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第三章

グロイので、注意してください。


ブラッディーの館は朝から赤いカーテンが窓を隠していた。それはまるで、光を嫌う吸血鬼のように・・・・。そのせいで、館内は薄暗かった。


「もういいかい?」


長い廊下にウィリーの声が響いた。かくれんぼゲームをしているようだ。

辺りを見回す。物音一つしない静けさ。


「もういいよ」


その静けさを破るかのように、かすかに聞こえるヴェンの声は、ウィリーの耳に届いた。ウィリーは笑みを浮かべると、ゆっくりとヴェンを探しはじめた。

最初にピアノが置いてある部屋に入ったウィリーは、呪文を唱えるようになにか言いながらヴェンを探した。


「さぁ、出ておいで。どこにかくれたのかな?ここかな?」


ウィリーはピアノの下を覗いた。そこにヴェンの姿はなかった。


「早く出ておいで。悪魔が来るまえに出ておいで。見つかったら死んじゃうよ?さぁ、出ておいで。ここかな?」


次はカーテンを引いてみた。けど、そこにもヴェンの姿はなかった。

すると、どこからかヴェンの楽しそうな声が聞こえてきた。


「それじゃぁ、ダメだよ、悪魔さん。そんなんじゃ見つからないよ?」


その声にウィリーは驚いた顔をして見せた。そして、カーテンを戻すと部屋を出て、廊下で考えるふりをした。


「ここじゃなかったようだね。じゃぁ、こっちの部屋かな?」


ウィリーはそう言うと、隣の部屋に入った。そこはヴェンの部屋だった。部屋の中を見渡す。何も感じない。


「さぁ、出ておいで。どこにかくれたのかな?ここかな?」


呪文のように呟くと、ベッドカバーをめくった。ヴェンの姿はそこにはなかった。


「早く出ておいで。悪魔が来るまえに出ておいで。見つかったら死んじゃうよ?さぁ、出ておいで。ここかな?」


クローゼットの戸を押し開けたが、そこにもヴェンの姿はなかった。

ウィリーは楽しそうにヴェンの部屋を出た。

そして、図書室の部屋のドアが空いていることに気がつき、図書室の中へ入った。そして、呪文を唱えるように言う。


「さぁ、出ておいで。どこにかくれたのかな?ここかな?」


本棚の間を見ていく。だが、いない。それを繰り返しているうちに、とうとう最後の本棚のところにきてしまった。


「みーつけた」


ウィリーは笑みを浮かべながら本棚の間を覗いた。


「見つかっちゃった」


ヴェンはそこに隠れていた。ウィリーは笑うと、役を交代した。ヴェンが鬼で、ウィリーがかくれる者となった。

だが、そこにブラッディーが入って来た。二人は顔を見合わせた。


「ブラッディー、どうかした?」


ヴェンがそう聴くと、ブラッディーは二人に言った。


「明日だよ、ハロウィン。二人は楽しみ?」


ブラッディーの質問に二人は頷いて答えた。クスクス笑うブラッディーは、本当に楽しそうな顔している。


「じゃ、二人に合言葉を教えるね。『Trick or Treot!』だよ?」

「わかった」


ウィリーとヴェンがブラッディーにそう答えた。ブラッディーは微笑んだ。

二人はその合言葉が気に入ったらしく、呟いた。




『Trick or Treot!』




「それとね。ハロウィンを楽しんできてほしいから、このビデオを見るといいよ」


ブラッディーはそう言うと、ビデオテープをヴェンに渡した。

題名欄には、不気味なカボチャのシールが貼ってあり、題名はハロウィン・パーティー、と書いてあった。

ウィリーとヴェンは部屋に戻ると、早速ビデオを見た。




グチュッ


「ぎゃあああああああああああああ」


ザシュッ


「あああああああああああああああ」


グシャッ


「うわあああああああああああああ」


グチャッ


「―――――――ッ!!」


ドサッ・・・・



無残に殺された人々を見て、二人はハロウィンが楽しみになっていた。


「やっぱり、面白そうだ」


ヴェンがこぼした言葉をウィリーは同感だと思った。

ビデオを見終わった後、二人はハロウィンに使う道具について話し会った。


最初は道具について話していたが、ブラッディーと一緒に考えることとなった。道具は、軽いけれど、切れ味バツグンの銀のナイフに決まった。

夕食を食べる時間になり、広間に着た二人は、ブラッディーにハロウィン・パーティーの仮装について話し合った。ブラッディーは死神のような衣装を用意すると言うと、自分の部屋へと戻っていった。広間に残されたウィリーとヴェンはまだ食べ終わっていない料理をゆっくり食べた。


「今日のコレ、おいしい」


ウィリーがコレといったものを飲んで言った。ヴェンも後に続いて飲んでみた。


「ホントだ。つか、これってブラッディーが作ったんだろ。何でできてんの?」


「さあ?血みたいに真っ赤だけど。」


「血だったりして・・・」


「血は、鉄の味がするでしょう」


「砂糖混ぜたとか?」


「嘘・・・」


「じゃぁ、ミルク?」


「気色悪いピンク色になるって」


「チェッ」


そんな会話をしながらも、明日の夜に行われるお祭り・ハロウィン・パーティーが待ち遠しくてならなかった。



空には星が輝いていた。


だが、それを見ることすら知らない二人は机の上に銀色に光るナイフを置いて眠った。

二人の寝顔は、本当に無邪気で。


ただ、ゲームに夢中になっているだけのこと。


だから

これがイケナイコトだとは思わない。

ハロウィンはきっと、二人にとって

とても楽しい遊びになるだろう



『Blood Halloween』


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