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第28話〜明日は文化祭〜

「おいセバスチャン、それはこっちだ」

「オッケー兼次」

「明日香ー! これは何処に運べばいいの?」

「それはこっちですわよ」



みなさんおはようございます、慶二です。

今日は、高政達小学生がグラウンドでかけっこや玉入れなどをするであろう、十月十日。外からは軽い爆発の音が沢山聞こえてきました。あれは何の音なのでしょうか。

今、俺達はそんな休日を返上して、明日に迫った文化祭の準備をしています。

それにあたっては、文化祭委員である兼次と明日香が中心となって、は組総勢で準備に取り掛かっています。


そして俺は教室にはいません。部室にいます。

そして、何をしているのかというと…。



「え、本当に前田さんなんですか…?」

「本当に綺麗ね〜♪」

「うわぁ…」



うん、まず俺達の出し物から説明をする必要がありそうですね。


元々、喫茶店をやる。ということは夏休み前から決まっていたそうです。

そして忠海と俳句を詠んでいた次の日、火曜日ですね。出し物を完全に決定しました。


俺達がやるのは、メイド喫茶なんて在り来りな出し物ではありません。

なにを隠そう、俺達がやるのはコスプレ喫茶です。

兼次が企画提案、クラス中の男子全員が賛成、女子は澪と忠海以外反対。

賛成は過半数だったので、コスプレ喫茶で決定しました。

俺はあくまで中立。は組のスイス的存在です。



「七美もメイクが上手いのね」

「七美さんはあまり化粧をしていないのに、どこで習得したんですか?」

「ヒミツよ♪」



そんなこんなでコスプレ喫茶に決まったのはよかったのですが、お察しの通り、俺も謎の美少女としてコスプレ喫茶の餌食となりました。

何故断らなかったかって?

そんなの写真を持って脅されたからに決まっています。忌ま忌ましい一眼レフです。



「で、俺は−−」

「喋っちゃだめよ!」

「前田さん、せっかくの顔が台なしです」

「ケイ、暫く黙って生活していなさい」



やっと説明が追い付きましたね。

今、俺と七美と五十嵐姉妹は食堂上のにいます。

沙織里も四分蔵以外とは話せるようになったらしく、昼ご飯も一緒に食べています。

これには素直によかった、と思います。



「はいはい。で、俺の衣装はどれだ?」

「たしか慶二の役は…」

「イッコーじゃなかったかしら」

「違うよお姉ちゃん、カーリーだよ」

「あれ、私はマージーだと思ってたけど♪」

「おい! どうして役柄に伏線を張る必要があるんだよ!」



俺がなりきるのは、世界の偉人だろ!

