第15話〜前田慶二歓迎会〜
「友達が遊びに来るのは中学の時以来ねぇ〜」
今日は土曜日。かねてからの計画通りこの家で俺の歓迎会だ。
「お酒はダメだからね!」
「誰に話し掛けてるの?」
「神様だよ神様」
「はぁ?」
読者は神様です。
ピーンポーン
「は〜い」
と、家のインターホンが鳴ったので、綾子さんが玄関に向かった。
「それにしてもみんなこの家が分かるのか?」
「分かる人も分からない人も、明日香の車で送迎してくれるらしいわよ」
「なら大丈夫か」
なにかと作者に都合がいい金持ちグループだ。
「おっじゃましまーす♪」
「おじゃまいたしますわ」
「おっす〜」
「邪魔させてもらう」
「お邪魔いたします…」
「お邪魔しまーす」
澪は酷いな。何がおっす〜だよ!
「みんないらっしゃい」
「おっす〜」
なーんて言っといて俺も真似してみた。
「なかなか広い家だね〜」
「ああ、そうだな」
辺りをキョロキョロしながら言った澪に兼次が答えた。
「あのお方は里美のお姉様ですの?」
「あらまあ♪」
綾子さんを褒めていた明日香の後ろで本人が喜んでいた。
「えっと、お姉さんじゃなくてお母さんよ」
「「「「えー!?」」」」
明日香、涼子、澪、雪江さんの4人はかなり驚いていた
元から知っていた俺と兼次、七美はそれを見て笑った。
「本当ですの?」
「そんな嘘をつくわけないじゃない」
「本当…。なのか?」
「本当だよ♪ わたしもバイト中に大声を出すくらい驚いたんだから♪」
「信じられないですね…」
雪江さんは本当に驚いていた。
「そのことは後でゆっくり話すとして、早速皆で持ってきたご飯を食べるとしましょうか♪」
「おー!」
俺だけ!!!!!!
完全に無視をされた。そして皆はそれぞれ持参してきた鞄の中身を取り出し始めた。
「私はこれですわ!」
明日香が取り出したお宝の山。時価100億円相当。
「わたしはこれ〜」
澪が取り出した特大キャンディー。人数分。
「私はこれだ」
涼子が取り出した苺大福。30個。
「わたしはこれよ♪」
七美が取り出したダイエット食品。3000円。
「私はこれです…」
雪江さんが取り出したゲームソフト。50本。
「俺はこいつだー!」
兼次が取り出したトイレットペーパー。20ロール。
こいつらの使えなさ。プライスレス。
俺は一応、ツッコミと言うものをやらなきゃいけない…。
「それじゃあ一人づついくぞ」
「七美は仕方ないとして。涼子と澪!」
「なに〜?」
「なんだ?」
「お前達はこういうのを普段食べているのか?」
「なめてるよ〜」
「食べているが」
「じゃあ朝昼晩全部アメと苺大福なのか?」
「何言ってるの〜。そんなわけないじゃ〜ん。慶二くんも面白いね〜」
「あはは、慶二も意外と面白い奴だな」
「じゃあ何で持ってきたんだよ!」
「あはははは〜」
「ははははは」
もういい!!!
「次は明日香!」
「なんですの?」
「なんでお宝を持ってきた? せめて現金に変えてから持って来い!」
「うるさいですわね。耳元で叫ばないでくださるかしら」
「わかったから! お前は朝昼晩お宝を食べているのか、あぁ?」
「いえ、食べませんわよ」
「じゃあなんで!」
「うるさいですわね! 私がなにを持ってこようと貴方には関係のないことですわ! なのに何故貴方にいちいち言われなければなりませんの! だいたい貴方はいっつも私にばかりガミガミガミガミうるさいんですのよ! いったい何様のつもりですの? この際だから言わせてもらいますけどね…」
俺は何か悪いことを言ったか?
「ちょっと! 聞いてますの?」
「聞いてます聞いてます」
全然聞いてませーん!
