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第10話〜ESP保持者〜

まだまだ食堂です。好い加減に日にち変われって話ですよね…。すいません

「ねえ慶二…」

「何だ七美…」

「このお弁当は誰が作ったの?」

「前田くんのお母さんが作ったの?」

「いや、違う…」

「「じゃあ…誰?」」



まずいまずいまずい!!! これはまずいぞ!!!

転校初日にして居候のことがばれるのか…。



(おい兼次! なんとかしてくれ!)

(なんとかできないこともないが、いくら嘘をついた所でいつかはバレる。それが早いか遅いかの話だ)

(確かにそうだな…)



「何二人でこそこそ話してるのよ〜?」

「こそこそ話しはいけないんだよ〜」

「そうですわ!ちゃんと話してくださらないと」



やっぱり正直に言うしかないのだろうか。べつに里美も、居候してることは言わないで。とは言ってなかったしな〜

な〜んて開き直っていたら聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「雪りーん!」



違う違う!



「雪江さーん!」



そうそう、それそれ。



「あれ、里美だよ?」

「里美ですわね」

「ホントだ♪ おーい里美ー!」



里美だって!?


「あれ!? 明日香に七美に澪じゃない!」

「こっちにおいでよ〜♪」

「オッケー! …って兼次に慶二!?」


里美は自ら窮地に陥りにやってきたとでも言うべきか。

クックック…。この状況をいかに覆してくれるか、見物ですなぁ…。



「おう里美!」



そんなことを裏で考えながら、白々しく挨拶をした。


そして里美は俺の左隣り、明日香の正面に座った。



「部活お疲れ様ですわ」

「ありがとう。明日香も部活あったんじゃないの?」

「ええ、軽く汗を流すだけでしたから早く終わりましたのよ」

「そうなんだ。私も軽く汗を流して終わりだったんどね」

「そうでしたか」


二人とも普通にしてたらかなりかわいいんだけどなぁ…。性格に難あり、と。


「ところで何で七美はここにいるの? 帰るとか言ってなかった?」

「うん、ちょっとね」

「あれ〜。わたしのことは気にならないの〜」



澪は気にしてほしいらしかった。



「どうせ思いつきで、昼ご飯は食堂にしようよ。とか言ったんでしょ?」

「里美さんもなかなか鋭くなりましたね…」

「ありがとうございます」

「はぅ…。その通り…」



雪江さんも一応普通に喋るんだな。

それにしても雪江さんは昼ご飯食べたのかな?



「あの…。雪江さん…?」

「何でしょう前田さん…」

「ああ、俺のことは慶二って読んでくれて構わないですよ」

「そうですか。わかりました」

「そんなことより、雪江さんは昼ご飯食べたんですか?」

「あら、そのことでしたら澪の食事風景を見ていただくと謎は解けますわよ」


と、明日香が言ったので澪を見てみた。



「どれど…。おっせぇ!!!」



今、澪はカレーライスを食べている。カレーから口へのスプーン運びは普通だが、一回ですくうカレーの量がとびきり少ない。もうカレールーはカピカピしていた。

この食事に付き合っていた雪江さんも大変そうだな。



「まあそんなことより、七美が学校にいたのは俺も疑問だったな」


兼次も気になっていたらしい。まぁ確かに、なんかしらの理由がないことには帰宅部が学校を帰らないことは無いしな。


「え、わたし? わたし?」

「ああそうだ」

「ええ」


兼次と里美の共同戦線だ。それにしても兼次はこいつらと仲がいいんだな…。

ったく、お前はギャルゲの主人公かっ!(作者も慶二も)やったことがないから想像だけどな



「えーっと私は…」

「「私は…?」」


「帰る途中に…」

「帰る途中に…?」

「なるほど」


里美は質問を続けたが、兼次は納得していた。


「え? どういうことなの兼次?」

「俺から言えることは、俺の口からはとてもじゃないが言えない。ってことだ」

「えー! もしかして兼次…」

「頑張れよ七美」

「ちょっと来て!」



そう言って七美は、兼次を引っ張って遠くに行ってしまった。



「慶二は分かった?」

「んにゃ、俺もサッパリだわ」



兼次はよくわかったな…。


普通に考えれば、帰る途中に…。で自分の為にってことくらい分かるはずだが、慶二は興味の対象以外のことには頭が働かなかった。



(何でわかったのよ!?)

(帰る途中に…で大体分かるはずだが…)

(帰る途中に慶二を見掛けたから…。だけなら、転校生案内を手伝った心優しい女の子でしょ? それなのにどうして…。わたしが…)

(鎌をかけてみた)


(うっそーん!!!)


(さすがにその情報から、そこまでは分からないだろ)

(そんな馬鹿な…。負けたわ…)

(情報戦で俺に勝てるやつはいないからな。一人を除いて)

(一人はいるんだ?)

(四分蔵ってやつだ。そんなことより、あれか? 転校生に一目ぼれってやつか?)

