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第14話〜澪の欲しい物は?〜

今回もコメディーとは呼べない内容になっております…ごめんなさい

「わざわざ澪のわがままに付き合わせてしまって、すいません…」

「いえ、べつに俺も暇でしたから大丈夫ですよ」



今日は花の金曜日。今は学校が終わった放課後。俺達三人は駅前にある超巨大ショッピングモールに来ている。



「二人ともおそ〜い!」

「はいはい」

「澪、あまりはしゃがないで下さい」



というのも、澪はこのショッピングモールに買いたい物があったらしく、前田くんもどうせ暇でしょ〜。ってなことで俺もついていく羽目になった。


今日は剣道場に行こうと思ったんだけどなぁ…。



「ところで雪江さん」

「はい、なんでしょう?」

「雪江さんは立花道雪の子孫と言ってましたけど…」

「ええ、でも正確には違います。私は高橋紹運の子供である立花宗茂の子孫。つまり高橋紹運の子孫です」



これは説明が必要だろう。そこそこ長いが是非聞いて頂きたい。

鬼道雪と呼ばれた立花道雪には子供がいなかった為、同じく大友に仕えていた高橋紹運の子供、高橋統虎を養子に迎えた。この統虎は後の立花宗茂(立花統虎)だ。

高橋紹運も立花宗茂も道雪に劣らない猛将だった。特に立花宗茂は、かの豊臣秀吉が東の本多忠勝、西の立花宗茂とまで言ったほどの猛将だった。



「へぇ〜やっぱりそうだったんですか?」

「すいません…。作者が説明をハショったりして」

「いえいえ、とんでもない」



申し訳ありませんでした。



「二人とも遅いってば〜!」

「すまん澪!」

「申し訳ありません…」



そして澪はとある店の前で立ち止まった。



「このペンダント、真央にあげたら喜ぶかなぁ…」

「真央?」

「あ、わたしの妹だよ〜。今は親とどこかに行ってるけどね…」

「妹がいたのか。何歳違いなんだ?」


ちなみに能力は一番上の子供にしか継承されない。だから妹の能力が目覚めることはないだろう。



「澪そっくりの双子です」

「お前双子だったのか!?」

「うん…」


なんだろう…。澪の顔が…。



「でも双子なのに妹は両親といるのか?」

「うん…。お父さんもお母さんも真央の方が好きだからね…」

「澪…?」



こんな曇った表情をする澪は珍しい。どうやら聞いちゃいけないことだったみたいだな…。



「そんなことより買い物を済ませちゃお〜」

「わかりました…」

「わかったよ。それにしても今日は何を買いに来たんだ?」



そこが一番重要だろうな。



「えっ〜と、まずサッカーボールでしょ〜」



あぁ?



「サッカースパイクでしょ〜」



あぁぁ?



「すね当てでしょ〜」



あぁぁぁ?



「あとはユニフォームにストッキングにゲームパンツにイエローカード」



あぁぁぁぁ?



「それじゃあ行きましょ〜♪」

「「…」」



「雪江さん、澪はサッカーを…?」

「そういえば最近よく見てます…」



そうですか…。




……



サッカー用品を買い終わった澪が特大キャンディーを買いに行っているその間、俺と雪江さんはショッピングモール内にあるベンチに座って話していた。



「澪は…。本当にサッカーを始める気ですかね?」

「どうでしょうか…」

「それにしてもよくあんなお金がありましたね」



実際レプリカユニフォームもスパイクも結構高い。スパイクは種類にもよるが…



「ええ、澪のご両親から沢山の仕送りを頂いていますから…」

「澪の両親は金持ちなんですか?」

「おそらくはそうかと…」



そこで俺はさっきのことを思い出したので雪江さんに聞いてみた。



「そういえばさっきも澪が言ってましたけど、澪には妹がいたんですね」

「はい…」

「どんな子供だったんですか?」

「しっかり者でした。なんでも一人でこなせる子供でしたよ…」

「アハハ! それじゃあ澪とは正反対ですね」

「いえ、澪もそういう性格ですよ」

「え? うっそぉ?」

「彼女はのほほんとしていますが、一応自分のやるべきことはしっかりやっています…」



へぇー、そうだったんだ。

と、一つ疑問が浮かんだのでそれを聞くことにした。



「ところで、その妹は連れて行くのにどうして澪は連れていかないんですか?」

「それは…」

「…?」



そうして雪江さんはしばらくした後にこう言った。




「澪が特殊継承だから…」

「なっ!?」



特殊継承だって!?



