愛される頭蓋骨と与えられる愛
彼女には悪いと思った。
本当に嫌なことをしたと思う。
ただ、激高することも落胆することも無いままに話はつき、
俺は自分の為にフリーになった。
告白は相手からだった。
あまり記憶に残っていない人だったが、思わずテンションが上がった俺は、二つ返事で承諾した。
毎日来るメール、
返事を返せば電話、
電話をすれば対話…
延々と続く、彼女からのラブコール。
正直、嬉しいのは最初だけだった。
初めての彼女だっただけあり、何をするにも上手くいかなかった。
仕舞には、どうやって別れようと、
どうやったら傷つけずに別れられるだろうと、面子を保つことだけを考えていた。
そして----
あの事故から、佳奈子が部屋から出て行くまで、
彼女の存在自体を、すっかり忘れ去っていた。
結局、由莉姉をダシに使い、佳奈子を盾にするという、卑劣なことをしでかした俺は彼女を振り、
この期に及んで佳奈子を手放さず、由莉姉を好きなまま
佳奈子が傷つき、由莉姉を侮辱した形をとっている。
サイテーなんだ、俺。
そんなサイテーな俺は、更にサイテーなことに、
佳奈子が俺を好きだってことを利用して、強姦と同じようなことをしている。
…いや、繰り返ししている分、7割増しくらいで俺が悪いかもしれない。
それでもなお俺に着いてくる佳奈子を、
俺は、一体どうしたいんだろう。
無邪気な、幼い頃と同じ笑顔の佳奈子は居なくなってしまったのに未だ純粋な彼女は、
きっと俺が壊したんだと思うと、
きっと俺が繋ぎ止めているんだと思うと、
彼女の全てが既に俺の手に入っているとしか思えない。
恐らく永遠に、俺は愛され続ける。
彼女や、彼女から貰っている自信の為に。
飲みかけのコーラは、夏場に不適な温さで俺の喉を通過した。
炭酸が抜けて、温くて、しかし不思議と不味くなかった。
ただ、情事の後に佳奈子が流した涙の味を思い出したら、ちょっと不味くなった気がした。
17の、ちょっと苦い思い出。