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信永編第11話〜それぞれの戦い〜

「山内一豊の子孫…。手は抜けない…」


ここは公園。そこで雪江と二豊は向かい合って立っている。


「まさかお前ほどの相手とやり合えるとは思わなかったぜ」

「そうですか…」


雪江は会話中も気を抜かず、二豊の方を注意深く見る。


「雷属性最強の立花とな」

「…」

「立花…?雪りんが?」


フィルターの隅で二人の会話を聞いていた澪は、不思議そうにしていた。


「行くぜ!!!」


そう言うと二豊は雪江に切り掛かる。

雪江はそれを交わしたが、体制が悪い。


「まだまだ!!!」


そして体制の悪い雪江に二豊は再び切り掛かる。


キィン!!


雪江はその剣を雷切で受け止めた。

しかし、二豊の持っていた剣がまるで水になったかのように、雪江の雷切をすりぬけた。


「これは…!!!」


しかし軟らかかった剣は雪江の雷切をすりぬけけた直後、また元の硬さに戻り雪江に襲い掛かった。


「死ね!!!」

「うっ!!!」


雪江は間一髪の所で致命傷を避けたものの、左肩を斬られてしまった。

そして雪江の着ているメイド服から彼女の切り傷があらわになる。


「ハハッ!あの鬼道雪の子孫とは思えない美しさだな!!!」

「…」

「だが、手は抜かねえぞ!!!」

「きゃあ!!!」


雪江は顔目掛けて襲い掛かる突きを交わそうとしたが、交わしきれず顔に切り傷を受けた。


「あぁ?立花なんてその程度か?」


二豊は一旦攻撃の手を止めて余裕を見せる。


「水の剣か…?」

「…その通りだ。美しい上に察しもいいな。」

「…」


すると雪江の持っている雷切から電撃が出て、それを纏っていく。


「お前が水の剣なら…」




「私は雷の剣だ…」


「ついにきたか…。雷切」





……




〜食堂前〜



「ほらほら喰らえ〜!」

「アハハハ!あいつら何も出来ないぞ」


そこには大きな扇を扇いでいる全兵衛と、それを見て笑っているどん兵衛がいた。


「これじゃあここから動けないじゃない!」

「しかし下手に動いたら鎌鼬の餌食だ」


二人は用具倉庫の陰に隠れて、全兵衛の起こす風を凌いでいた。


「全兵衛の能力は風か…」

「どうするの兼次?」

「とりあえずどん兵衛の能力が分からないのが困る」

「じゃあどうするの?」

「とりあえず奴らの後ろに火の札を置いておいた。それを使う」


そして兼次の手が光り、光と書かれた札が現れた。


「里美、目をつむってろ」

「うん」


そして兼次はその札を上に向かって投げた。その瞬間!