(…)


七美は真剣な顔になって俯いた。


(どうした?べつに無理に話さなくてもいいぞ)

(違うよ♪)

(ん?)

(一目ぼれじゃないってこと。それ以上は…。言えないけどね♪)

(そっか。そんじゃあもう戻ろうか)

(だね♪)



なーんか自分に聞こえない場所で話されているってのも気分がよくないよなぁ…。



「里美もそう思わないか?」

「何がよ?」



と、そこに二人が戻ってきた。



「何を話していたんですの?」

「当たり前だが秘密だ」

「そうそう♪」



ですよねー。



「おごちそうさま〜」

「澪。何度も言っていますが、"お"を付ける必要はないです…」

「ふぇ? そうだったっけ?」

「毎食毎に言っていますが…」



何の前触れもなくカレーを食べ終えた川岸澪。素晴らしい物覚えの悪さだ。




……



「「「「ごちそうさまー」」」」



あの後二人の頼んだメニューが届いた。それがまた驚きで、

「プー」という警告音がしたかと思ったら机に穴が開いて、そこから食事が出てきたのだ。


「兼次、これは…?」

「いつまでもゴーイングマイレボリューションシステムだ」

「そっか」



そして一番心配していた居候のことだが、すぐにバレた。しかし意外にもバレた時に里美は怒ってなかった。


だったらなにも、心配することなかったんだがな…。


「しかし綾子さんのオムライスは美味かったな〜」

「綾子さんも、なんでけいちゃんLOVEなんだろ?」



澪が聞く。



「こいつは昔から綾子さんに好かれているんだ」

「えぇ〜。里美のお母さんを〜」

「をってなんだよ! をって!」



澪ちゃんは頭のネジが足りないのかな〜? かな〜?



「どうせみんな集まったのですから涼子を呼びませんこと?」

「あぁ〜そうだね〜♪」

「呼ぼうよ呼ぼうよ〜」



涼子ってあの愛想がないやつか…?



「さて、それじゃあ俺は帰るとするよ」

「あら?まだ一時ですわよ?」



昼ご飯を食べ終えたからか。兼次が急に帰ると言い出した。



「ん、まあ用事があるからな」

「マジかよ…」



男が俺だけになっちゃうじゃねーか。とっても心細いよ…。

そして兼次は俺の方を向いてきた。



「お前は本当に伊勢家に居候しているのか?」

「ああ。それがどうかしたのか?」

「フフッ」



ん? どうして笑った?



「気にするな。じゃあまた明日な」

「お…おう。じゃあな!」



いったいぜんたい何だったんだろうな?





「…前田が上杉にか。これは面白いな…。ハーッハッハ!」





「ぬおっ!なんだなんだ!?」



急に食堂の外から大きな笑い声が聞こえてきた。



「もしもし涼子?」



なーんて俺が兼次の笑い声にビックリしていた間に、七美が携帯で電話をかけていた。



「ねぇ涼子、今どこ? うん…うん。あっだったら調度いいや、わたし達も食堂にいるからさ。うん、うん、それじゃあねー」



どうやら会話が終わったようだ。



「今から風呂に入ろうとしてたからすぐに来るってさ」

「なら調度いいわ。私も一緒に入ろっと」



風呂かぁ…。里美の風呂かぁ…。エヘヘ〜



「何ニヤニヤしてんのよ!」

「へっ!?」

「もしかして里美の入浴シーンを思い浮かべてたり?」

「変態ですわね」

「里美まで食べちゃうの〜?」



この澪めっ!



「あっ涼子♪」

「あ、ホントだ」

「あら、お早い到着ですわね」

「お〜い!涼子ちゃ〜ん!」


四人が向いていた方を見るとあの時の剣道少女がこっちに向かって歩いてきている姿が見えた。


「みんなでいたのか。…ん?お前は…」


おっ!俺に気付いてくれたか!

よしっここは渾身の自己紹介を見せてやる!


「前田慶二。探偵さ!」

「…そうか。私は御堂涼子だ」


スルーかよバーロー!


「それにしても何故全員集合しているんだ?」

「ああ…それは俺から話すよ」


スルーにめげずに、俺は今までのいきさつを話した。


「…そうか。じゃあ入浴をしに行こうか里美」

「そうね。行きましょ」


御堂はとりあえず聞くことを聞いてさっさと大浴場へ行ってしまった。


「兼次の言った通り。確かに愛想がないよな…」

「そんなことないよ〜」

「ええ、私達にはそんなことありませんわよ」

「男子には無愛想だけどね♪でもそれはあまり慣れてないからだよ♪」


そうなんだ。


「ねぇねぇそれよりさ、慶二は里美の家に居候しているんでしょ?」

「ああ。そうだが…」

「ならさ、週末に里美の家で歓迎パーティーやらない?」

「それはいいですわね!」


あれ?俺はてっきり下品な人間の為のパーティーなんて行きたくありませんわ…とか言うかと思ったけど。


「わたしもさんせ〜。雪りんも行こ〜?」

「いえ、私は家事を行わなければ…」

「え〜!それくらいいつでもできるよ〜。だったらわたしも手伝うから〜、ね〜?」

「澪がそこまでいうなら…」

「決まり〜」


里美がいない所で色々と決まってしまった。


「なあ一応里美に聞い…」

「じゃあ会費は全て私が出しますわ!」

「いよっ!さすが北条院グループ♪」

「すごいすご〜い」

「もっと崇めなさい!」


あいつらもよいしょが上手いな。ってか人の話を聞けよ!


