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信永編第8話〜四分蔵ボッコボコ〜

「慶二!慶二!」

「どうしたんだ里美?話はまだ始まったばかりだぞ?」



俺がトレーニングから帰ると、形相を変えた里美が玄関までやって来た



「始まったばかり?」

「気にするな。で、何さ?」

「外康さんが呼んでたわよ!」

「どうして?」

「分からないわ。でも、すぐに来てって言ってたわよ」

「そうか。それじゃあ行ってくる」

「いってらっしゃーい」



俺は走ってきたそのままの恰好で隣の家に行った



ピンポーン



バン!!!



「慶二か!?」

「直正さん、そんな顔して…」

「話は後だ!とにかく中に入ってこい!」



強引に引っ張られた俺は靴を脱ぐ暇さえなかった。

そして俺は和室に連れてこられたのだが…



「なっ!四分蔵!!!」

「やあ慶二殿」



その和室には包帯でぐるぐる巻きの四分蔵がいた。

それにしてもこの四分蔵、とても気持ち悪い



「これはいったい…」

「やつらにやられたんだ…」



有次さんが四分蔵の方を向きながら答えてくれた。



「四分蔵…。あれだけボクが訓練しとけって言ったのに…。ナンパばっかり…」

「四分蔵…。あれだけ僕が警戒して下さいって言ったのに…。ナンパばっかり…」

「四分蔵…。あれだけ俺が外には出るなと言ったのに…。ナンパばっかり…」

「四分蔵…。あれだけわしが早く帰ってこいと言ったのに…。ナンパばっかり…」

「ははっ!もうあんなことは懲り懲りさっ!」


激しく呼ばれた割にはぴんぴんしている。しかも原因が原因なのでみんなあまり心配していなかった。

四分蔵も世界まる見えに出演するかのような台詞だ。

まあそれも外康さんの治癒能力があればこそかな。



「さて、慶二ちゃんを呼んだのは他でもないわ」

「やつらが動き出したってことですね?」

「その通りだ慶二」



ついにか…。気を引き締めなきゃな



「それで四分蔵は敵を見たのか?」



まあなんだかんだ言って四分蔵は、かの服部半蔵の子孫だぞ。まさか何もできないでおめおめ帰ってくるような…



「非常に残念でござる…」





みんなで四分蔵を蹴りだした



「四分蔵は忍者の端くれだよ!忍たまだよ!」

「なのにお前は何してたんじゃい!」

「どうせナンパでしょう!あなたは!」

「いったいお前は今まで何をやってきたんだよ!!!」

「ナンパ術か?あぁ〜?」

「あなた地獄に落とすわよ!!!」

「いたっ!やめるでござっ!あたたた!!!」




……



「一応わたし達も警戒するけど…」

「さすがにわしらだけじゃ無理だ」

「だからお前にも警戒してほしいのと、兼次にも警戒するように言っておいてくれ」

「わかりました」



そうして皆立ち上がった



「今は白豚と化した四分蔵の為に頑張りましょうね!」

「「「「「オー!」」」」」

「白豚ー!?」





……




「ただいまー」

「おかえり慶二!」



里美にはあまり言いたくないんだけどな…。これも仕方ないか



「里美…。織田信永って誰か知っているか?」

「知らないわよ」

「そうか…。よかった」

「よかった?」



俺はとりあえず安心した



「とにかく、これからは常に俺の側にいてくれ」

「えっ!いきなりどうしたの?恥ずかしいよ…」



恥ずかしい…?

…まあいい。



「それで学校の帰りとか、夜とかも俺の側にいてくれないと困るんだ」

「え…ちょっと!こんな所で何を言っているのよ!」







そうか…。確かに俺が軽率だったな。扉が開いたままだから、この話を誰かに聞かれる可能性だってあるわけだしな







「でも…。すっごく嬉しい…」




はぁ?




「嬉しい?」

「うん、とっても嬉しいよ…」



危険な状況が嬉しいって、里美はマゾか?