「うわっ!眩しいっ!」

「うおわっ!眩しっ!」


札が光り、二人の目を眩ませた。すかさず兼次は


「爆発しろ!!!」


兼次がそう言うと、予め敵の足元に置いておいた三枚の火札が爆発した。


「倒したの?」


とりあえず二人は倉庫の裏から出て行く。


「こんなので倒せたら苦労しないって」

「え?」

「兼次の言う通り」

「そんなんじゃあ倒せないね」


爆発で発生した煙の中から全兵衛、どん兵衛の声が聞こえてきた。

そして爆発で発生した煙が消えて…


「あんたらボロボロじゃないの!!!」


二人はボロボロだった。


「まああんだけ至近距離で爆発されちゃあねぇ」

「ボロボロにもなるさ」


里美は兼次にしか聞こえないような声で話した。


「兼次、チャンスじゃないの?」

「…いや、あれもわざとの可能性がある。それにどん兵衛の能力がまだ分からない内は迂闊には動けない」

「そっか…」

「しかし、全兵衛は遠距離タイプ。遠距離タイプと組むくらいだからどん兵衛はおそらく至近距離タイプだろうな」

「でも、そう思わせといて実は遠距離とかはないの?」

「多分無いだろうな。それだと一度ばれたらおしまいだ」

「そっか…」

「そこで里美の出番だ」

「え、私?」

「里美…」

「うん?」


兼次は数秒勿体ぶって…


「凍らせてしまえ」

「兼次…。あんた本当に頭いいの?」

「とにかくやってみろって」

「わかったわよ…」


そう言うと里美は目をつむった。すると里美の手が光り、グローブが現れた。


「じゃあとりあえずやってみるわね」

「ああ」


里美は両手を前にかざした。


「あの綺麗なお嬢さんは何をするんだ?」

「なぁ、確かあのお嬢ちゃんは上杉じゃなかった?」

「あぁ、あの水属性最強の上杉か」

「俺らまずくね?」

「俺らやばくね?」


そして里美の体の回りを水がまとい始めた。


「行け!!!」


里美がそう言うと、体の回りを纏っていた大量の水が物凄いスピードで一気に二人に襲い掛かった。


「やめてー!!!」

「ギャー!!!」


ドッパァン!!


里美が放った水は地面に当たると同時に全て凍った。

だが、そこに二人の凍った姿は無い。


「あれ、いないわね」

「だがわかったぞ。どん兵衛の能力が…」

「えっ、どんな能力なの?」

「説明している暇はないぞ!!!」

「えっ!?」

「上だ!!!」


刹那、上から二人を切り刻む風が吹いて、二人を襲う。


「里美!!!氷だ!!!」

「わかった!」


里美は兼次と自分の回りに氷のかまくらを作って風を防ぐ


「面倒だな。氷は…」


そして攻撃が届かないとわかったや否や、全兵衛は攻撃をやめた。


パリーン!