「お酒もじゃんじゃんいくよ〜♪」

「「お〜♪」」


俺にはこのテンションを下げる勇気が無かった。

そしてパーティーについてしばらく三人で色々話していると里美と御堂が戻ってきた。


「どうした?三人で盛り上がったりして」

「ああ涼子、実は週末に里美の家で歓迎パーティーやらないかって♪」

「私の家で!?」


すまん里美。俺の力不足だった。

とその時、里美の携帯が鳴った。


「もしもしお母さん?」

(もしもし、さっちゃん?)

「いきなりどうしたの?」

(うちでパーティーをやることだけど、やっても構わないわよ〜。た、だ、し、わたしも参加させてね〜。じゃあね〜)



プッツン



「…」

「どうしたの里りん?」

「パーティーやってもいいってお母さんが…」



綾子さんはエスパーか!?



「なんかよくわかんないけど、とにかくやってもいいってこと?」

「うん…」

「決まりですわね!」

「じゃあ参加者はここにいる全員と兼次ね♪」


「待て待て!私は参加するなんていってないぞ! それに全員ってことは雪江さんも参加するのか?」



御堂が必死に抵抗した。

しかし雪江さんが−−。



「−−参加します…」

「「うっそーん!?」」



里美と御堂はかなりビックリしていた。



「雪江さんも行くって言ってるのに、参加しないなんてことはないよね♪」

「…わかった。土曜日は調度部活も休みだしな…」

「私も土曜日は空手部休みなのよね。まあ調度いいと言えば調度いいかも」

「あら? 全国優勝の二人が同時に休みなんて珍しいですわね」

「そういう明日香も全国優勝チームのレギュラーで日本選抜のくせに部活は無いの?」

「ええ、休養日ですわよ」



何!? 全国優勝が三人が一同に介しているだと!?



「うひゃー! もうその日しかないじゃない♪」

「そうだね〜」

「そうですわね」



それにしても女子ばっかだから、なかなか会話に参加できないな…。



「じゃあ何時からにします?」

「べつにうちは何時からでもいいよ」

「じゃあ昼頃から行く?」

「じゃあ一人一つづつ料理を持って行きましょうよ♪」

「いいですわね」

「でも里美は料理を作る必要はないわよ♪」

「ああ確かに…」

「里美はネオ生物兵器製造マシーンですからね」

「たしかにあれは酷いよ〜」

「…」

「お前はそんなに料理が下手なのか?」



黙ってしまった里美に話し掛けた。なんか久しぶりに話した気がする。



「うん…」

「里美の料理は私も死にかけたからな…」

「私もですわ…」

「わたしも〜」

「まあ人にはそれぞれ得手不得手があるのよ♪」

「お母さんの娘なのになあ…」

「気にすんなよ」



俺にだって苦手な物はあるしな。



「そんじゃあそろそろ帰らないか?」

「そうですわね。それでは私の車で皆さんをお送りしますわ」



さすが、助かります。




……




「それにしても剣道全国優勝か…」

「そうだが…」

「そういえば慶二も剣道やってたんでしょ?」



ここは北条院が用意してくれた車の車内。

御堂は家の方向が近いらしく、一緒に乗っていた。



「ああ、じいちゃんに無理矢理やらされてただけだけどな」

「そうなのか?」

「ん、ああ」

「昨日は結局聞けなかったけど、あんたどれくらい強いの?」

「地区大会三回戦敗退だ…」

「よっわーい!」

「うっせえ!!!」



ったくストレートによっわーいは無いだろ!



「その程度だったか…」

「…」



なんか御堂に悪いことをしたみたいだった。



「御堂様、着きました」

「あっ、ありがとうございます」



運転手は御堂の家を知っているらしかった。



「じゃあまたね涼子」

「うん、またね」


「じゃあ明日な!」

「ああ…」



態度がちげー!!!


そうして御堂は車を降りていった。



「そういえば前田慶二…どこかで聞いたことがあったのだが…。地区三回戦敗退も引っ掛かる…」



涼子は何かを思い出そうとしていた。


「ダメだ、思い出せない!」




「ふぅ…」





「土曜日か…。楽しみだ…」


結局思い出すのを諦めた彼女は、そう呟いて家の中へと入って行った。

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