第14話 僕は魔法具を使いこなすぞ!
タイムリミットまで、あと343日――。
「このテスラコイルみたいなやつ、使ってみたいんだけど」
「フルミナス・コルヌか。良い選択だな」
リアムが頷き、魔法具の一つを指差す。
「留学試験の一次は筆記だが、二次試験は対人戦だ。お前が使えそうな攻撃用の魔法具を探しておかないとな」
「うん、練習に付き合ってくれてありがとう、リアムくん」
今日はついに、学内の魔法具実験室で魔法具を実際に試してみることになった。
リアムが立ち会ってくれるのは心強い。この部屋の床や壁には強力な防御魔法が施されているため、思う存分に練習できるらしい。
「じゃあ、フルミナス・コルヌの一番上にある球の部分を押してみろ。ゆっくりな」
「こうかな?」
リアムに言われた通り、球の部分を押してみた。
次の瞬間、フルミナス・コルヌが青白く光り始め、空気がピリピリと震えた。
頂上の球体から稲妻が奔る。
バチバチバチッ――!!
目の前の空間に雷の渦が巻き起こり、中心から人影が浮かび上がる。
まるで雷雲から生まれたかのように、閃光に包まれたその存在は、ゆっくりと姿を明らかにした。
「ケン、これが雷の魔法精霊だ――」
リアムが説明しようとしたその瞬間――
ドゴォンッ!!!
雷の魔法精霊がいきなりリアムに向かって激しい雷撃を放った。
バシュウウウ!!
しかし、リアムは一瞬の動作で杖を振り、放たれた雷撃を跳ね返す。
「……へぇ、なかなかやるじゃないか」
全く動じていない。さすが学年トップの実力者。
「ケン、こいつは使えるぞ!」
いや、まだ何も使えてないけど……
その次の瞬間――
雷の魔法精霊が、僕の方を向いた。
……いや、まさか。
「ちょっ、待っ――」
ズバァァァン!
青白い稲妻が僕の体を直撃した。
「ぎゃああああああ!」
全身に激痛が走り、完全に動けなくなる。
「ケン!」
リアムの声が聞こえるが、意識が遠のいていく……。
「……これ以上は危険だな」
リアムが冷静に杖を振ると、強烈な魔力の波動が走る。
ゴォォォッ!
雷の魔法精霊は、一瞬のうちに光の粒子へと霧散した。
僕は地面に崩れ落ち、煙を上げながらリアムを見上げる。
「……ケン……雷の魔法精霊は召喚できても、魔力がないせいでコントロールができないようだな」
「……自滅……」
そう呟くと、僕の意識は完全にブラックアウトした。