全兵衛の攻撃が終わったので、里美は氷のかまくらを壊した。

氷は水蒸気になるかのように綺麗に消えていく。


「結構リスキーだったけど仕方なかったよな全兵衛?」

「まあ…。な…」


敵はある程度距離をとった位置にいる。


「さすがは直江だ。今のでどん兵衛の能力がわかったのか」

「ああ。爆発だな」

「爆発って…。火属性?」

「最初、里美に近づいたのも爆発だな?」

「「…」」


二人は黙ったまま。


「ねえ兼次、あの二人…」

「ついに来たか」


全兵衛、どん兵衛から笑顔は消えていた。


「能力を知られた以上この演技も必要ないな」

「そうだな。本気でいくぞ全兵衛」

「本気だ、来るぞ!!!」

「ええ!」





……



「あいたー!!!」

「貴方弱いですね。第一スピードで私に勝とうなんて考え自体甘いです」


続いてここは体育館。四分蔵と猿吉が戦っている。

と言うより猿吉が四分蔵をボッコボコにしている。


「もっと頑張って下さいですわ!!!」


明日香は訳も分からない状況であるにも関わらず、四分蔵に喝を入れる。その点明日香は肝が座っている女性だと言えるだろう。


「そのスピードがお前の能力でござるか?拙者より速いとは…」

「私のことより、君はそのスピードが能力か?」

「拙者が質問をしているのでござる」

「わざわざ敵に教えるバカがいるのだろうか?」

「…」


明日香も猿吉の意見に頷いていた。


「だが…。君は弱そうだから特別に教えてあげよう」

「そうしてもらうと助かるでござるな」

「ハハハ。なかなか正直だな」


そして猿吉は自分の心臓の部分に手を当てて…


「磁力だよ磁力」

「磁力…。でござるか」

「自分の体を磁石のようにできる。足がSなら頭や手先はNといった感じにね」

「ただ、それだけではござらんな」

「空気中に見えない磁石を作れる」

「…それで動く時に手を突き出していたでござるか」

「君もそこまで馬鹿じゃないらしいな」

「伊達に服部の子孫はやってござらん」

「そうか…。もうそろそろいいよね?」


猿吉はヌンチャクを構えた。


「待つでござる。何故明日香殿を狙うのでござるか?」

「そんなの子孫だからに決まってるだろ?天井にいたくせに聞いてなかったのか?」

「残念ながら聞いていなかったでござる」

「君、それでも忍者か?」

「…」

「ならもう一度言うけど、そこにいる美しい彼女は今川義元の子孫だよ」

「…そうでござったか」


四分蔵の顔が曇る。


「そうか…。君の祖先は今川にこき使われたんだったかな?」

「拙者がこき使われたわけではござらんが…」

「そうか。だとしたら君の祖父辺りかな?」

「…」

「そこを家康の子孫、外康に助けられた、と。だとすると君は…」

「感謝しているでござるよ」

「ほう…」


猿吉は驚いていた。四分蔵から感じる気迫が先程のそれとはまるで違っていたからだ。


「まさか今川を守ることになるとは思わなかったでござるな…」

「君は今川に恨みがあるんじゃないのか?」

「あるでござるよ」

「なら何故守るんだい?」




「拙者が守るのは北条院明日香殿でござる」

「フフフ…」

「何がおかしいでござる…」


四分蔵は言いかけてやめた。猿吉もまた四分蔵同様に、先ほどとは様子が違ったからだ。


「わしはおみゃーを見くびっていたぎゃーな」


そして猿吉の口調が変わった。


「豊臣…。いや、羽柴猿吉…」

「行くだぎゃー!」




……



そしてここは剣道場。


「久しぶりだな前田慶二」

「俺は二度と会いたくなかったけどなぁ」

「そうか。そうだろうな」


俺の正面に利上、忠海の正面に負家がいる。


「本多に前田か…。島津より楽しめそうだな」

「負家、島津と戦ったの?」


島津!?まさかっ!!


「おい負家!!!」


俺は利上と睨み合いをしていたが、負家の方を見た。


「島津って言ったな?」

「それがどうした…。前田慶二?」


負家は俺の方を見る。


「秀秋さんをやったのはお前だったのか!」

「え、慶二…。どーゆーこと?」

「あいつがお父さんを…!!!」


あいつだったか…


「秀秋とは島津義弘の子孫のことか…?」

「そうだよ。あんたが戦ったのはな」

「慶二…。涼子のお父さんがやられたって聞いたけど、それは…」

「ああ」

「そうだったの!?じゃあ涼子は…」

「島津義弘の子孫だ」


すると涼子が俺の隣に来た。


「お父さんをやったのはお前だったのか!」


負家は涼子を見ると、笑みを浮かべた。


「ほう…。お前はやつの娘か…」

「そうだ!」

「そうか…」


涼子は唇をかみ締め、なんとか怒りを紛らわしていた。


「何故お父さんを…」

「命令だ…」

「誰のだ!」

「我が主の…」


「さて、話は終わったかな?」


俺の正面にいた前田利上が、やれやれといった表情でこちらに話し掛ける。


「とにかく俺は前田慶二と戦いたい…。だから早くしてくれ」

「俺はお前を殺したくて仕方がない…」

「慶二!どうしたの!?」

「慶二…?」


いつもと様子が違う慶二に忠海、涼子が驚いている。


「涼子。邪魔だ」

「慶二…?」

「邪魔だと言ったんだ!」

「ああ…」


涼子は小走りで慶二達から離れて、慶二の後ろの方向の隅に行った。


「お前が俺を殺したいか。やはり島津のことだな」

「ああ。今までは殺したい程まで恨んではいなかったがな」

「島津と知り合ってしまったから…。か」

「ああ。残念だがお前を許す訳にはいかなくなった」

「ほう…。面白い」

「どういうこと慶二…?」


忠海は話が分からずに不思議そうな顔をしている。


「説明は後だ。行くぞ忠海!」

「わかったよ!」


忠海が負家に襲い掛かった。

忠海は槍で何度も負家を突き、それを負家は交わしていく。

そして負家は最後の一撃を薙刀で払い、距離を取って…


「俺の能力を見せてやるよ」


負家は剣道場の床を殴り、それを突き破った。


「俺は土だ…」

「土…?」


負家がそう言って、手を剣道場の床から抜くと、そこから土が盛り上がって人の形を形成していく。


「負家が二人になっちゃったよ!」


なんと土の人形が負家になっちゃったよ。


「いくぞ本多」

「来ないでぇ!!!気持ちわるーい!!!」


忠海が逃げる逃げる。



「あいつはふざけてるのか?」

「…」

「おいおい、折角再会したんだから…」

「死ね…。利上」


慶二の手が光り、戟が出てきた。


「そうですか…。ならば…」


今度は利上の手が光り、槍が出てくる。



「お前が死ね!!!」



ランキングサイト登録はしたほうがいいのでしょうかね…?

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