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第18話〜双子の委員会〜

二人の新ヒロインが登場します。

「こ、これは…」



皆さんお早うございます、前田慶二です。

今朝、俺は寝坊をしてしまい、里美に置いていかれる羽目になりました。非常に薄情なやつです。

人を起こすというのは、その人が起きるまで起こす。このことを…。


説明が面倒だから省略。


そして遅刻はするものの、一時間目はホームルーム。こういうのを不幸中の幸いと言うのでしょうか。


そこで本題なんですが…。率直に言いますと…。



「どうして俺の椅子に大量の画鋲が…?」



どうしてみんなして俺を見るんだよ?



まさか…。



「リアクションをしろってことか…」



フフフ…。俺はこの手のリアクションだったら、おてのものなんだな。

クラス中を、笑いと驚きのエレクトリカルパレードにしてやるぜ。



「遅刻しちゃってすいませーん♪」



リアクションの基本、その1。

まずは気付かない振りをする。



「チェックはしましたから、席に着いて下さい」



成美先生が企画したのかな?

お笑い好きにも程があるだろ…。



「すいません!とにかく座ります!」



基本その2。

表情はいつも通りに。


そして、俺の表情はいつも通り。これで完璧だ。



「里美〜。もうちょっと根気よく起こしてくれても罰は当たらないって」



そうして俺は椅子を引く。


基本その3。

誰かに話し掛けながら、そのまま自然な流れで。



ここまでは完璧だ…。ここまでは素人でもできる。本当のリアクション芸人は、この一つ上をいく。

俺はその領域に足を踏み入れた者…。



見てろっ!!!これが真のリアクションだ!!!



「まあ、俺が起きれ…」



俺は椅子に座る。



「…ばいいだけのっ!!!イッターイ!!!!!」



俺は椅子に座ったままの姿勢でジャンプ。

最高点に達すると同時に、両足をのばしながら頭の高さまでまで上げ、前屈の姿勢になる。

そして最後の着地は尻から。もちろん尻に画鋲は付いていない。それも狙い通り。

これぞ名付けて、前田慶二リアクションその3【レレレのレ】だ!!!




「何だあれは!?」

「凄いっ!!!」

「まさにフライングヒューマンだ!」



フフフ…。クラス中が笑いと驚きのエレクトリカルパレードだぜ。

こんなリアクションが拝めるのは、このクラスだけだ。

あんたらもラッキーだな。



「島君ってバク宙できたんだ!?」

「まさにフライング兼次だ!」

「へへっ、まあな♪」



ぶっ殺すぞ!!!



「おいお前ら!!!今のリアクション見てなかったのかよ!!!」

「リアクションって何ですの?」

「知らないよ〜」

「元広島の選手とか?」



うぁぁぁー!!!そこからかぁぁぁー!!!

しかも元広島とか絶対ねーよ!!!



「違うわよ♪リアクションていうのはね…」

「七美、知っているんですの?」



そうだ七美!こいつらにリアクションを教えてやれ!!!






「元ヤクルトよ♪」




野球から離れろよぉぉぉ!!!



「違うよ七美!」

「澪…?」



おお。澪ならお笑いとかよく見そうだから、リアクションくらい知っているよな。






「元ヴェルディだよ」




かすってもねーんだよぉぉぉ!!!



「どいつもこいつも違うんだよ!リアクションって言うのはだな…」

「そのくらい知っていましてよ、貧乏人!!!」

「反応のことでしょ、鈍感慶二くん!!!」

「そんな当たり前のことに説明なんかいらないわよ、毎日お母さんの胸を50回以上ちらちら見る変態!!!」

「あ、あ…。うん…。ごめん…」



…知ってたんだ。ごめん。

綾子さんも、ホントすいません…。



「とにかく今日は、新しく入った三人の委員会を決めます。あと、前田君」

「はい?」



先生がその場をまとめた。

あの先生、絶対心の中では大爆笑してると思うな。



「よくわかったわね。とにかく、その画鋲を片付けといてね」

「はーい♪」



俺は画鋲を片付けた。

片付けた後、何故俺が片付けるんだ?と思ったが、気にしないことにした。



「三人とも、里美さんから聞いてると思いますが、風紀、体育、保険委員会はそれぞれ一人しかいません」

「うん、里美に聞いたよー」



忠海が、しなくていい報告をわざわざする。

このかわいさのお陰で、男子受けがいいんだろうか…。



「風紀と保険は女子が一人しかいないので、そのどちらかが四分蔵君と慶二君。体育は男子A君一人、つまり忠海ちゃんが強制的に体育委員会になるけど…」

「やったー!」



忠海が立ち上がって万歳をする。

あいつ、体育が好きなのかな?



「それならよかったわ。ちなみに体育委員会の仕事は、10月に行われる体育祭と、毎月の末に行われる球技大会。これらの企画と進行、その他もろ出しよ」

「わかっただよ!」



球技大会って毎月あんの!?

