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フランカーレ  作者: 銭田さん
3/3

鳥人間 前編

 

 「バルンド国の北にあるサッポロという村では10年ほど前から家畜が10匹単位で消えることがあったそうだ。それが今度は人間を襲い始めたらしい。この原因を調べてほしいという依頼があった。今回はそんなことが本当におこったのか。本当なら原因の究明し解決しろというのが命令だ。」


 国連からの命令をガーディーは俺に伝えた。ガーディーは人語を話す犬だ。黒い毛で目も黒いそして14歳くらいの男の大きさはある、ガーディーという名前にふさわしい犬だ。このように連絡係としてガーディーは使われている。


 ガーディーは俺にそれを伝えるとどこかに行ってしまった。犬が喋る以上周りに気をつけなければならないからだ。なぜ、そんな面倒な物を連絡係にしたのかはわからない。


 「バルンド国か。あそこは魚がうまかったか。」





 サッポロの前の街に着いた。夜だというのに男も女も酒を飲んで歌を歌い騒いでいた。居酒屋に入るとここも肉体労働を終えた労働者達が酒をくらい叫んでいた。絡まれないように一番はしの席に座り料理と酒を頼んだ。酒はどちらかというと強い方であるから頼る者がいない地で酔いつぶれることはない。少しすると料理と酒が届いた。寒い気温であるため熱燗だった。魚はいい感じに焦げ目がついている。魚をほぐすといい匂いがさらに広がる。ポン酢というこの土地独特の液体を大根をすったもののうえにかける、そうするといい大根の匂いとポン酢の匂いがあわさり間違いなくおいしい物という予感をさせる匂いを放つ。料理はまず香りで味わえとはこういうことか、などと思いながらポン酢と大根を合わせた液体に魚の身をつけて食べる。大根の苦味とポン酢の酸味魚の香ばしさが口全体に広がる。のみ込んだ喉に酒を入れるとまた格別であった。





 「お客さん、焼き鳥もどうだい」


 店主が俺に勧めるがこれは断った。理由は俺が鶏肉が食えないからだ。






 サッポロについた。昨日の街とは違い老人が多かった。ヨコハマ以来の若者の少なさだったがサッポロは森の中にある集落で人口もそこまでいるとは思えなかったので若者の少なさも納得できた。働いていた若い男に声をかけるとなんとその男が今回の依頼をした男であった。


 男の名前はモーリスといって集落の若者らしくがたいがよかった。年齢は20代になったばかりという感じがした。


 「昔からよく夜に羊や豚、ヤギが消えることはあった。そして朝、森の中でたくさんの骨が見つかる。それは大変なことだが今回の比ではない。今回は人間を襲った。襲われたのはルーだった・・・」


 「そのルーとあんたの関係は?」


 「幼馴染みだった。そして愛していた。俺たちはお金が貯まったら結婚するつもりだった。なのにこんな・・・頼む伝道師さんルーを取り返してくれなんて言わないこれ以上俺たちのような人を増やしたくない、協力してくれ」


 「わかった、協力しよう。しかし、単なる狼とかではないのか?」

 

 「いや、違うラー・・・ルーの姉が見たらしいその正体を」


 「それで」


 「正体は鳥の化け物そう、鳥人間だったらしい。」


 俺は唖然とした。魔物はたくさんの種類がいるが鳥人間なんてどこの国でも聞いたことがない。


 「鳥人間?そんなの聞いたことがない。見間違いだろう」


 「俺は見てないからわからない。とりあえずラーから話を聞いてくれ」



 案内されたのは村のものより少し大きい家だった。話を聞くとラーという女性はルーを失ったモーリスの面倒をずっと見てきたらしい。自分とて妹を失ったのに面倒を見てくれたことにモーリスはすごく感謝していた。モーリスが声をかけると家から女が出て来た。年齢はモーリスと同じくらいで何か落ち着いた雰囲気をだす女性だった。その落ち着いた雰囲気が妹を失った人間のものとは思えなくて少し恐怖を抱かせた。


 「ええ見ました。体はモーリスと同じくらいの大きさで夜に見たのもありますが真っ黒い格好に見えました。翼は黒い布で出来ているみたいでした。」

 

 「あんたはなぜ鳥人間を見たんだ?」


 「一人で夜に山菜をとっているときに物音がして木の陰からこっそり見たら鳥人間がシカを食っていました。とても恐ろしくて声をださなかったのがよかったのか鳥人間に見つからずにすみました。」


