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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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暗い喰らい

作者: 諏訪絢斗
掲載日:2025/11/26

短いけど書いてみたくて書きました。

「なぁもう帰ろうぜ」

 親友である松本(まつもと) 浩司(こうじ)が俺に話しかける

「でもよ、お化け…一目見たくない?」

 そんな感じで軽く返す俺の名前は大島(おおじま) (れん)、俺たちは高田市の大学生で今いるのはそんな高田市で怪談噺の絶えない身尽切(みつきり)山である。

 暗い山というのはそれだけで雰囲気が出るもので浩司が怖がるのも無理はない。が…

「ダセェって浩司、マジで怖がってんのかよ!まだ1時だぜ?明日休みなんだし大丈夫だって、な!」

 流石に面白すぎる、いい年した大学生が怖がっているっていうのは。

「俺は大親友であるお前を一人にしないために来てやったんだ。本当なら来ねぇよこんなところにはさぁ。」

 と恨みつらみ吐いている。こうなったのはそう確かに俺のせいではあった。


1年前

身尽切山で死体が見つかったというニュースがあった。毎年あるニュースで正直そういうものだと思っていた。警察の話によると昨日の夜行方不明になった人だったという。名前は野村沙耶、19歳。別に性犯罪ついでに殺されたというわけでもなく頭の先からヘソまでの上半身が見つからない下半身だけの状態で見つかったらしい。

 警察官の従兄弟であるアヤ兄に聞いたら

「内緒だからな…遺体がなんだかおかしいらしくてな…なんというか…"歯型?みたいな感じ"らしい。例えば、たい焼きとか食ったときに歯型がつくだろう?あのUの形とデコボコした感じ、分かるか?」

 分かるけどなんというか要領を得ない回答だ。つまり何が言いたいんだ?

「つまりは…"でっかい人に頭からバックリと食われた"みたいな感じなんだよ…分かるか?」

 つい大声で笑ってしまう。そして鼻で笑い飛ばす、そんなわけがないと。

「でっかい人に食われるって大げさだろ。そんな面白い怪談噺があるとは思わなかったよ。」

 それにアヤ兄はムッとした顔になって行った。

「俺も信じたくはなかったさ、あれを見るまではな。」

 と言って資料の写真をスマホで見せてくる。

「なにこれ?村の伝承話?」

 そこには高田市の身尽切山の方にちょうど御身村があったそうで、そこの話が書かれている。いくつか見せてもらった途中でアヤ兄が指を止めた。

「これだよ、ここの神様、事件の内容に似てないか?」

『決められた子供を一人、山に登らせて帰ってこさせる祭り【身尽】』

「………なに?これ…?」

 本当っぽい話になってきて俄然興味が湧いてきた。

「当時の贄の名簿もあるし記録もある。当時の政府の市町村民の名簿と照らし合わせても子供が行方不明後発見され、下半身だけが残った死体として記録が残されている。分かるな?でもこれが不可解でな、どれも見つかっているんだよ"下半身は"な…」

 下半身だけは必ず見つかっている贄?それは確かに不思議だ。昔ハマっていたゲームに綿流しっていうのがあったがどうもそれとは違うらしい。

「子供に山を登らせて帰ってこさせる祭りを身尽って呼んでいるんだろ?それにしてはまず名前が物騒すぎるし実際に毎年死人が出ている。祭りなのは分かるが止められない理由でもあるの?」

 それに対してアヤ兄は一つの言葉に指をさす

『大喰様』

「おおくらい?おおしょく?だいくらい?だいしょく?なんて読むのこれ。」

「詳しい人が言うにはおおくらい様らしい。」

 なんだか言葉すべてが物騒でやな感じだと思ったらアヤ兄もそう思ったらしく続ける。

「この神様が人を食べているものだと思われる。神様っていうのは人を救うだけじゃない、奪うのも神様だからな、本当に嫌なもんだよ。」

 俺がワクワクした顔をしているとアヤ兄が一言釘を刺す。

「行こうとなんて考えるなよ。夜は警備を増やすって話だからな。見つかったら説教じゃ済まないぞ。」


 その話を思い出して、行ってみるわって悪ノリをいつものメンバーでしてたら本気で行くつもりだと察した浩司が付いて来たって訳だ。あれほど張り込みして人がいないタイミング見計らって入ってきたんだから何かないと困る。なんて思っていたら畦道のような所へ出た。

