第17話 二次試験、まさかの対戦相手!
タイムリミットまで、あと260日――。
翌朝。
試験結果通知が寮の部屋に届いた。
「……怖い、見たくない」
封筒を握りしめたまま、僕はベッドの上でゴロゴロ転がる。
「ケン、早く開けろ」
リアムが腕を組んで立っている。
「でも、もし落ちてたら……」
「呪いが解けずに死ぬだけだ」
「うわあああああ!」
泣きそうになりながら、僕は勢いよく封を破った。
『一次試験合格者:受験番号27番 ケンタロ・ヤマダ』
「……受かってた……!」
「当然だろう。あの程度の筆記試験、落ちる方が難しい」
「リアムくんの基準、高すぎるよ……」
とにかく、僕は一次試験を突破した。
だが、これで終わりじゃない。
次は二次試験、対人戦。
合格者は試験通知と一緒に渡された地図を頼りに、二次試験の会場へ向かう。
試験会場は、学内でも特に広い訓練場に設けられていた。
魔法学校らしく、円形闘技場のような造りになっていて、すり鉢状の観客席には試験官や他の受験者が座っている。
中央には試験の説明をする試験官が立っていた。
「これより、二次試験『対人戦』を開始する。各受験者には対戦相手がランダムで割り当てられ、魔法による実戦形式の戦闘を行う」
うん、知ってた。
知ってたけど、こうして改めて言われると、めちゃくちゃ緊張してくる……!
「なお、試験では命を奪う魔法の使用は禁止する。相手を戦闘不能にするか、降参させた者が勝利となる」
「戦闘不能って……つまり、普通に痛い思いするってことだよね……?」
僕は小さく呟いた。
「当たり前だろう。魔法戦は甘くない」
リアムが冷静に言い放つ。
試験官は続けた。
「では、受験番号ごとに対戦相手を発表する!」
ザワッ……!
受験者たちの緊張が一気に高まる。
僕は祈るような気持ちで自分の名前が呼ばれるのを待った。
そして――
「受験番号27番、ケンタロ・ヤマダ! 対戦相手は――受験番号3番、リアム・アルバレス!」
「……」
「……」
「リアムくん!? いやいやいや、どう考えても不公平でしょ!」
僕は全力で抗議した。
「リアムくん、学年トップだよ!? こんなの普通に考えて勝ち目ないよね!?」
「そんなことを言われても、対戦相手はランダムだからな」
リアムはまったく動じていない。
むしろ、いつもよりちょっと楽しそうなのが怖い。
「ほら、さっさと準備しろ」
「鬼だ……」
僕は叫びながらも、しぶしぶ闘技場へと歩く。
「では、二人とも位置につけ!」
試験官の号令で、僕とリアムは闘技場の中央に立つ。
「試合開始の合図と同時に戦闘を始めろ」
リアムが杖を握りながら、冷静に僕を見つめる。
一方の僕は、手のひらサイズの魔法具「ガイア・シールド」を握りしめ、すでに逃げることしか考えていなかった。
「準備はいいか?」
試験官が僕たちを見回す。
僕は心の中で叫ぶ。
(全然よくない!)
「試合開始!」
カァァァン!
鐘の音が鳴り響き、地獄のような対人戦が幕を開けた――!