「その力を恐れた澪の両親は澪と私を残して…」


「いやぁ〜いい仕事してますねぇ〜」




肝心な話をしようとしていたその時、澪がキャンディーとその他数点を持ってやってきた。



「何話してたの〜?」

「いや、サッカーについて話してたんだよ…」

「え、ええ…。そうです」

「二人もサッカーに興味があるの!?」

「「ま…まぁ…」」



とりあえず澪に今の話を悟られないようにした。



「そっかぁ〜♪ そうだ前田くん、うちに寄ってく?」

「たしかにそうですね…。このまま帰ってもらうのも…」

「ん、それじゃあお言葉に甘えるとしますか!」

「一命様ご案内〜♪」

「命を案内するのか!?」

「澪、あまりはしゃがないで下さい…」

「雪りんごめ〜ん」

「ったくお前は…」




……




「それじゃあいろいろごちそうさまでした」

「じゃあね〜」

「はい、またいらして下さい…」



俺は澪の家で、雪江さんや澪とゲームをした。

雪江さんはそれなりに練習したらしく、かなり強くなっていた。

しかし元々センスが無いのだろうか、俺には勝てないままだった。



「わかりました。またお邪魔します」

「よかった…。それではまた明日、里美さんのお宅で…」

「楽しみだね〜」

「そうだな。じゃあまた明日!」

「それじゃあわたしが下まで送るよ〜」

「え? どうしてだ?」

「いいじゃ〜ん♪」

「珍しいですね…」



たしかに下まで送るってのは珍しい…。



「じゃあお願いするよ」

「じゃあ行こ〜」

「わかったから引っ張るなよ! それじゃあ雪江さん、また明日!」

「ええ、明日を楽しみにしています…」



そうして二人で澪の家を出た。




「今日は楽しかったアルヨ〜」

「ああ、俺も楽しかったよ」



今は二人並んで階段を降りながら会話をしている。



「そうだ前田くん」

「どうした?」

「……」



急に澪が立ち止まり俯いた。澪が立ち止まったので、俺も立ち止まって澪に近づく。

すると澪は、急に顔を上げてきた。



「ベンチで雪りんとお父さん達の話をしてた?」

「…」



そして俺は一呼吸置いて。



「…ああ」

「やっぱりそうだったんだ…」



そうして澪は顔を曇らせた。こんな澪の表情は初めて見た気がする。まあ転校してから一週間も経っていないから当然かもしれないが…。



「わたしがちっちゃい頃はね…。お父さん、お母さん、真央、雪りん、わたし。皆で暮らしていて…楽しかったんだ。でもある時からお父さんとお母さんは私のことを見る目が変わったの」



「それで…。わたしが小学三年の時にね、まだ中学一年だった雪りんとわたしがこの家に残されて…」



雪江さんは二十歳か…。



「どうしてなんだろうね…。わたしの何がいけなかったのかな…? わからないや…」

「…」



「あっ、ごめんね前田くん。こんな話を−−。キャッ!」




俺は澪の顔を自分の胸元に押し付けた。まあつまり抱き寄せたってことだ。




「澪…。無理するな…」


「前田くん…。前田くーん! ウワーン!」



澪も俺に抱き着いてきた。



「また皆で一緒に暮らしたいよ! 夕ごはんも特大キャンディーもみんなで一緒に食べたいよ!」

「ああ…」


「真央と一緒にお買い物行きたいよ! お母さんと料理作りたいよ! お父さんと一緒にキャッチボールも…」

「…ああ」


「戻って来てよ…」



「ふぇーん!!」



そうして澪は大声で泣いた。





……



「…グスン」

「落ち着いたか?」

「うん、ありがと〜」



結局あれから澪は三分間泣き続けた。

カップラーメンを食べ終えれる時間だ。



「じゃあ今日はありがとうね!」

「ああ! 俺も今日は楽しかったぞ!」



まあ澪といると飽きないしな。



「あの…。それで…」

「どうした澪?」



なんか澪がもじもじしている。



「慶二くん…」

「え?」


「慶二くんって呼んでもいい?」

「…なんだよ、そんなことかよ」

「そんなことってなんだよ〜。結構重要なことなんだぞ〜」

「それならもちろんいいに決まってるだろ!」

「ほんと〜? やったぁ〜」



そんなに嬉しいことかね? でもやっぱり笑った澪はかわいいよな。



「それじゃあね慶二くん!」

「おう! じゃあな澪!」



そうして澪は階段を駆け上がって行った。というか下まで送るとか言っていなかったか?




……



「雪りんただいま〜」

「お帰りなさい澪」

「ねぇねぇ聞いてよ聞いてよ〜!」

「どうしましたか?」

「前田くんが自分のことを慶二くんって呼んでもいいって〜」


「それなら私はとっくに慶二さんと呼ばせていただいてますが…」


「え、どうしたの…? 雪りんらしくない…」

「私らしくないとは…?」

「だっていつもの雪りんなら、よかったですね…。って言うでしょ〜?」

「…でもそういう澪もそんなに嬉しそうにしているのは久しぶりですね…」

「そうかな〜? まぁいいや〜。それじゃあシャワー浴びてくるね〜」

「…はい、いってらっしゃい…」



「私らしくないですか…」





……




「ただいま〜」

「おかえり慶二」

「お帰りなさい慶ちゃん♪」

「それじゃあ慶二が帰ってきたから夕ご飯にしましょ」

「はいはい♪」

「待たせちゃってすいません…」

「ほんとよ! ったくお腹がペコペコだわ!」

「お前には言ってねぇ! むしろ感謝しろ! ダイエットになるんだからな! HAHAHA!」



しまった…。また言い過ぎた…



「ほぅ、覚悟はできてるわけね…」

「え、えぇ。まぁ…」



「しねぇ!!!」



アンギャー!!!





……




「ったく痛ぇな〜」



ここは風呂場。俺の入浴シーンは初めてだな。

残念だが、俺の裸は脳内妄想で頼む。



「それにしても、あいつも特殊継承なのか…」




「負けるなよ澪…」




慶二の含みのある言葉を残し、今日一日がまた過ぎていった。

次回は転校編最終回です

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