第21話 これが僕の武器だ!
「おーっほっほっほ! どうしたのケンちゃん♪ もう限界かしら?」
エルマーが優雅に笑いながら、杖を振る。
「くっ……!」
僕は息を切らしながら、ボロボロのガイア・シールドを前に出した。
何度も攻撃を受け続けて、もうヒビだらけだ。
バチバチッ……!
空中に雷の魔法陣が展開された。
「まだまだ、いっくわよぉ♪」
「……ちょっと待って……そろそろ手加減とか……」
「おーっほっほ! 何言ってるの? 本気で殺し合ってこそ、愛が芽生えるのよ!」
「だから意味が分からないって……!」
次の瞬間、雷の槍が僕に向かって落ちてきた。
「くそっ! ルーナ・ミラーだ!」
キィィィィン!
鏡のような魔法陣が展開され、雷撃を跳ね返す。
しかし――
バチバチバチッ!
「おーっほっほ! それ、もう慣れちゃったわ♪」
エルマーは軽やかに跳躍し、回避する。
「くっ……!」
このままじゃ、防戦一方だ。
リアムとの戦いのときと同じだ……。
防ぐだけじゃ勝てない。
僕は、ある道具に手を伸ばした。
そう、僕が自作した、魔法具じゃない武器。
二日前――
「魔法じゃない、僕にできる戦い方……」
僕は試験に落ちたあと、自分の部屋で色々と考えていた。
「魔法の世界だからって、魔法だけが武器とは限らない」
僕が得意なのは、科学と工作。
魔法がないなら、科学の力を使えばいいじゃないか!
ということで、僕は自作の煙幕とスタンガンを作ることにした。
・煙幕:
材料は硝酸カリウムと砂糖。砂糖を加熱しながら硝酸カリウムを混ぜることで、白煙を大量に発生させる煙幕が作れる。
・スタンガン:
手に入る金属パーツと電気魔法具のコンデンサーを改造し、電撃ショックを与える小型スタンガンを作成。
これなら、魔力がなくても戦える……!!
現在――
「そろそろ決めるわよ、ケンちゃん♪」
エルマーが杖を構えた。
その瞬間――
パシュッ!
僕はポケットから取り出した煙幕弾を地面に叩きつけた。
モクモクモクモクッ!
「あらぁ? これは……?」
エルマーの視界が白煙に覆われる。
「ふふっ、視界を奪う作戦? でも、甘いわ♪ 魔力を探れば――」
「探れない」
リアムが観客席から呟いた。
「ケンは魔力を持っていない。だから、エルマーは魔力探知で彼を捉えられない」
「えっ……?」
エルマーが驚く間に、僕は静かに地面を蹴り、一気に接近した。
僕の武器は、音を立てずに動ける俊敏な足。
気配を悟られず、一瞬でエルマーの横に回り込む。
「……ッ!?」
エルマーが気づいた時には、もう遅い!
「くらえ!」
僕は自作のスタンガンをエルマーの肩に叩きつけた!
バチバチバチバチバチッ!
「きゃああああああああっ!」
電撃が走り、エルマーの体が痙攣する。
そして――
ドサッ!
エルマーは右膝を地面についた。
「よし!」
僕は思わずガッツポーズをする。
が、エルマーはまだ倒れていない。
「……やるじゃない、ケンちゃん……」
エルマーがフラつきながら立ち上がる。
「……まだ動けるの!?」
僕は慌てて後ずさるが――
「ふふっ、でも、ここまでやるとは思わなかったわ」
エルマーは優雅に笑い、杖を下ろした。
「……降参するわ♪」
「えっ?」
「ケンちゃんの勝ちよ♪」
「……え? え? 本当に?」
僕がキョトンとしていると、エルマーはウインクして言った。
「だってぇ~、約束したじゃない? 勝負に勝ったら、留学枠を譲るって♪」
「え、いや、でも、まだ戦えるんじゃ……?」
「もういいのよ♪ アタシ、十分楽しめたから♪」
エルマーは軽やかにターンし、スカートの裾をひるがえす(ローブだけど)。
「だから、ケンちゃん。呪いが解けたら、お礼にデートしてよね!」
「えっ……!?」
「おーっほっほっほ! じゃあね♪」
そう言って、エルマーは颯爽と去っていった。
……えっ? これでいいの!?
リアム、アレックス、ジェシカが、微妙な顔で僕を見つめている。
「え……僕、アルカナ魔法学校に行けるの?」
「……まぁ、そういうことになるな」
リアムが頷いた。
「いや、なんか、いいの!?」
僕の叫びが競技場に響いた。