「もしかしてお前…マゾ?」

「えっ!?」



しまった…!またこの口だ…。いっそのこと口を整形しようかな…?

…ってそれは意味ないか…。とりあえず謝ろう



「ごめんなさい!失礼なことを言ったりして!」



うわぁ…!里美が俯いてる…



「ねえ…。慶二…?」



うわぁ!絶対殴られる!



「あのさ慶二…」



助けてくれ神様っ!!!!!







「優しく…してね…」









なに?どうしたのこいつ?






「なあ…何のことだ…?」


「え…?」



何をやさしくすればいいんだよ?言ってみろよ







「そんなこと…。口じゃ言えないよ…」







口以外のどこで言うんだよぉぉぉ!!!







「あの〜とにかく…。危険だから俺に…」


「…そうよね…。最近は誰彼構わず襲い掛かる人が多いって聞くから…」


「お前っ!そこまで知っていたのか!?」


「うん…。だから私達はちゃんと準備しないとね…」


「そうだな!お前の言う通りだ!」



なんだかんだ言って里美は分かってたのか。さすがは俺の主君だな…

そうだ!里美の言う通り、いつ敵が来るか分からないから常に準備をしとかなきゃな







「ゴムを…」





お前はゴムで何をどうすんのぉぉ!!!!!!







「あの…里美…?」

「何かしら?あ・な・た?うふっ♪」



あなた?



「なあ里美…。ゴムで何すんの?」


「え…?それは…」



里美はゴムをどう使う気なんだ?



「あれだよ…」



ゴムで敵の動きとかを妨害するのかな?



「えーっと…」



だとしたらかなり使えるんだけどな〜







「子供ができないようにするんだよ…」




ゴムすげぇぇぇぇ!!!!!

しかも間接的にその人の一族を攻めるところが…こう…なんか…すっごいいやらしいよ!!!



「凄いなそのゴムは…」

「私も…。そう思う…」



ゴムってそんな機能あったんだ…。

最近のゴムは凄いなぁ…







ん…?







マゾ?

ゴム?

子供?







まさかぁぁぁぁ!!!!!!!







「里美…。今のうちに謝っておきたいことがある」



もしかしたら俺の勘違いということもあるし、探りを入れてみた







「なに?浮気する気?」









うぁぁぁきぃぃぃ!!!!

やっぱりそうだぁぁぁ!!!!!





……




「なんて言うかもう本当に完全に全てallEveryThing俺が悪かったです」




俺は頭を地面に付けたまま必死に謝罪している。

ちなみに前身打撲。




「どうしてこうなるのよ!!!!」

「いやぁ…わたくしめにも何がなんだか…」

「ったく!!!どうしてくれるのよ!!!」

「と、言われましても〜」

「責任取ってよね!!!」

「ひいっ!!!」



地震?雷?火事?いや、里美か



「あの〜わたくしめは何をすればよろしいんでしょうか…?」

「え…」

「わたくしめは、いつ何時、どんな罰でも受ける次第でございます」



ククク…。実は優しい里美の性格を突いた作戦だぜ…



「罰と言われても…」



ほらほら



「なら今度こそ一緒に買い物に行かない?罰とかじゃなくてさ…」



へ?



「買い物?」

「嫌なら…いいわよ…」

「いや、楽しそうじゃん♪」

「え?来てくれるの?」

「あったりまえだろ!でもお前、部活は?」

「ない日に行くに決まってんでしょ」



だよな…



「馬鹿な質問して悪かっ…」





バンッ!!!



「慶二君!!!!」



急に扉が開いて澪が家に入ってきた



「どうした澪?」

「どうしたの澪?」



澪は膝に手を付いて息を切らしていた。

そして呼吸を整えた後



「涼子の…お父さんが…」

「秀秋さんが!?」

「どうしたの!?」




「病院に運ばれて…」



なっ!?



