第19話〜万部の初活動〜
「万部初活動はこれだよ!」
ドンッ!
「おいおい、人生のゲームかよ…」
「忠海がやりたいだけだろ」
「楽しそうじゃのう」
「まっけないよ〜」
「拙者に敗北の文字はござらんっ!!!」
「頑張るわ♪」
皆さんこんにちは、前田慶二です。
今日、高政は友達と遊ぶから休み。外康さんは休み。外康さんは基本的にあまり出れないそうです。
そして記念すべき初部活動の内容は、人生のゲーム。ふざけているのでしょうか。
ちなみに北条院グループのお陰で、部室は普通の部屋になっている。
大型プラズマテレビや、最新型パソコン、電話まであり、床は12畳の畳張りだ。
ここで普通に生活できます。凄いです。
「チッチッチ、みんな甘いよ。ベリーベリーペリー来日スウィートだよ」
忠海は自信満々にそう言った。
何か特別なことを用意しているのだろうか…。
「甘い…。でござるか?」
「それはなんじゃい」
忠海は立ち上がった。
「これは明日発売の最新型だよ!」
「前日に買ったのでござるか?」
「買ってないよ、ちょっと拝借しただけだよ」
犯罪だよ犯罪!!!
「冗談は置いといて、それはどんな人生ゲームなんだ?」
「ありゃりゃ、気付かれたか」
兼次は忠海の嘘を見破って、その人生のゲームを指差しながら聞いた。
「名付けて!」
名付けたのはお前じゃないからな。
「ドキドキ!ペアで人生を渡り歩こう!だよ!」
はぁ?
「ルールは簡単だよ。まず二人組をつくるんだよ」
そこまでは名前から予想可能だよな。
「それだけだよ」
それだけ!?
「それだけなの〜?」
「その他はやってみたら、じきに分かるよ」
「まぁそうだな」
「じゃああみだクジでペアを決めるよ」
忠海はすかさず一瞬であみだクジを作り上げた。
…
……
「頑張ろうよ澪!」
「頑張ろうね〜」
まず一組目のペアは澪、忠海ペアだ。
なかなか団結力がありそうなペアだな。
「頑張るでござる七美殿!」
「オッケー♪」
この二人はダークホースだ…。油断できない。
「で、俺は兼次とか…」
「俺としても、非常に残念だ…」
最後の二人はもっと残念だ。
「いくぞい有次!」
「ああ、絶対に勝つぞ」
死ねばいいのに。
とりあえず順番は、今紹介した通り。
雪江さんは見ているんだそうだ。
そして忠海・澪ペアがルーレットを回した。
「よし、1だよ!」
「やったね忠海♪」
いやいやいや、一番最低な数ですから。
澪が止まったマスに書いてある文字を読む。
「…誰でもいいから、とりあえず人の足を踏め、踏み潰せ、全てを壊せ、破壊こそ我が全て。グハハハハー!だって〜」
うへぇぇぇ!!!!!
「よし、死ね四分蔵ー!!!」
「ウワンゲワャー!!!」
忠海が四分蔵の足を踏み、踏み潰し、全てを壊してから言った。
「破壊こそ我が全て!グハハハハー!」
何だこれ…。
「次は私達よ♪」
「そうでござるな」
うぉっ!忍者が生きてるっ!
「1でござる」
「さよなら四分蔵♪」
以下略。
「俺達の番か…」
「とりあえず俺が駒を動かすから、慶二はルーレットを頼む」
「ん、あぁ。分かった」
俺は兼次に言われた通り、ルーレットを回した。
「2だ」
そして兼次が駒を動かし、文を読んだ。
「前田慶二は三秒後に右足がつる」
「はぁ?何言ってんのお前。足がつるわけなっ…!!!」
つったー!!!!!