 鳥人間など聞いたことない以上情報が必要だ。しかしラーの話から出て来た情報は外見的ものばかりでどんな動きをするのかすら分からないのでは苦労するな。

 

 「話しだけじゃやはり情報不足だな。とりあえず森に行ってみる。」

 

 「お気をつけて」


 ラーは俺に挨拶をしたがモーリスはなにも言ってこない。



 






 森の中でバックを開ける。そして中から組み立て式の銃を出し手早く組み立てる。この銃は猟師が使うような銃ではなく伝道師が使うように作られた武器だ。10発の弾を連続で撃つことができる。さらに、銃弾にも仕掛けがあり魔術を使ううえで必要な魔力を消すことができる。消すというよりは魔術に働いている魔力とは逆向きの魔力を与えることで魔術自体を無効にするのだが詳しい原理はわからない。


 しばらく歩いていると老人が山菜を集めていた。一応鳥人間について聞いてみるか。


 「なあ、最近夜この近くで何か見なかったか?」


 「なんだ突然。まあ、いいか。あんたよそ者だから知らないだろうけどこの近くで夜に森に入ろうとするやつなんて一人もいやしない。家畜を襲っているものだけを恐れているのではない。夜の森など普通入らない。」


 確かにその通りだ。そんな単純なことも思いつかないなんて・・・・・いや、それならばなぜラーはそんなところにいたのだろうか・・・・

 

「それもそうか。なあ、ルーって女を知ってるよな今度はそいつについて教えてくれ。」


「伝道師さん。すみませんがこちらでお話ししたいことがあるのできてもらえますか?」


 正直、気づかなかった。いつの間にか後ろにいて老人が答える前にラーが口を開いた。何かあるだろう。俺は老人に簡単に挨拶してラーについていった。


 人気のないところでラーが口を開いた。


 「伝道師さん、今回の件ここらで手を引いてもらえませんか。モーリスは傷ついているんです。彼は敵を討ちたいだけで他人のことなんか考えていません。そもそも夜に森にでたルーが悪いでしょう?私たちは気をつけるので大丈夫もう、私たちには構わないで。」


 「そんなこと言ってあんた外で鳥人間を見たっていったじゃないか。危険だと分かっていても外に出るやつが2人もいるんだ他にもいるかもしれない。悪いがこの依頼は降りないよ。」  

 

 「そうですか。では交渉決裂ですね」



 ラーは彼女の自宅のほうに帰っていった。


 「昼間探してもみつかるまい、夜まで待とうじゃないか」




 夜になった。辺りは闇に包まれている・・・こんな中で黒い鳥人間と戦闘になったらまずいな。とりあえず明るい道を進み森に入ろう。



 しばらく森の中を進む。火を使わないのは相手が鳥である以上火を恐れて近づいてこなくなる可能性を考えてだ。


 月明かりを頼りにしていたのですぐに分かった。俺の後ろにある月が何かに隠された。雲だろうが一応確認する。



 隠した犯人は雲などではなかった。皮膚は黒いがそれは皮膚というよりは昔国連の研究所でみたゴムに近いものだった。翼は黒い布としか言いようがない。ラーが言っていた通りだった。


 ソレは翼を体に直角になるようにおるとこちらに急降下してきた。ギリギリで避けるがその間にソレは闇に消え再び攻撃を仕掛けてくる。真上に気配を感じた。背中にはまだ銃がある。180度銃の向きを変え銃口を真上に向け引き金を引く。銃弾を発射するとソレの体にあたったようだが仕留めてはいないようだ。気配はどこかに消えた。銃を手に持ちソレを待ち構える。斜め後ろから先の尖った木の枝がとんでくる。避けるが何本かは足にかすった。大木の後ろに隠れる。ソレは武器がなくなるまで投てきし続けるがその間に大木に上り攻撃がやんだ瞬間銃弾を放つ。しかし距離が遠く肩を撃ち抜く程度だった。


 突如ソレは急降下し俺の上った木を根元から切り落とした。別の木に飛び移る瞬間を狙ってくる。しかしそうして近づいたとき俺は奴の頭を撃ち抜く。勝負は次の手で決まるだろう。



 あちらが空中で俺を撃ち抜くのが速いか

 こちらが空中で奴を撃ち抜くのが速いか



 

 






 

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