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第9話「風紀委員VS邪神」

風紀委員と邪神がバチバチやっとるのじゃ。



 廊下を歩いて教室に戻っておると、ちょっとした騒ぎになっとるのじゃ。

「ガァさん、制服を崩すのを止めなさい!」

 どうやら風紀委員のようじゃった。ガァが咎められとるのじゃ。

「何よこのくらい。いいじゃない、別に。ねぇ? ニャル先輩」

「風紀委員如きが私たちの着こなしに文句言わないでくれない? ヌキもそう思うよね?」

「アハハ! そういうことよ、通してくれる?」


 鳥依ガァと猫依ニャル先輩と狸依ヌキ先輩が、風紀委員の制止を押し退けて無理矢理通ろうとするのじゃが、風紀委員の三人はあくまで通さないのじゃ。

「ふぅん……ならさ」

 三人の神は神力を使おうとしたのじゃ。それをワシが止めるのじゃ。


「やめるんじゃ! お主らが悪いのじゃから正さんかのう?」

 コーンコンとワシは頭を叩くのじゃ。赤い狐が走っていくのじゃ。

「ふん、面倒ね。ここは一旦言う通りにしましょう。『一旦』ね」


 制服を正した三人の神は去っていくのじゃった。ワシは風紀委員の三人の名前を聞くのじゃ。

「ニアです、ありがとうございます、コン君」

「エルナです、よかった。ありがとう、コン君」

「サーミです、助かりました、コン君」


 ワシは三人の肩を叩き、別れるのじゃ。六時限目の授業は物理の授業じゃった。

 先生の雷依(らいい)インドラ先生は様々なことを教えてくれるのじゃ。エネルギー保存の法則などはワシも知っとったのじゃが、魔法学においても適用されることは初めて知ったのじゃ。


 魔法の物理法則などをインドラ先生は熱く語ってくれるのじゃ。

 そしてワシらの使う神力もまた、腹の底から渦巻くように生まれる力のようじゃ。

「丹田を込めろとはよく言ったものだ」

 インドラ先生は語るのじゃ。腹に力を込めてパンチを打つのじゃな。


 物理法則を知っていれば強くもなれるというインドラ先生に質問するのじゃ。

「神力を強くするためにはどうしたらいいのかのう?」

「増量の話か? それは学園長でもある神依ゴッド先生に聞くといいだろう」


 六時限目が終わって学園長室に向かうワシじゃ。ルナがついてきておるのじゃ。

「失礼しますじゃ」

「何だいコン君、もう音を上げたのかい?」

「違うのじゃ、神力を強くするための方法を聞きに来たのじゃ」


 するとゴッド先生は笑ったのじゃ。

「それは君の師に聞くべきことじゃないのかな?」

 ワシはハッとしたのじゃ。確かにその通りじゃ。ワシは礼を言って学園長室を出たのじゃ。

 そしてボクシング部に行ってゴウ先生に言ったのじゃ。


「ワシを強くして欲しいのじゃ」

「随分回り道になるが構わんな?」

 ワシは頷いたのじゃ。ワシの瞳に宿る闘志を読み取ったゴウ先生は言ったのじゃ。

「そこに姿勢を正して一時間、座禅を組め」


 ワシは意味も聞かず言う通りにしたのじゃ。

「ハハハ! 素直なやつだな。嫌いじゃないぞ、お前さんみたいなやつはな」

 そうして座禅を組むワシの腹を軽く叩くゴウ先生じゃ。

「腹に力を込めろ。腹の中心からの力を意識しろ」


 ワシは必死で腹に力を込め続けたのじゃ。ずっとは無理じゃった。腹に力を込めるのは休憩を挟み、一時間座禅を組んだのじゃった。

「それを毎日、寮でしてこい。部活動では違うことをしてもらう」

 つまり自主トレじゃな。ワシは了承して、次のことに挑むのじゃ。


「これからするのは動きをよくするための特訓だ」

 ある機械のところまで連れていかれるのじゃ。

それは走る反復横跳び機械じゃった。

「下半身を鍛えるのに、斜めに反復横跳びしながら走ってもらう。どうする? やるか?」

「当然じゃ!」


 ワシは反復横跳びしながら走るのじゃ。この魔道具は中々きついのじゃが、かなり鍛えられそうじゃ。

 ゴウ先生がどんどん速くしていくのじゃ。わしは何とか食らいつくのじゃった。

「よしいいぞ! 次は上半身だ」


 それは振り子の機械じゃった。玉が四方八方に揺れておるのじゃ。

「これを上半身だけで避けろ。一発も当たってはダメだ」

 ワシは足を固定されるのじゃ。上半身の動きで振り子の玉を避け続けるのじゃが、なかなか大変なのじゃ。


 何故なら速度もそれぞれ変わるからじゃ。規則性があったらまだ楽じゃろうが、不規則に飛んでくる玉を避け続けなければいけなかったのじゃ。

 ワシは何とか上半身を上手く使い避け続けたのじゃ。するとゴウ先生が拍手をしてくれたのじゃ。


「初めてにしては中々やるな」

 褒められて嬉しいワシじゃが、ペシとワシの胸を叩くゴウ先生じゃ。

「思い上がるな。まだまだ初級。これで満足するようなら一生入部は不可能だぞ」


 そう、ここは仮入部用の部室じゃ。今は誰もおらんのじゃ。ワシだけが仮入部じゃからのう。

 仮入部用の部室があるなんて贅沢な話じゃがとにかく人数の多いこの学園だからこその処置のようじゃ。


 ボクシング部は興行収入も多いそうなのじゃ。じゃから部費も沢山あるそうじゃ。色んな機械で鍛えられるようになっとるようじゃ。

「とにかく神力量を増やして、筋肉もつけろ。この世界では神は筋力掛ける神力で強さが決まる。

 お前さんはまだ初級の体作りしかできていない。それを何とかするところだな」


 一応ワシ、昨日筋トレ始めたんじゃが意味はあったようじゃな。

「筋肉は神をも超える。しっかり鍛えろよ」

 再びペシとワシの胸を叩くゴウ先生じゃ。

「ありがとうございましたなのじゃ!」

 ワシは礼を言って、ルナと共に部室を出たのじゃ。


「辞めたくならないんですね」

「むしろやる気が起きておるわい」

 どうやらまだルナは反対しとるようじゃ。

「コン君はもっと平和的な人だと思ってました」

「そうじゃぞ? じゃが、いざと言う時、女も守れん男で在りたくないのじゃ。ワシはルナも守りたいのじゃ」


「え……?」

 ルナは固まるのじゃ。そして呟くのじゃ。

「守るための力……」

 ワシは静かに夜空を見上げるのじゃ。力が……本当に必要な時になかったら、後悔するかもしれんじゃろう?

力はただの暴力ではないのじゃよ。暴力から守る力もまた、必要なものなのじゃ。

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