「なぁ…こんな広い畦道あるような山だったか?」

 と浩司に話しかける。

「なわけないだろ!こんなところ山にあるわけないだろ!なぁ!帰ろうぜ!」

 と言って浩司が慌てている。流石に俺も慌て出して後ろを向き来た道を戻ろうとする…が来た道が見渡らない、それもそうだ、まるで延々に続くように霧がかかっていて視界が悪く先が見えないのだから、道など分かるはずもない。

「なぁ!どうするんだよ!このまま戻れないって言うんだったらさぁ!!」

 浩司がいつにもなく取り乱している、一度も見たこともない浩司の様子に俺は取り返しのつかないことをしてしまったのだと気がついた。

まずい、まずい、まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい

 頭の中にあるのはそのコトバだけ呼吸が荒くなり、どうするべきかも頭に思い浮かばない。俺は物語の主人公じゃあない、この場を切り開く考えなど思い浮かぶはずもない。人は知識として知っているものしか知らない、こんなものは知識にはないどんな人にも。こんな事ができるのは妖怪や物怪の類いだ………………そうだ…神様…大喰様がいる。俺たちはもしかしたら食われる。早く逃げなければと思って先程まで取り乱し騒いでいた浩司の方を見る。

 それは人ではなかった。とても大きな大きな化け物。体の大きさは大して自分たちと変わらないが、頭の大きさが違う。そんな化け物は浩二の頭をバックリと噛み潰していた。頭だけではないヘソの方までバックリと…そのあまりにも大きい口は浩司の他に横並びであと5人は行けるほどのくちの大きさだった。

 クチャクチャと音を立てて歯の隙間から肉片、脳みそっぽいものが少しづつ落ちていた。

 浩司の変わり果てた姿を見て息が止まった。呼吸ができない、筋肉が強張って身体が動かない、それとは別に頭の中はクリアだった。いやクリアだったわけじゃない…なにも考えられなかっただけだった。

 まるで時間が止まったようだった、クチャクチャと音が鳴り時間が過ぎていく。このままだと死ぬ、喰われる…次は俺の番だ。嫌だ死にたくない。

 大喰様は浩司の体から口を離し頭を萎ませる。先程まで体より大きかった頭はいつの間にか人間らしい頭身になっていた。その化け物は無駄に顔が整っており、その無邪気な顔はまるで幼い子供のようだった。

 大喰様は俺の隣を通り過ぎていった。俺はいつの間にか山道の中にいた。体操座りて体を縮ませ、震える体を手で包み、その場に座る。

「フフ…フフフ…アハハッ」

変な笑いが出る。おかしくなってしまったのだろう。ただ腸の飛び出してまるで捨てられた玩具のように倒れた浩司の下半身を見ていることしかできなかった。

 その後、警察がきて取り調べを受けたがまともな会話もままならない、俺はただ、

「化け物が出たんだ…畦道で…山の畦道で…友達が頭から食べられた…俺のせいで死んだ…俺のせいで…」


 浩司のたった一人の家族であるお母さんには謝罪に行った、ごめんなさいと謝っても戻る命ではないけれど自分のせいで浩司は死んだ。だが帰ってきたのは俺にとって最も残酷な答えだった。

「悪いのはあなただけじゃない…うちの息子も馬鹿だったの…私はあなたを恨んでなんかいない。息子の友達でいてくれてありがとう。」

 俺は罪を背負って生きていく呪いの言葉。

 俺はそれから家に引きこもった。大学も辞めて就活も辞退して、もうそんなことができるような状況じゃなかった。

 結局、罪から逃げたんだ、俺は弱い人間だった。だが今でも時々一人でニュースを見ている。

 その後も山に行く人が1年周期で行方不明になっているらしい。


 俺はそれ以外のことは知らない。

取り敢えず短編出しつつ神様になりたかったを描いていこうと思います。短編で少しづつ書き方を覚えていけたらなと考えているのでしばらく神様になりたかったの更新は止まるかもしれません。

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