ちなみに、もろ出しじゃなくてもろもろですからね〜。

その他をもろ出しなんてしませんよ〜。



「さて、それじゃあ風紀委員と保険委員なんだけど…」

「とりあえずその委員会の人に出てもらって、仕事内容や電話番号などを教えてほしいでござる」



出たな変態忍者。

さりげなく、電話番号をとか言うのがいやらしいな…。



「いいわね。それでパートナーの性格もわかるでしょうし」

「パートナーでござるか〜♪」



言っておくが、生涯のパートナーじゃないからな。



「言っておきますが、生涯のパートナーではないですからね。それでは保険委員会の五十嵐沙織里さんからどうぞ」

「生涯のパートナーではないのでござるか!?」

「…」



四分蔵は、俺の思った通りの人間だった。

それはいいとして、下を見ながら無言で立ち上がった、この五十嵐沙織里って人。

すんごいかわいい。



「あんなかわいい人、クラスにいたんだ」

「そうね。静かで目立たない子だからね」

「静かか…。お前もあの子を見習…」



ゴツン!!!



「ぶん殴るわよ!」

「すまん…」



里美のぶん殴る=眉毛を全て抜く。燃えないゴミを燃えるゴミに出す。俺が持っている服を全て売る。俺の部屋の網戸と蚊取り線香を全て燃やして、窓を開けっ放しにする。熱々のおでんを俺に食べさせてくれる。超能力がどうのこうの言って、激辛料理を食べさせてくる。

のフルコースなので、今のは殴ったことにならない。かろうじてセーフだ。



「…」



前を見ると、五十嵐さんが、まだもじもじしていた。



「五十嵐殿〜。笑うでござる〜」



お前はメリーゴーランド付近の親かっ!



「保険委員会は…。月に一回の保険だより…」



五十嵐さんは、説明途中で泣きそうになった。



「ほらほら五十嵐殿〜」

「ひっ…!」



四分蔵が赤ちゃんをあやすような仕種をすると、五十嵐さんが先生に抱き着いた。



「どうしました五十嵐さん?」

「…」



先生が尋ねると、五十嵐さんは先生にしか聞こえないような声で、何かを言った。



「そうですか」

(コクン)



話が終わると、成美先生が俺を見た。



「それでは前田君。保険委員会になって下さい」



へ?



「どうしてです?」

「どぅぅしてぇぇでぇぇござぁるぅかぁぁぁ!!!!」



うぉわっ!すっげぇ気迫だ!



「五十嵐さん、言ってもいいかしら?」

(コクン)



五十嵐さんが頷く。

まあ…。理由はなんとなく分かる。



「何故でござるか成美殿!」

「五十嵐さんはね…」



ゴクン…。



「黒い人が嫌だって言ってるわ」



やっぱりな…。



「ガーンでござる」

「そんなところだと思ったわ」

「やーい!四分蔵フラれてやんのー!」



里美と忠海が言うと、クラス中がフラれて元気を歌い出した。



「とにかくよろしくね!」



俺は、これから仲良くなろうねという意味も込めて言ったのだが…。



「…」



顔を下に向け、自分の席へと戻っていってしまった。



「俺も嫌われてるのかな?」

「さあ?」



里美は首を傾げた。



「それじゃあ風紀ですが…。どうしますか五十嵐さん?」

「やります!」



成美先生が、廊下側の一番前の席にいる人に問い掛けると、彼女は勢いよく立ち上がった。



「里美、そういや風紀って…」

「そこまでではないんだけどね…」

「…?」



そうしてその人が黒板の前に立った。



「美人秘書だ…」



黒板の前に立った、五十嵐さんという人は、渕のないメガネをかけた、まるで美人秘書だった。



「私が風紀委員会の五十嵐です」

「ぬひょー!」



無表情で言う彼女を見て、四分蔵が鼻血を大放出した。

しかしこのクラスには五十嵐が二人もいるのか。



「活動内容ですが…」

「その前に、下の名前を教えてほしいでござる!」



五十嵐さんが四分蔵を睨む。

彼女はキツい性格してそうだな…。



「私が話している途中で、割り込むのは感心しないわね」

「まあまあ〜。大目に見るでござるよ〜」



四分蔵も恐いもの知らずだなぁ。

五十嵐さん、四分蔵をおもいっきり睨んでるし。



「まあいいわ。私は五十嵐詩織里よ」

「五十嵐詩織里…。でござるか?」



ああ、そうか。多分…。



「沙織里とは双子よ」



うん。性格違い過ぎだ。



「性格が違いすぎっ…。なんでもないでござる」



手遅れだ、四分蔵。

五十嵐さんが相当睨んでるよ。



「ごほんっ!活動内容は服部さんや前田さんのような問題児を教育することです」

「俺を教育するって!?」



俺は聞き捨てならないことを聞いたので、思わず立ち上がって叫んでしまった。



「はい、貴方は入学早々遅刻ぎりぎり。今日は遅刻、おまけに大騒ぎする始末。これを問題児と言わず、何と言うんですか?」

「ぐぅ…」



一応ぐうの音は出た。



「この際だから言わせてもらいますが、里美さんや七美さん、その他もろ出し」



もろ出しではなく、もろもろです。あしからず。



「何よ?」

「私がどうしたのかな♪」

「その他もろ出しとは私か?」

「俺ももろ出しかな?」

「ボクも、もろ出しだよ!」

「わたしも、雪りんも。もろ出しかなぁ〜」

「それなら私も、もろ出しですわね」

「拙者も先週から、もろ出しでござる」



ああ〜。話の主旨がもろ出しかどうかになっちゃってるよ〜。



「貴方達はいつももろ出しばっかりして。学校に迷惑です!」



そりゃあ迷惑だろうな。

下手したら捕まるよ?



