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第4話「魔族との交流」

ウェアと仲良くなりたいのじゃ!



 ワシもある程度この学園に慣れてきたのじゃった。運動場で運動しておる時に無理な体勢を取ったため軽い怪我をしたワシを、保健委員の子が保健室に連れてきてくれた時じゃった。

「ここです、コン君。あ、先客がいるみたいですね」


 そこには褐色肌の金髪美人がおったのじゃ。

「あの、私はこれで……」

 そそくさと去っていく保健委員の子じゃ。何かあるのかのう?

「入っていいにゃあよ」

 保健室の先生、猫依(ねこい)バステト先生がワシに声をかけるのじゃ。


「あの、その子はどうしたのじゃ?」

「ああ、喧嘩にゃあよ。いつもの事にゃあ」

「あいつらが魔族を馬鹿にするから、とっちめただけです」

 魔族かのう? 肌も他の人と違うのじゃ。


「魔族を見るのは初めて? どう思う?」

「綺麗じゃと思うわい」

 ポカンとした魔族の女の人は急に笑いだしたのじゃ。

「他には?」


「きっと本当は優しい人なのじゃ。魔族のために怒れる人なのじゃからのう」

「あなたも優しいのね。人種は関係ないのかしら?」

「関係ないのう」

 この言葉にバステト先生も嬉しそうにワシの手当をするのじゃ。


「あなたみたいな人に出会えてよかった。また話しましょう」

「ワシは狐依コンじゃ。名前を聞かせておくれ」

「ウェアよ」

「また会おうなのじゃ、ウェア先輩よのう」


 そうしてウェアは保健室を出て行ったのじゃった。ワシはバステト先生に彼女の事を聞くのじゃ。

「保健室によく来るのかのう?」

「女子バレー部に所属しているんだけど、魔族だからエースでにゃあ。それを快く思わない人とよく喧嘩するんにゃあ」


 なるほどのう。ちなみに喧嘩して退部とかにならんのかのう?

「退部になったりかにゃあ? そういうのはこの学園にはないにゃあ。むしろ力づくでエースになる人もおるにゃあ」

 それはどうなんじゃろうのう? 信頼を得られんのではないかのう?


「にゃはは、不思議な顔をしているにゃあ? まず運動部は力が絶対なのにゃあ。不意打ちに負ける程度ならそこまでという事にゃあ」

 人数はおるらしいから、補充はいくらでも利くらしいのじゃ。


「そういえばどこと競っとるのじゃ? 学園はここしかないのじゃろう?」

「この学園内で順位があるのにゃあ。大きな大会が年に二回、夏と冬にあったりするにゃあ」

「神も運動部に入っていいのかのう?」

「当然にゃあ」


 ここで治療が終わったので話も終わったのじゃ。

「後のことは色んな人に聞いてみるといいにゃあ。じゃあ戻るといいにゃあ」

 ワシが保健室を出ると丁度ルナが走ってきたのじゃ。


「大丈夫でしたか? 怪我は?」

「軽い怪我じゃよ。大丈夫じゃ。それにこの学園のある世界では死ぬことはないのじゃろう? ならば何も問題ないじゃろう」

「大アリです! 怪我は痛いんです! 神様と言えど、この世界では怪我をします。気をつけてくださいね」


 ぐいと顔を近づけてくるルナじゃ。近いのじゃ! 可愛い顔が目の前にあってワシは見る見るうちに顔が赤くなっていくのが自分でもわかったのじゃ。

「顔赤いですよ? どうしたんですか? まさか! 熱があるんじゃ……」


「大丈夫じゃ大丈夫じゃ! それより何故ここにおるのじゃ?」

「時間見てないんですか? 休憩時間ですよ」

 ワシは時計を見ておらんかったので分からんかったのじゃ。


「そういえば腕時計型魔道具はまだ貰っていませんでしたよね。学園長室に寄っていきましょうか」

 そうして学園長室に寄ると、補佐の魔依エッセンス先生がおったのじゃ。

「ん? なんだい、君たちは」


「すいません、コン君の腕時計型魔道具を貰いたくて来たんですけど」

「ああ、それなら出来てるよ。ほら、どうぞ」

 エッセンス先生は開発部門部長でもあるので魔道具に関しては一番のようじゃ。


「使い方を教えよう」

「大丈夫です。私が教えます」

 ルナがズイと体を割り込ませるのじゃ。ワシは腕に着けた魔道具を起動させると時計とアプリを確認したのじゃ。


「私の連絡先を入れておきますね。これでいつでも私と連絡できますから、何かあったら連絡してくださいね」

 そうして自分の連絡先を入れていくルナじゃ。

「ふふふ、私が一番ですからね」

 顔をより一層近づけて笑顔になるのじゃ。


 近すぎて可愛すぎてまた顔が赤くなりそうになるので、振り払い教室に戻ろうと言うのじゃ。

「まず体操服から制服に着替えてくださいね」

 忘れておったわい。ワシは男子更衣室に向かったのじゃった。


 すると蹲っておる青い天然パーマの髪の男子がおるのじゃ。ワシは着替える前に頭をポンポンと叩いてあげて「コーンコン」と言ったのじゃ。青色の狐が出てきた後、励ますのじゃ。

「何があったかは知らんがのう。元気を出すのじゃぞ」


 男の子は顔を上げてワシを見るのじゃ。魔犬がおったから魔王のようじゃ。

「僕いつも独りなんです」

 その言葉を聞いてワシは、腕時計型魔道具を見せて言うのじゃ。

「お主の連絡先と名前を教えておくれ、ワシが話し相手になってやろう」


「本当に?」

 ワシが頷くと涙に濡れた頬を拭い、連絡先と名前を教えてくれたのじゃ。

「ジーザス君か、体操服の胸の部分が緑じゃから中等部じゃな?」

 頷く彼の頭を撫でてやり、ワシは制服に着替えて教室に戻ったのじゃった。

ジーザスと連絡先を交換したのじゃ!

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