第10話 オオカミが仲間になった!
「ケンくん、僕が勉強教えてあげるから、頑張りなよ」
「勉強なんかしなくたって、私がカンニングさせてあげますからね!」
「お前魔法が使えないとかやべえじゃん! 学校やめたら?」
クラスメイトのアレックス、ジェシカ、ジャック。なんだかんだ皆と仲良くなれた。
「皆、ありがとう。呪いを解くために頑張るよ――」
「おい!」
遠くから声が……
うわあ、ジャックと違って本物のイケメン美男子に声をかけられた!
身長高っ!
「な、何でしょうか?」
「お前、うちの可愛い妹たちが世話になったらしいな」
「妹たち?」
「アメリアとミアだ」
「……!」
先週レストランで僕に声をかけてきた姉妹のことか!
えっ
彼女たちのお兄様!?
「あ、あれは、なんか話しかけられて――」
「ふざけるな! 俺の妹たちに……よくも……! 今すぐに勝負しろ!」
「ケン、やめとけ! あいつは学年トップのリアムだ! 学年最下位のケンが戦っても勝てる相手じゃない!」
ジャックが必死にこの喧嘩を止めようとしてくれている。
フフフッ
僕には色んな人たちから譲ってもらった魔法道具が沢山ある。
きっと大丈夫……
「勝負ってなにするの?」
「おい、ケン! やめとけって!」
「そこの中庭で決闘だ」
「いいよ」
「ケンくん、やめたほうがいいよ!」
アレックスも心配そうにしている。
けれど、僕にもやればできるって自信がほしい。
この勝負、逃げるわけにはいかない!
こうして、みんなで中庭へと移動した。
アレックス、ジェシカ、ジャックが見守る中、リアムと僕の男同士の決闘が始まった。
「行くぞ」
リアムは杖を構え、僕に攻撃しようとしている。
フフフッ
こんな時こそ四次元ポーチの出番!
今日の道具は宇宙最強クラスの耐熱性を持つ炭化タンタルハフニウム(Ta4HfC5)で作られた盾だ!
まさかこんなお宝をゲットして、こんなすぐに使うタイミングが来るとは……なんてラッキーなんだ!
「エレクトラ・イグニス!」
「ぎゃああああああ!」
リアムの雷攻撃は、身体全身に一瞬で伝わり、僕は倒れ、動けなくなってしまった。
「Ta4HfC5が……」
「もう終わりか?」
「もう動けません」
「つまらんな。それよりお前、その邪悪なオーラは呪いか?」
「はい、そうみたいです」
リアムは僕の身体に向かって両手をかざした。
「あの、もう本当に動けません」
「だまれ。お前のこの呪い……恋愛体質の呪いだな」
「へ?」
「恋愛体質の呪いだ。恋愛が生活の一部になってしまう呪いだ。必ずしもモテるというわけではないが……俺の妹もその影響を受けたのだろう」
「なるほど。そういうことだったんですね。教えていただきありがとうございます」
「呪いを解くのに協力してやろう」
「へ?」
「勘違いするな。俺の妹たちを守るためだ」
「あ、ありがとうございます」
きび団子無しで、今度はイケメン美男子のオオカミが仲間になった!




