第24話 科学の力で対抗だ!
ヴァルガスが杖を構え、紫電をまとった魔法が炸裂する。
「フフフ……さあ、遊ぼうじゃないか」
「遊びたくないんだけどおおお!」
僕は全力で後方に飛び退いた。リアムが前に出て防御魔法を展開するが、ヴァルガスの攻撃は圧倒的だった。
「リアム! 僕も戦う!」
「無茶をするな!」
「でも、このままだとやられる!」
僕は腰のポーチから小型の筒を取り出した。
「最近作った新兵器……試すしかない!」
「何だそれは?」
「自作の超音波兵器だよ!」
「は?」
リアムが驚く間もなく、僕はスイッチを押した。
キィィィィィィィィィィィィン!
ヴァルガスの周囲に高周波の振動が発生する。
「ぐっ……!?」
ヴァルガスが眉をひそめ、耳を押さえた。
「まさか……音……!?」
「圧電スピーカーと電圧増幅回路を組み合わせて作った新兵器だ! 超音波を狭い範囲に集中させることで、相手の鼓膜と平衡感覚を狂わせるのさ!」
「くっ……!」
ヴァルガスがよろめく。
「今だ!」
僕はもう一つの武器を取り出し、地面に投げつけた。
ボンッ!
大量の煙が広がる。煙幕弾だ。
「貴様、視界を……!」
煙に紛れ、僕は静かに移動した。超音波兵器の効果で、ヴァルガスは耳を頼れない。
さらに僕は、自作のスタンガンを手に握る。
「リアム、僕が合図したら魔法を放って!」
「わかった」
ヴァルガスが煙の中で探るように杖を振る。
「くそっ……!」
僕は気配を消しながら、ヴァルガスの背後へと忍び寄る。
(音を立てずに……)
超音波兵器と煙幕で、ヴァルガスの感覚は鈍っている。今なら――
バチバチバチッ!
「うわあああああああ!?」
僕はヴァルガスの背中に電撃を叩き込んだ!
「ぐっ……!」
ヴァルガスの体が痙攣し、一瞬膝をつく。
「リアム!」
「はっ!」
リアムが杖を振り下ろし、雷撃魔法をヴァルガスに叩き込む。
ドォォォォン!
ヴァルガスの体が吹き飛ばされ、壁に激突した。
「ぐ……フフ……フフフフ……!」
「笑ってる!? どうして!?」
ヴァルガスはゆっくり立ち上がり、口元を歪ませた。
「やるじゃないか……坊や……これは……予想以上に面白い……!」
僕は警戒しながらスタンガンを構え直す。
「……今日は引いてやるよ。また会おう……」
ヴァルガスは呪文を唱え、闇に溶けるように姿を消した。
「っ……逃げた!?」
「……いや、目的は達成したのかもしれないな」
リアムが険しい表情で呟く。
「もしかしたら……もう誰かに呪いをかけたのかも……」
僕は息を切らしながら、ヴァルガスが消えた空間を睨んだ。
……次に会う時こそ、決着をつける。




