第22話 魔法なしで名門校へ!?
タイムリミットまで、あと258日――。
「ケン、良かったじゃないか。これで俺と一緒にアルカナ魔法学校へ留学に行けるぞ」
リアムが落ち着いた声で言った。
「ありがとう、リアムくん」
僕はまだ実感が湧かないまま、ポツリと返す。
「ケンくん、おめでとうございます!」
ジェシカが満面の笑みで手を叩く。
「けど、呪いが解けてもあんな人とデートするのは許しませんよ!」
「ありがとう、ジェシカちゃん。エルマーくんとデートはしないよ……」
エルマーの顔を思い出して、なんとなく背筋がゾクッとする。
いや、あの人(?)にはもう関わらない方がいい気がする。
「それにしてもすごいよ、ケンくん! 魔法なしで戦うなんて!」
アレックスが感心したように言う。
「ありがとう、アレックスくん。死ぬかと思ったよ」
実際、何度もヤバかった。
煙幕とスタンガンがなかったら、普通に負けてたし。
「でも、魔法なしでアルカナ魔法学校に行くって……大丈夫なのかな?」
アレックスが不安そうに呟いた。
「ケン、アルカナ魔法学校は魔法界の超名門校。今のお前の学力や実力じゃ、強制送還される可能性もある」
リアムが真剣な表情で言う。
「強制送還って……つまり退学みたいな感じ?」
「そうだ」
「……せっかく留学できるのに」
「アルカナ魔法学校は、学生に求める水準が非常に高い。学力だけでなく、戦闘技術、魔法知識、魔法具の応用力など、すべてにおいて一定以上の実力がなければ生き残れない」
「生き残れないって……学校ってそんな物騒なものなの?」
「アルカナ魔法学校の卒業生は、魔法界の政府機関に入る者も多い。その分、競争が激しく、脱落者も少なくない」
「……魔法なしの僕、大ピンチでは?」
リアムは軽く肩をすくめた。
「留学開始まで3カ月ある。しっかりと勉強するぞ」
「うん、頑張るよ……」
(……いや、本当に大丈夫なのか!?)
その夜――
僕はベッドに寝転がりながら、現実を噛みしめていた。
アルカナ魔法学校……魔法界の名門……。
魔法が使えない僕が、そんな学校に入って本当にやっていけるのか!?
「うーん……」
とりあえず、やれることを考えよう。
僕が生き残るための課題
1. 魔法の知識をつける → 魔法理論は必須。
2. 魔法具を扱えるようになる → これが僕の唯一の戦闘手段。
3. 戦闘技術を磨く → 魔法が使えなくても、身体能力と作戦でカバーする。
4. 魔法の代わりに科学を駆使する → さっきみたいに自作の武器を作るのもアリ。
「……うん、やるしかないか」
僕は決意を固めた。
そして、翌日――
「おはよう、ケン」
「おはよう、リアムくん……」
「さっそく勉強を始めるぞ。まずは魔法理論の基礎からだ」
「はい……」
こうして、僕の生存をかけたアルカナ魔法学校への入学準備が始まった――。




