第33話 呪いが……!
「……ん、ぐ……」
しばらくして、ヴァルガスがゆっくりと目を覚ました。
「おはよう」
「……くっ……」
ヴァルガスは体を起こそうとしたが、その瞬間、僕は彼の胸ぐらを掴んだ。
「全部の呪いを解いて」
僕の声は、今までになく低く冷たかった。
「……なんのことだ?」
「とぼけるな」
僕はさらに力を込めて、ヴァルガスを睨みつけた。
「今までお前がかけてきた呪い、全部だ!」
「……フン……」
ヴァルガスは苦笑した。
「……わかったよ」
彼はしぶしぶ杖を取り出し、地面に魔法陣を描く。
ボゥッ……!
紫色の光が広がり、その光がどこかへと消えていった。
「これでいいだろう……」
「……確認させてもらう」
僕は少しだけ目を閉じ、自分の体の中の呪いの気配を探った。
すると――
邪悪なオーラが完全に消えているのがわかった。
「……やっと……!」
呪いが解けたんだ。
「ははは……満足したか?」
ヴァルガスが薄ら笑いを浮かべる。
「じゃあ、もういいだろう? そろそろ俺を――」
「まだ終わりじゃないよ」
僕はポケットから魔法の手錠を取り出し、ヴァルガスの両手首にはめた。
カチャン!
「な、何を――!?」
ヴァルガスが焦りを滲ませる。
「これ、魔法を封じる手錠。もう魔法は使えないよ」
「……っ!!」
ヴァルガスが抵抗しようとするが、もう遅い。
僕は彼の腕を引っ張り、無理やり立ち上がらせる。
「行くよ」
「くそっ、こんなガキに……!」
ヴァルガスは歯を食いしばるものの、魔法なしではどうすることもできない。
僕は彼の腕をしっかりと掴み、そのまま近くの魔法警察へと連行した。




