第11話 僕は世界に羽ばたくぞ!
「ケン、ハートに火を燃やすんだ! 呪いなんてすぐに解ける!」
編入試験で同じチームだった暑苦しいマシュー。相変わらず暑苦しい。
「愛があれば大丈夫です! 呪われていても私は構いませんよ! 浮気したらナイフで刺しますけどね!」
ジェシカは相変わらず笑顔で恐ろしいことを言う。
「モテる代わりに魔法が使えねえのは困るなあ! あー、けど、羨ましい!」
ジャックはとにかく女の子が好きらしい。
「それにしても、どうやったら呪いが解けるんだろうね?」
アレックスが一番まともかもしれない。
「呪いをかけてきた奴の居場所について、何か手掛かりはないのか?」
高身長イケメン美男子のリアムも頼りになる。
「皆、ありがとう。そういえば、魔法力を理解するのに必死で、闇の魔法使いの居場所なんて考えたことも無かったや」
「魔法力?」
「うん。この世界にきてすぐに図書館で魔法について勉強したんだけど、魔法力が何か全然理解できなかったんだよね」
「魔法力は、熱や電磁波のようなエネルギーで、ようは魔法の発動に必要な基礎的な力だ。魔法を使うときは、魔法力を消費することで、その力が熱や光、運動エネルギーとして変換される」
「おお……さすが学年トップのリアムくん。魔法力ってやっぱり僕の宇宙には存在しないエネルギーみたいだね」
「そんなことはどうでもいい。ケン、闇の魔法使いの居場所がわからないのなら、お前はこのまま確実に死ぬ」
「はい……」
「そこでだ、俺から提案がある」
「提案?」
「俺も受ける予定だが、留学試験にチャレンジしてみないか?」
「留学?」
「そうだ。魔法界で最も歴史のある名門校、アルカナ魔法学校への留学試験だ」
「そんなのがあるの?」
「ああ。アルカナ魔法学校はこの世界で最も優秀な魔法使いたちが集まる学校。仮にお前が闇の魔法使いの居場所を突き止められなかったとして、その呪いを解くための代わりの方法がアルカナ魔法学校へ行けばわかるかもしれない」
「なるほど……」
「クーレシタ魔法学校からアルカナ魔法学校への留学生枠は二名のみ。俺とケンの二人で目指してみよう」
「二名だけって……リアムくんが合格して僕が不合格になる可能性大なんじゃ……」
「試験までは3カ月ある。大丈夫だ」
「うん、わかった」
「ケンくんが留学に行ってしまうと寂しいですが、応援してますからね!」
「ありがとう、ジェシカちゃん」
「俺も勉強教えてやるよー!」
「ありがとう、ジャックくん」
「僕も魔法薬学なら得意だよ!」
「ありがとう、アレックスくん」
「ハートを燃やしてやる!」
「それはちょっと怖いかな」
こうして、僕はアルカナ魔法学校への留学試験に挑戦することになった。




