣き叫び嫌だと言い逃げようとした私は光のささない地下の牢屋に閉じ込められた。
勝手に死なないように猿轡をされ、両手足には重い鉄の枷が付けられた。
ここを出れるのは贄になる時。涙が止まらない。
泣き続ける私にこっそりと面会に来た神官長と魔導士長が面会に来た。
一つだけ、願いを叶えてくれるという魔石を手に握らせてくれた。
ただし、死にたいとか元の世界に戻りたいとかの願いは叶わないらしい。
そして私は”神の花嫁”になった。
異世界から贄を呼び、姫の代わりに贄として捧げ・・・・・。
【贄の大陸の人々】
夢を見た。この世界よりも豊かで発展した国の大きな家に娘が生まれた。
ずっと生まれず10年の不妊治療の末の奇跡の子。家族も親族も、皆に祝福された子。
しかしその母は娘が小さい頃に亡くなってしまう。
たった一人の家族となった娘を父は溺愛した。沢山の友人に囲まれ幸せに暮らしていた。
ある日、財閥の息子に見初められようやく結婚が決まった。
御曹司はこの娘をとても愛していた。大切に大切にしていた。
しかし一週間後に結婚式を迎えるはずだったある日、娘は突然姿を消した。
親も友人も周りも人も、娘がどれほど御曹司を愛していたか知っていたので自発的な失踪とはだれ一人考えなかった。
誘拐ではないかと思いこの国の軍や騎士団のような組織も動き探しているが一向に手がかりが掴めない。
憔悴しきった人々の顔。苦しみ。娘を浚った者への憎しみが伝わってくる。
【異世界の人々】
大切な大切な娘がある日突然消えた。部屋にいたはずなのに忽然と。
娘は一週間後に式を控えている。お互いが一目ぼれだったという相愛の御曹司、娘をこよなく愛し大切にする同士。
友人たちも周りの誰もが、娘が自分から消えるはずがない、誘拐に違いないと言った。
しかし一向に見つからない手がかり。生きているのかさえ分からない。日一日と焦りが募る。
そんなある日皆が一斉に同じ夢を見た。
娘が異世界の王に浚われ地下の暗い牢に閉じ込められ翌日に贄とされる夢。
白骨の山の上に座り込み、帰りたいと涙していた。
なんで私が?(全然関係ない世界の安寧のために連れてこられたの?)
誰を憎めばいいの?(憎んでも戻れない)
どうすればいいの?(どうにもできない)
パパに会いたい。夢だったんだよって言ってほしい(夢ならさめるのに)
ゆう君に会いたい(大好きだよ、愛しているって伝えたい)
みんなに会いたい(会いたい。嘘だって言ってほしい)
もう死ぬのかなぁ?(体が元の世界に戻れないのであれば、魂となって戻ります。愛しています。)
恨みの言葉も・憎しみの言葉もなかった。ただただひたすらに愛してくれた人たちへの感謝と愛を伝えただけだった。
贄の神殿が大きく輝き、召還の神殿まで大きな虹をわたした。そのあまりの美しさに人々は皆涙し慟哭する。
【贄の大陸の人々】
”贄には拒否は認められぬ。”
それはこの世界の不文律。
皆は贄の者を思う。大陸で皆が信仰する神殿の教え。
100年に一度の贄はどの国から出るかは分からない。多く贄を出す国もあれば少ない国もある。
しかし過去の贄には他国の姫もこの国の有力な貴族の娘もいた。
国の為・人々の為にと皆涙をのんで愛するものを贄とした。貴族などの特権階級であればあるほど贄に選ばれることは多い。
それも上に立つ者の責務と考え、ゆえに贄の身代わりなど今までにはなかった。
神官長と魔導士長はだから反対した。国や人々のの為に。
二人の先祖にも贄の娘はいた。贄の一族は皆贄の娘を決して忘れない。苦しみも悲しみも抱え込み生きてきた者たち。
その者たちにとって自分の娘の為に異世界の愛された娘を贄にした王は【許されざる者】だった。
贄の身代わりを出した国とその隣国の大国は神殿に見放された。
神殿の怒りを鎮めるために王と姫と隣国の王の三人は”贄の神殿”に捧げられた。
異世界の夢を見た者は皆、召還に異世界の娘を贄にした者を許さなかった。
【贄の神殿】
贄の神殿に投げ込まれた。贄の神殿は地下にあり入り口から入るには投げ込む形になる。
周りを見てみる。足元は今までに捧げられたであろう贄の白骨の山。光が所々差し込んでいるが暗くてよく見えない。
地下だからか冷えて寒々しいが3人一緒だ。1人でない事が心強かった。
しかし、突然神殿内がまぶしい光に満ちた。
目の前にいたのは・・・・・。
怒りを目にこちらを睨み付ける幾つもの瞳。
異世界の娘の・・・・周りにいた人々。目には狂気をにじませて
そして目の前には憎いあの王。そして姫と婚約者らしきもの。
こいつらのせいで!!怒りに我をわすれた。思うままに拳をふるい、暴言を吐き憎しみをぶつけた。
”娘をかえせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ------------------!!!”
”彼女を返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ------------------!!!”
”(友達を)(お嬢様を)返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ------------------!!!”
白骨の山の上には真新しい3つの死体。私達は贄の神殿にたたずむ。
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贄の神殿は、より多くの 贄を求む。
贄はその時一番愛されているであろう人物を選ぶ。
その人間を追ってこの神殿に来るであろうより多くの贄を求めて。
異世界から贄を呼び、姫の代わりに贄として捧げ・・・・・。
次の千年に開かれる扉を夢見て・・・・・全ての扉は閉ざされた。
お読みいただきありがとうございます。