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第19話「グーシャとデート」

寝坊じゃ!



 ジーナとデートした翌日じゃ。ワシは叩かれる感触を感じて布団を被ったのじゃ。

「コン君、コン君ー! あたしの事忘れてない?」

 うーん、むにゃむにゃじゃ。覚えておるぞい。昨日メール送ったじゃろう。

 九時に起こしに来るようにとのう。


「どうしたらいいんだろう? もう一時間は過ぎてるんだけど……」

 ガバッと起き上がったワシじゃ。もう十時じゃ!

「何故起こさんのじゃ!」

 ワシはグーシャに八つ当たりしたのじゃ。

「だって気持ち良さそうに寝てるから」


 今日の予定は何じゃったかのう? ワシは着替えながら思い出すのじゃ。スポーツ観戦じゃったな!

「でもワシとのデートでスポーツ観戦でよいのかのう? もっと別の……」

「あたしが観たいの! 早く行こー!」


 ワシらは学園長室に急ぐのじゃ。

「予約? 取り消しましたよ。遅刻したあなた達が悪いです。試合はもう始まってて会場はいっぱいで入る余地ありませんよ?」

 驚きでバック落としたグーシャじゃ。すまんのじゃ……ワシはグーシャの頭を撫で言うのじゃ。


「ワシのせいじゃから埋め合わせをしたいのじゃ。ワシのしたい事に付き合ってくれんかのう?」

「……うん、わかった」

 明らかに落ち込んどるグーシャを連れて映画館に飛ばしてもらうのじゃ。


「映画かぁ、バスケ映画を……」

「これを観るぞい!」

 それは恋愛映画じゃった。グーシャはうーんといった様子じゃ。

「恋愛映画観たことないけど、面白いの? どうせフィクションでしょ?」

「それは大抵の映画にも言えることじゃろう?」


 ワシらは席に座ってスクリーンを観るのじゃ。映画が始まり、退屈そうにしていたグーシャじゃったが次第にのめり込んでいったのじゃ。

 終わった頃には幸せそうな顔をしておったわい。

「よかったじゃろ? ワシのチョイス」

「うん! あんな恋をしてみたいなぁ?」

 チラリと見てくるグーシャの手を繋ぎ絡めるのじゃ。


「わわっ」

「恋人繋ぎじゃ。こういうのもいいじゃろ?」

 ギュッと握るワシじゃ。照れて歩くグーシャをパシャリと写真に撮るのじゃ。

「ふんふ〜ん!」

 ご機嫌で気付かんグーシャじゃった。


 映画館から外に出て食事をした後、何をしようか考えとった時じゃった。

「やっぱり観たかったな……バスケの試合」

 そうじゃよのう〜……本当に申し訳ないのじゃ。ワシはグーシャを抱きしめ言ったのじゃ。

「場所を変えようなのじゃ」

 ワールド様にメッセージを送り場所を変えてもらったのじゃ。


 そこは体育館じゃった。ワシらは着替えて中に入ったのじゃ。中ではバスケで遊ぶ子らがおるのじゃ。

「皆の者、聞いておくれ! ワシらも混ぜて欲しいのじゃ!」

 グーシャはこちらを見て楽しそうに笑ったのじゃ。


 子供たちとはしゃぐ彼女は可愛いのじゃ。きっとグーシャは子供大好きな母親になりそうじゃ。子沢山の家庭を築きそうじゃな。

 ワシらは沢山遊んで帰ったのじゃった。

「次の試合頑張れよのう」

 ワシはグーシャに必勝祈願の御守り渡したのじゃった。


「ありがとう、コン君! なんだかんだで今日楽しかった! ちょっと耳貸して?」

 ワシが顔を近づけると頬にキスをしてくるグーシャじゃ。

「やっぱり映画より……本物だよ、コン君!」

 またキスされてしまったわい。まったくもうじゃ!


 翌日から授業が始まりワシは勉強に勤しむのじゃ。そして、部活動の時間帯じゃ。

 バスケ部の昇級試合が行われるのじゃ。グーシャは選手として優秀なので期待されておるのじゃ。


 じゃがそれは魔王としてじゃった。人より上の身体能力を買われてなのじゃ。チームは『人』だらけじゃ。対して相手は……のう。

「狸依ヌキ先輩。ドリブルで抜くのが得意な選手です。勿論シュート力もあります。何より……神です」


 隣にいるルナ曰く、狸依ヌキ先輩のチームは神がヌキ先輩のみの『人』チームじゃ。アクトというポイントガードも厄介のようじゃ。

 じゃから神だけで組んどるチームよりは下じゃが、確実にグーシャより格上のチームじゃ。

 グーシャが魔王じゃから挑めるのじゃ。


 試合が始まるとヌキ先輩はどんどんドリブルで抜いていき前線をあげ、レイアップシュートでいきなり得点してしまうのじゃ。

 どうやらアクトが司令塔のようじゃ。パスとヌキ先輩のドリブル力で得点するのじゃ。


 じゃがグーシャも負けておらんのじゃ。取られては取り返し、チームいちがんとなってシーソーゲームを何とか維持するのじゃ。

 しかしやはり地力が違うのじゃ。ヌキ先輩はスリーポイントシュートを何回も決めたのじゃ。

 湧き上がる会場、手に汗握るワシじゃ。


 頑張れグーシャよ! 何としても追いつけよのう!

 ワシの祈りが届いたのか三点差で食らいつくのじゃ。そしてグーシャがパスカットして反撃じゃ、あと一点差じゃ! じゃが……ワシは時間を見てなかったのじゃ。


 タイムアップの音が鳴り響き試合終了となったのじゃった。皆を励ましておるグーシャの元へ行き、ワシらは労うのじゃ。

「ははは……負けちゃった。でも次があるから!」

 それを聞いてワシはグーシャの頭を軽く叩きコーンコンと言うのじゃ。

「泣いてもいいんじゃよ。ワシの胸でのう」


 赤い狐が逃げていってグーシャはワシの胸に飛び込むのじゃ。

「悔しいよぉぉぉ! 勝ちたかった! あと少しだったのに……」

 号泣するグーシャの頭を撫でてやるワシじゃった。

試合に負けた時、いっぱい泣けばいいのじゃ。悔しさをバネに次じゃ!

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