「いってぇー!!!ぬぉぉぉー!!!」
慶二さんの足がつったので、私がナレーションを…。
頑張ります…。
「次はわしらの番じゃい!」
「いっくぜー!」
酒井さんが、気合いを入れながらルーレットを回してます…。
「5だぜ!」
「わしらが一番じゃい!」
「やったな直正!」
「わしらにかかれば当然じゃい!」
井伊さんと酒井さんが、ハイタッチしながら喜んでいます…。
「よし動かしたぞい!」
「それで、何が書いてあるんだ?」
「スタートに戻るそうじゃい!」
「やったな直正!それじゃあスタートに戻るぞ!」
「合点承知!」
次は澪達の番ですね…。
「8だ〜」
「えっと、ボウリングで300点以上出すまで休み。だよ」
「それじゃあ行ってこようよ〜」
「そうだね!」
二人は行ってしまいました…。
はたして300点以上なんで出るのでしょうか…。
「次は拙者達の番でござる」
「10よ♪」
服部さんは生きていましたね…。
ここだけの話、あの人はとても苦手です…。
「未成年の飲酒は法律で禁じられています。って書いてあるわ…」
「そうでござるか…」
「うん…」
慶二さんの足が治ったみたいです…。
でも、ナレーションどころではないようなので、引き続き私が…。
「今度はルーレットも駒も俺に任せろ!」
「ちょっ、慶二っ!」
慶二さんがルーレットを回しました。
「5だ」
慶二さんは文を読み、少し考えてから言いました…。
「兼次は裸足でグラウンド十周」
「こんちくしょー!!!」
兼次さんは、覚えてろよー!と言って、部室を出ていきました…。
「また5じゃい!」
「よくやった直正!これでまたスタートに戻れるぞ」
「ガッハッハッ!」
あの二人はルールが分かっているのでしょうか…?
「あの二人はまだ帰っていないでござるから、拙者達の番でござる」
「10よ♪」
二人はそこに書いてあることを読みました…。
「優先席付近では携帯の電源を切りましょう」
「…」
「…」
兼次さんが戻ってきました。
「慶二はそこで休んでろ!俺がやるから!」
「おい!待てよ!」
兼次さんが慶二さんを押し飛ばしました…。
慶二さん、大丈夫かな…?
「前田慶二は三秒後に鳥になり、大空を羽ばたく」
「この野郎ぉぉぉ!!!」
慶二さんは屋上へと向かいました…。
慶二さん、大丈夫かな…。
「うわぁぁぁ…」
「がぁぁぁぁ…」
例の二人が頭を抱えています…。
どうしたのでしょうか…。
「4が出てしまったー!!!」
「すまない有次!!!」
「気にするな!俺達は親友だ!」
「有次ぅー!!!」
あ、澪達が戻ってきましたね…。
それにしても二人は何故日焼けをしているんでしょうか…。
「ボウリングの後のハワイは最高だよ!」
「ハワイあってこそのボウリングだよね〜」
なるほど…。
ハワイに行ってたんですか…。
「次は7だよ」
「え〜っと、阪神タイガースにコールド勝ちをしてこい、コールド勝ちするまで休み。だってさ〜」
「よし、行くよ!」
「おー!」
二人はまた行ってしまいました…。
「拙者達はまた10…」
「読んで、四分蔵…」
そして四分蔵さんが読みます…。
「横浜市はG30。と書いてあるでござる…」
横浜市はゴミを30パーセント減らしたいそうです…。
「さっきからそうなんだけどさ…」
「…」
「私達は何をすればいいんだろうね…」
「…分別でござろうか」
「分別…」
「ゴミの…」
慶二さんが右腕にギブスを付けて登場してきました…。
「兼次はコーラの風呂に入る…」
「ハハハ!駒を動かしていないのに何を言っているんだよ!」
しかし、兼次さんはゲームのボードを見て、目を飛び出させました…。
「すでに駒を動かしただと!?」
「甘いんだよ兼次…」
「どうし…。まさかっ!!!」
「ああ、使わせてもらったぜ。風林火山をな…」
「ちっきしょー!体がベタベタになるじゃねぇかよー!!!」
兼次さんは行ってしまいました…。
コーラ風呂ですか…。
「有次ー!!!」
「どうした直正!?」
「1じゃい!1が出たぞい!」
「で、でかしたぞ直正ー!!!」
そんなにスタートは魅力的なのでしょうか…。
「拙者達の番でござるな…」