「もろ出しなんかしてないわよ!」

「里美の言う通りね♪」

「もろ出しなんて、はしたないな!」



だよな。なんかすでに主旨がもろ出しになってるが気にしないよ。



「もろ出しの何が悪い!」



ん?どうした兼次?



「そうだそうだ!人間みーんな、生まれた時はもろ出しだよ!」

「わたしも雪りんも、もろ出しだよ〜」

「私ももろに出しますわね」

「拙者は週一でもろ出しでござるよ」



だから、もろ出しがどうとかさ、問題はそこじゃないからね?



「たしかに…。その通りだわ…」



五十嵐さん…。

そんな簡単に負けてないで、こいつらを警察に突き出せって。



「と、とにかく…!貴方達を教育させてもらいますからね!」

「詩織里が私達を?」

「笑わせないでほしいわね♪」

「全くだ。この御堂涼子をなめるな」



おお〜。もろ出しから話が逸れてくれたぞ。

これで一安心かな。よかったよかった。



「もろ出しの何が悪い!」



よく考えたら、さっきから全部テメーのせいなんだよ!!!!



「気付かれるかどうかだよ…」

「それがお楽しみなんだね〜」

「スリルがありますわね」

「拙者は月一でもろ出し道場に通っているでござる」



確実に犯罪だよ!!!



「しかし!もろ出しは犯罪です!人として恥ずかしくないのですか!?」



人としてもそうだが、根本的にもろ出しは恥ずかしいってば!



「たしかにもろ出しは恥ずかしいわね…」

「私は恥ずかしいよ♪」

「もろ出しなんて誰がするか」



こいつらは大丈夫なんだ。問題児は次だ!!!






「いや、まったく恥ずかしくないぞ」



だから全部テメーのせいなんだよ!!!!!



「生まれた時にはみんながもろ出しだよ!」

「みんながもろ出しなんだよ!」

「たしかに恥ずかしいですが、それが私達の始まりの姿ですわ」

「人前でのもろ出しは気持ち良いでござる」



四分蔵は病院行ってこいよ!!!



「はいはーい」



と、先生が手を叩きながら、クラス中に呼び掛けた。



「とにかく、前田君は保険委員会。四分蔵君は風紀委員会になりました」



クラスの皆が拍手をする。

しかし、誰も通報しないんだな。



「先生!!!」

「何かしら、男子B君」



窓際にいた男子Bが、手を挙げながら先生を呼んだ。


「グラウンドで変な二人組の男が…」

「何だってー!」

「二人組の男が!?」

「強盗かしら?」



クラス中の皆は気になったらしく、次々と席を立ち、窓の方に向かって行く。

そして…



「キャー!何あれー!」

「うわぁ!!!」

「イヤー!!!」



窓から外を見た人達が、次々と悲鳴をあげている。

しかし皆が悲鳴をあげたんだ。おそらく強盗だろうか。



「だとしたら俺が倒して…」

「もろ出ししてるぞー!」



へ?



「誰かあいつらを追い払わないのか!!!」



男子Bが叫ぶ。



「いや、子供が止めに来たぞ!」

「ランドセルを背負っているわね」

「じゃああの子は小学生か!?」

「なんて勇敢な小学生なのかしら」

「おいお前ら!小学生だけに任せていいのか!!!」



クラス中の皆が、駄目だ。と叫ぶ。



「ならどうするセバスチャン!!!」

「俺達があの二人を止めるんだ!!!」

「よっしゃあ行くぞー!!!」

「うぉぉー!!!」



俺達以外の全員が行ってしまった。

しかし二人組の男に、それを止めようとする小学生…か。

俺は嫌な予感がしたので、グラウンドの様子を見に行くことにした。



「ねえ慶二…」

「どうした里美…?」



窓に行こうとする俺に、里美が呼び掛けてきた。

言いたいことはなんとなくわかるが…。



「私、引っ越そうかしら…」

「…俺も連れてってくれ」

「拙者もでござる」

「ボクも…」

「やはりあの方達なんですわね…」

「はぁ…。知り合いだと思われたら困るな…」

「まったくだ…」

「諦めが肝心だよ…」

「明るく生きましょ♪」



そうして俺達は窓の外を見た。



「あぁぁぁ…」

「うわぁぁ…」

「絶望でござる…」

「明日からマスコミに追われる生活だよ…」




グラウンドには裸で踊っている有次さん、直正さんと、それを止めようとする高政がいた…。

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