第34話 好きなこと、苦手なこと
「ケン、お前……! 呪いが消えてるじゃないか! それに、その魔力……!」
リアムが驚きと喜びの入り混じった声を上げる。
「うん、リアムくんのおかげで、呪いを解くことができたよ。ありがとう」
魔法警察にヴァルガスを突き出したあと、僕は再びアルカナ魔法学校に戻り、リアムと会っていた。
彼はいつも冷静だけれど、どこか優しさを滲ませている。
「……そうか」
「うん。僕の目的は達成できたから、そろそろ人間界に帰ろうと思うんだ」
「人間界に……!? そんなに魔力があるのに、勿体ないぞ」
リアムが少し驚いた顔をした。
「やっぱり、僕は魔法よりも科学の方が好きだから」
リアムはしばらく黙って考えていたが、やがて深く頷いた。
「そうか。お前が決めたことなら、応援するよ」
「ありがとう、リアムくん。本当にいろいろありがとう」
「気をつけろよ、ケン。いつでも呼べばすぐに飛んでいくからな」
「うん、また会おう。じゃあね」
「じゃあな、ケン」
僕はリアムに手を振り、アルカナ魔法学校を後にする。
魔法生物の飼育施設にいたあのおじいさんは、結局何者だったのだろうか?
お礼を言いたかったけれど、もう姿を見つけることはできなかった。
心に小さな疑問を残しつつ、僕はクーレシタ魔法学校へ戻るための列車に乗った――。
クーレシタ魔法学校に戻ると、いつもの仲間たちが駆け寄ってきた。
アレックス、ジェシカ、ジャック、マシュー――彼らの姿を見た瞬間、心がふっと軽くなる。
「ケン、戻ってきたんだな!」ジャックが元気よく声をかけてくれた。
「うん、無事に呪いも解けたよ。魔法界での冒険は終わりだけど、いっぱい学んだし、いい経験だったよ」
ジェシカが少し寂しそうに言った。「ケンくん、人間界に会いに行きますからね!」
「ジェシカちゃん……え!? もしかして、まだ呪いの効果が……!?」
「フフッ。ケンくん、何言ってるんですか? 呪いの効果なんて、私には最初からありませんでしたよ」
「ええっ!?」
「だから、人間界でもデートしましょうね」
「わ、わかりました」
その後、アレックスがにっこりと笑って言った。「僕も遊びに行くよ、人間界まで!」
「ぜひお願いします……」と僕は答えた。
マシューも笑顔で言った。「魔法界にも、また遊びに来てくれよな! 君と遊ぶの楽しかったし」
「もちろん。これからもみんなと仲良くしていくつもりだよ」
すると、そこにエルマーがやってきた。
「ケンちゃん、呪いが解けてるじゃない♪ デートの約束、守ってよね♪」
「……やっぱりまだ呪いが解けてないのかな」
エルマーとジェシカが睨み合いをした後、僕は一人一人にお別れを言い、クーレシタ魔法学校を後にした。
ここでも多くのことを学び、友達を作った。
でも、やっぱり僕は、魔法のない平凡な高校生に戻りたい。
数日後――。
僕はようやく人間界に帰る準備を整え、列車に乗り込んだ。
魔法の世界で経験したことすべてが僕を成長させてくれた。
魔法界に来た頃は、女性と関わるのが苦手だった僕。
けれど今では、女性でも、チャラ男でも、イケメン美男子でも、暑苦しい奴でも、お姉キャラでも、誰とでも仲良くできるようになった。
そういえば――ジェシカにデートに誘われた時、前みたいに慌てなかったな。
自分でも気づかないうちに、ちょっとは成長できたのかもしれない。
苦手なこと、大変なこと、不可能だと思うことに直面しても、もう逃げたりしない。どんなことでも挑戦していける気がする。
「みんな、ありがとう」
僕は母にもらったミサンガを右足首に結び直した。
新しい未来に向けて、僕はもう一度、しっかりと足を踏み出す。
「エマと魔法使いのレオン 〜魔力を与えられた少女〜」のスピンオフ作品「闇の魔法使いにかけられたのは恋愛体質の呪いでした」を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
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