「なんかやる気が無くなってきたよ…」
二人は重い手つきですね…。
「七美殿!!!」
「どうしたの四分蔵!?」
四分蔵さんがボードを見ながら、大喜びし始めました…。
「就職でござる!!!」
「やったー♪」
「アイドルでござろうか?それともサッカー選手でござろうか?」
「弁護士や医者だったりして♪」
四分蔵さんはうきうきしながら、そのマスに書いてある職業を見ました…。
「アイドルでござるか?それと…。も…」
「どうしたの四分蔵!?」
「…」
「どうしたの四分蔵?」
「そっちでござったか…」
四分蔵さんの態度が気になった七美さんは、ボードを見ます…。
「魔法使い…」
「…」
「そっちの職業か…」
あ…。全身ベタベタな兼次さんが戻ってきました…。
「前田慶二!これを見ろ!」
取り出したのは、紐に吊された五円玉…。
「なんだお前、催眠術か。俺がそんなのにひっかかるっ…。どうぞ兼次さん。駒を動かしてください。なんなら靴もお舐め致しましょうか?」
催眠術でやってはいけないことをやってますね…。
しかし兼次さんは気にせず、ルーレットと駒を動かしました…。
「前田慶二!」
「なんですかご主人様?」
慶二さんはゲームが無くても、兼次さんの言うことなら、なんでも聞きそうなんですが…。
「お前はイルカだ」
「キュイーン」
慶二さんなりに考えた、イルカの鳴き声でしょうか…。
「プールでショーをやってこい。火の輪くぐりをな!」
「キュイーン」
慶二さんはプールへ行ってしまいました…。
まさに鬼畜です…。
「しまったー!」
「どうした有次!?」
うるさいです…。
「9が出てしまった!」
「それじゃあもう…」
「スタートに戻れないっ!」
「くそっ!」
「すまん直正っ!」
「いや、有次が気にすることじゃない…」
「直正…」
「とにかくマスに書いてある文を読むぞい!」
「直正っ!」
これは感動の場面なんでしょうか…。
「なんて書いてあるんだ、直正…」
「あ、あああ有次!」
「どうした直正っ!」
「スタートに戻っていいって書いてあるぞい!!!」
「直正っー!」
「有次っー!」
これはいったい…?
「ふ〜い」
「さすがに疲れたよ〜」
澪と忠海の二人が帰ってきました…。
それにしても何故、二人はダイヤなどの高価なアクセサリーを、いくつも付けているのでしょうか…?
「やっぱり阪神戦の後は…」
「株だよね〜」
あぁ…。
株が当たったんですか…。
「じゃあさっさとルーレットだよ!」
この二人は人生ゲームをやってるだけなのに、本物の人生で成功し始めましたね…。
「忠海、何て書いてあるの?」
「お客様満足度No.1の携帯会社を作り上げろだよ〜」
「じゃあ早速始めよう!」
「おー!」
また二人はどこかへ行ってしまいました…。
「つぎは…」
「私達の番ね…」
目も当てられない二人です…。
「七美殿!七美殿!」
「どうせまたくだらないんでしょ?」
「今回は違うでござる!仕返しマスでござる!」
「うっそー♪」
二人の表情が明るくなりました…。
よかった…。
「それでそれで♪」
「今、内容を見るでござる」
「うんうん♪」
「えーっと…」
「なになに?」
「仕返しなんてやめておけ。あんたはまだ若い。そんなくだらない物の為にこれからの人生を捨てるな。どうしても仕返しがしたければ私を倒してからにしろ…」
「…」
「その、私って誰でござろうか…?」
「…」
…。
「おい兼次!今から逆立ちで日本を一周してこい!」
「またしても風林火山を使ったかっ!」
「催眠術よりはフェアだと思うぜ」
「くっ!コノヤロー!!!」
「よっしゃー!またスタート地点だぜ!」
「やったのう有次!」
「俺にかかればどんな双六でも、スタート地点から動かないぜ」
「さすが有次じゃい!」
「やっぱり満足度No.1の後は隠居だよね〜」
「仙人になるとさ、この世の全てがむなしくなるって言うかさ…」
「せっかく儲けたんだけどね…」
「むなしくなっちゃったからね…」
もうめちゃめちゃです…。
「3でござる…」
「一、二、三、と」
「結局ゴールしちゃったわね…」
今日は雪江がお送りしました…。