「澪!病院は何処だ!!!」

「米沢総合病院…」

「うそ…」



まさか…あいつらか…?



「とにかく行くぞ」


「わかったよ」

「わかったわ」



俺達は家を出て病院まで走った





……




「秀秋さんは!?」



手術室の近くにある椅子に、手前から涼子、七美、明日香、兼次、雪江さんの順で座っていた



「慶二さん…」

「なあ明日香…。秀秋さんは…?」



明日香は手術室の方を見た



「七美が秀秋さんを見つけるのが少しでも遅かったら。って看護士さんは言ってましたわ…」

「七美が!?」

「うん…。たまたまね…」



七美が…



「とりあえず座りましょうよ」

「そうだね」

「ああ…」



俺はゆっくり座った。

そして暫くの沈黙の後、涼子が口を開いた



「どうしてお父さんが…」



俺は隣にいた涼子を見る



「いったい誰なんだ…」

「…」




「死なないでお父さんっ…!」




「信じるしかないよ」




「慶二…」




「秀秋さんを」




「ああ…」




午前1時半。手術室のランプが消え、手術室から医者が出てきた



「とりあえず一命は取り留めました」



この医者の言葉で全員の顔から緊張の色が消える



「これから目を覚ますかどうかは患者さん次第です」



しかし今の一言で全員はまた緊張の色を浮かべる



「とりあえず、よかったな涼子」

「ああ…」

「よかった〜」

「そうですね…」

「よかったわね、涼子」

「よかったな涼子」

「私も安心いたしましたわ」

「…」



あれ?なんだろう…。七美が…



「…それじゃあ私は帰るね♪」

「こんな時間まですまなかった…」

「いいのよ涼子の為だから♪…それに…」

「それに…?」



七美…?



「なんでもないの♪じゃあね♪」



七美は行ってしまった



「それじゃあ今日はありがとうな」

「とんでもないよ〜」

「とんでもないって…澪が?」

「なんだよ雪り〜ん!何か文句あるの〜?」

「いえ…。何も…」

「俺はあるぞ」

「私もおかしいと思いましたわ」

「私も思ったわ」

「みんなしてひど〜い!兼次喰らえ〜!」

「うわっ俺に病院の物を投げるなよ!」

「澪!それは電話ですわよ!」

「澪!それは手術室よ!」

「澪、それは兼次さんです…」



「七美…」

「どうした慶二…?」

「涼子か。いや、七美の様子がおかしいなってさ」

「あぁ…。言われてみれば確かにそうだったな」



「喰らえ兼次〜!」

「澪!それは兼次のボケモン時計ですわ!」

「澪!それは豆腐よ!」

「澪、それは兼次さんです…」



「だろ?だからおかしいな〜って」

「…」

「涼子?」

「お前は…」



「まだまだいくよぉ〜!」

「ギャー!許してくれー!」

「澪!それはジャンボジェットですわ!」

「澪!それは総理大臣よ!」

「澪、それは兼次さんです…」



「俺は…?」

「お前はいろんな女性に優しすぎだ」

「そうか…?これが普通なんだけど…」

「そうだな…。私だけ特別というわけではないんだな…」

「ん?」



「喰らえ喰らえ喰らえ〜!」

「ギャー!」

「澪!それは兼次さんですわ!」

「澪!それも兼次よ!」

「澪、それこそ兼次さんです…」



「まあいい。明日は学校だし帰るとしようか」

「そうだな」

「フフッ♪」

「どうした涼子?」

「まさかお前とこんな風に話しができるとは思っていなかった」

「そうか…。実は俺もだ」

「でも…」






「…話せて嬉しい」

「実は俺もだ」




「行っけぇ兼次ぅ〜!!!」

「ギャー!!!」

「澪!ついに35メートルですわ!」

「澪!角度もばっちりよ!」

「この調子なら世界陸上に間に合いそうですね…」




「あいつらは兼次で何をやってんだ?」

「さあ…」

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