「…そもそも五月病のど真ん中に生茶のオマケがリスペクトアウェイでどうするんですの! だからマグロの収穫量と比例関係にあるXが溶けて東武ワールドスクエアが変動した場合に起こるドーナツ化現象が…」
……。
「…だから有明に来たプランクトンを収穫する防衛庁の隣でモナリザはロゴスを路駐したんですわ! わかりまして?」
「…つまり明日香は最近鼻づまりが酷いってことだろ」
「…ええ、よく聞いてましたわね」
……じゃあ次だ次!
「あのさ兼次、これは…?」
「ああ、実は俺ん家貧乏でさ…。よく食べるんだよね…」
そっか。そういえばそうだったな…。
「すまん…」
「ああ。気にするな」
…次は
「あの…雪江さん?」
「はい…」
「このゲームは…」
「プロステのソフトです」
一応この家にプロステはあったけど…。
「あの…。それで、慶二さん…」
「はい?」
なんとなく雪江さんの言いたいことはわかる。
「あの…」
「それじゃあ後でやりましょうか?」
「はいっ!」
雪江さんはかなり嬉しそうに笑った。
笑った雪江さんはめちゃめちゃかわいいな…。
「ツッコミは終わった?」
「ん、ああ。一通りな」
「ならもう昼ご飯にするわよ」
「昼ご飯あるのか!?」
「お母さんが元々沢山作ってたみたい。逆に皆がご飯を持ってきていたらとてもじゃないけど食べ切れなかったわ」
「なんだ、じゃあ調度よかったじゃん」
「そういうこと。だから慶二も手伝ってよ」
「オッケー」
…
……
「さて、お集まりの皆さん! これから前田慶二歓迎会を開きたいと思います!」
「どうも…」
「イェーイ♪」
「パチパチ」
「きゃっほ〜」
俺の歓迎会の司会は兼次がやってくれていた。
「それでは前田慶二君! 乾杯の音頭と、百発百中でウケる得意の持ちネタをどうぞ!」
「イェーイ♪」
「パチパチ」
「きゃっほ〜」
「え、あの…。ウケるどころか持ちネタすら…」
不満か? お前らは不満か?
「…もちろんありますよ!」
「イェーイ♪」
「パチパチ」
「きゃっほ〜」
……。
「ゴホンッ! え〜お集まりの皆さん。本日は俺の為にわざわざこのような会を…」
「長いぞ!」
涼子から不満の声が聞こえてきた。
「それでは簡潔に。今日はありがとう! これからもっと仲良くなりましょう!」
そして修羅場へ…。
「それでは…」
「かんパリッとサクッとワンナイトオンザトーキョー!!!!!」
「かんぱ〜い」
「うわぁ〜おいしいね雪り〜ん」
「ええ…とてもおいしいです」
「里美のお母さんは料理上手だな」
「うん、なのに私は…」
「全くだ。もう調理実習でも里美の料理は食べたくないからな」
「あなたがあの有名な北条院グループの北条院明日香さん?」
「はい。そうですわ」
「こんな有名人に会えるなんて嬉しいわ〜」
「有名人というわけではございませんけど…」
「タダ飯いただきます!」
「ちょっと兼次どうしたの…?」
「タダ飯うっめぇ!」
「…あっ本当だ♪ おいしー♪」
…
……
「ごちそうさまー」
「それじゃあ皆で片付けちゃいましょ♪」
「里美と綾子さんは休んでいてもいいよ〜」
「そういうわけにはいかないわよ!」
「いいから座っていてくださいませ!」
「ならお言葉に甘えちゃいましょうかしら〜」
「お母さん!?」
「それにしてもあの灰となった男の看病が必要ですわね…」
灰=俺だ…。
「それならわたしがやる〜」
「澪ではダメだ。私がやる」
澪と涼子が対立した。
「あら〜。慶ちゃんの看病ならわたしがやるわよ〜」
「いえ、私が…」
「私がやりますわ」
「わたしがやりたいっ♪」
続いて綾子さん、雪江さん、明日香、七美が立ち上がった。
「ねぇ兼次…」
「どうした里美」
「これはどういうこと?」
「さあな。それよりお前は入らなくていいのか?」