確かに三人共天才だけどさ、もっとクレオパトラとか…。



「慶二はたしか…。メイドさんだったかしら」

「そうです。メイドさんでした」

「うへぇぇぇ!!!」



…そうして俺はメイド服を着させられた。

しかし、いざ着てみるとなんだがワクワクしてくる。

俺は変態なのだろうか…。



「うぉぉぉ!!!」

「か、かわいすぎる!!!」

「お前、本当に慶二か!?」



俺が教室に入るなりこれだ…。



「どうだみんな、驚いただろう。そこで、恐らくクラス中で一番綺麗であろう慶二を、宣伝ポスターに使う」



兼次がまた無茶を言い出した。

異義を申し立てたかったが、俺は喋れないので画用紙を通して自分の意思を伝えなければいけない。



「俺なんかより、里美や七美達を使えばいいだろ。 …残念だが駄目だ。これは決定事項だからな。それにクラス中の男子の目を見ろ」



あら〜。みんな俺に恋しちゃったのかしら〜。



「わかった、やるよ。 よし、早速準備だ。明日香!」

「一眼レフですわね」



一眼レフと聞くだけで腹が立つ。

まったく忌ま忌ましい…。


そして俺は写真を撮られた。

写真を撮ってくれた人は、明日香が雇ったプロカメラマンらしく、あまりにも綺麗に撮れていたので、驚いてしまった。


しかし…。こんなのじいちゃんに見られたら、男のくせに何をやっとるか。なんて言われて半殺しだろうな。

じいちゃんは頭の堅い人間だから、性同一性障害って言っても通じずに、半殺しだ。

まぁ、そんな嘘をつくのは、人間として最低な訳だから仕方ないが。


そんなこんなでポスターは、写真を撮られてから一時間で出来上がった。自分で言うのもあれだが、ポスターに写っている子は本当にかわいい。

客観的に見てだからね。勘違いしないでね。お願いしますよ。





……




「そういえば、慶二くんは前夜祭に出るの?」

「ん、出るよ」



あの後俺はすぐにメイクを落とし、教室での力仕事を手伝った。


そして、今は斜陽が発する橙色の光が、教室中を照らすように差し込んでくる夕方。

教室も喫茶店らしくなり、いよいよ文化祭だな。といった感じがする。

そんな中、俺と澪は床に座って休憩しながら、話していた。



「何をやるか知ってる?」

「それは知らないな。いったい何をやるんだ?」

「よくぞ聞いてくれました!」

「いや、うん…」



誘導したくせに、その発言はどうかと思うよ…。



「まずは各クラスの出し物紹介。私達のクラスは、里美と七美と兼次くんが出るの」

「それは単に顔のよさで選んだのか?」

「そうだね。喫茶店なんかだと見た目が重要でしょ?」

「澪は出ないのか?」

「うん、出ないよ。里美達の方が可愛いから」

「いや、正直言って変わらないよ」

「あははっ。慶二くんも上手だね〜」



ん、俺はお世辞を言ったつもりは無いんだが…。



「いや、本当に。涼子や明日香もそうだし」

「涼子や明日香も?」

「ああ。その五人から誰を選ぶかなんて、三者三様だろ。好みの問題だ」

「本当に? ありがとう慶二くん」

「礼には及ばないぞ。俺はお世辞と謙遜がきらいなだけさっ!」

「何それ〜。 …でも、そうしたら慶二くんはどうして呼ばれなかったんだろうね」

「ん、そんなの兼次の方がカッコイイからだろ?」

「そんなことないよ。それこそ好みの問題だよ。学年の女子も見事に二分化されてるからね〜」

「え、そうなんだ」

「わたしは慶二くんの方がカッコイイと思うけどな〜」

「そっか。ありがとうな澪」

「慶二くんは−−」






「−−誰が好みなの?」

「俺?」

「うん。慶二くんは私達を、好みの問題って言ったでしょ? だから慶二くんは誰が好みなのかな〜。って」

「うーん…」



いざ言われるとなると、なかなか出てこないな…。



「分からないな…」

「ふふっ。慶二くんは自分のことになると本当に鈍いね〜」

「澪に言われたくねえっ!」

「ふぇ? どうして?」

「そんなのお前…」



しかし澪の真面目な顔を見ると、その先の言葉が出てこなかった。



「真面目に教えて、慶二くん…」



さっきも一応真面目に考えたんだがな…。

俺は五人の中で誰が好みか…。



「正直言って絞れない。みんな好みだ」

「みんな好み?」



俺には絞れなかった。

全員に全員のよさがあって、俺はそれが全て好き。

そんな結論に達した。



「ああ。雪江さんも綾子さんも好きだ。今はそこまでしか言えない」

「そっか…。ならチャンスは充分にあるんだ♪」

「チャンス? 出し物紹介に出るチャンスか?」

「慶二く〜ん。頭を手術した方がいいよ〜」

「なんだとっ!!!」

「キャ〜。 慶二くんが襲って来たよ〜」

「襲ってねぇ!!!」

「あはは♪ それじゃあ前夜祭に行こっか」

「わかった。忠海明日香涼子詩織里沙織里ー! 行くぞー!」



俺は立ち上がってから明日香達を呼んだ。



「拙者は無視でござるか!?」

「誰だお前。つーか拙者って何? ドイツ語?」

「そこから説明が必要でござったか…!!!」




前夜祭では出し物紹介の他に、バンド演奏、校長の話があった。

そしていよいよ明日は文化祭。

今回はコメディー要素が皆無だったが次回、作者はコメディーらしい文化祭にすることが出来るのだろうか…。

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