「なんで私が入らなくちゃいけないのよ!」
「そうですか…。相変わらず素直じゃないな」
「なんで兼次に言われなきゃならないのよ!」
「そうか…。慶二に言われなきゃダメか…」
「え…?」
「さてと…。埒が明かないから俺が看病してくるよ」
「兼次…?」
…
……
「喰らえ涼子!」
「甘いっ」
「もらいました…」
「私に隙を見せるとは甘いですわ!」
今俺達は満点堂オールスターズをやっている。これは4人対戦ができるやつだ。
「私が一番ですわ!」
「二位です…」
「三位かよ」
「また最下位か…」
「涼子は弱いなぁ」
「楽勝ですわね」
「そんなんじゃ勝てませんよ…」
「くそっ! もう一回だ! 下剋上だ!」
「何度やっても結果は同じですわ!」
「お前ら全員叩き潰してやるぜ!」
「いきます…」
四人ですっかりハマってしまった。
「皆していつまでやっているのかしら?」
「いいんじゃない? 楽しそうだし♪」
「でもあの三人がゲームやるのってなんか不思議だよね〜」
「「確かに…」」
リビングにあるソファーの上では澪、里美、七美が世間話をしていた。
「それにしても久しぶりですねこの家は…」
「あら〜そうだったかしら?」
「慶二が引っ越してからは一度も来ていませんでしたからね」
兼次と綾子さんは、いつも俺達が食事をとる場所に座って話していた
「慶ちゃんがいない間は、兼次ちゃんにとってチャンスなんじゃなかったのかしら〜?」
「とんでもないです。あのことがあった限り俺は慶二に勝てませんよ」
「そうね〜あの子も慶ちゃんには…。そして私も…」
「でも俺の忠誠心は変わりませんから」
「あら〜そんなこと気にしなくてもいいのよ〜」
「そうですか?」
「兼次ちゃんは慶ちゃんと好きにやっていてくれればいいのよ〜♪」
「…はい、ありがとうございます」
「それにしても最近幸雄ちゃんはどうしてるのかしらね〜?」
「幸雄の情報はわかりません…。けど、また三人揃いたいですね」
「そう♪ ウフフッ♪」
…
……
「お邪魔しましたー!」
「おう! またな」
「じゃあね」
「またしらしてくださいね〜」
「は〜い」
「次は負けないからな!」
「私も修行してきます…」
「まぁせいぜい無駄な努力をすればいいですわね」
「また遊ぼうね♪」
「じゃあお邪魔しました」
そうして皆はそれぞれの家に帰っていった。しっかし夕食まで一緒に食べることになるなんてな…。
「いいお友達だったわね〜」
「でしょ?」
「まあ変な人達ばっかりですけどね…」
さてと…。
「それじゃあ俺はトレーニングに行ってくるわ」
「「いってらっしゃーい」」
テンションが高かった俺は家を飛び出していった。
「それじゃあ私はお風呂に入ろうかな」
「わたしは片付けしないとね〜」
そんなこんなで俺の歓迎会は幕を閉じた。
…
……
「もしもし、信永?」
夜。ライトに照らされた道に、携帯で通話をしている少女がそこにいた
「光か…。それでどうだったんだ?」
「現在米沢にいるS級の子孫は、前田慶次、直江兼続、立花道雪、大友宗麟、島津義弘、今川義元の子孫よ♪」
「なるほど…。前田、立花、島津は厄介だな。つーかそいつらってやばくない?」
「噂を嗅ぎ付けた徳川もこの町に来るわ♪」
「シカト…。まあいい。情報元はストーカーの服部四分蔵か…」
「おそらくはそうね♪ そして上杉、伊達は行方不明って状況よ♪」
「それにしても徳川四天王に服部か…。あいつらは人として最悪だから来てほしくないんだが…。とにかくご苦労だった光。これから私も豊臣らと向かう。それと頼むから敬語を使ってくれ」
「オッケー♪」
「もういいよ…。明智のバーカ!」
プツッ
「ふう…。そういうお前の配下の性格もやばいじゃんかよバーカ」
「でも慶二なら大丈夫だよね♪」
そうしてその少女は家へと帰って行った。