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第10話「愛の料理」

アカミに感謝じゃ!



 ワシは次の日もルナに起こしてもらいギリギリセーフで間に合うのじゃ。そしてアカミが用意してくれた朝ごはん弁当をがっつくのじゃ。

 いつもいつも美味しい弁当作ってくれることを感謝したいのじゃ。

 授業を終えて昼休みじゃ。


 今日は昼は食堂に行き皆と会話するのじゃ。

「コン先輩!」

 ジーナがアカミの作ったお弁当を持って駆け寄ってくるのじゃ。

「なんだか久しぶりな気がします」

 ワシは笑って頭を撫でてやると照れるのじゃ。テーブルにはグーシャとテンカとジーザスがついておって、手招きしておるのじゃ。


「ん? アカミちゃんはまだかのう?」

「アカミちゃんは教室でお弁当食べて図書室へ行くそうだよ。メッセージ見てないの?」

 そういえばしっかり見てなかったわい。ワシは腕時計型魔道具を使用しメッセージを見るのじゃ。


 料理の勉強のために図書室で資料を探してくるとあるわい。お礼を言いたかったんじゃがのう。

 ワシは皆と談笑しながらもアカミの事が気になったので、お弁当を食べ終えてから図書室に向かうことにしたのじゃ。


 図書室に行くとアカミを見つけることができたのじゃった。

「コン先輩?」

 アカミはワシに気づいてこちらに来るのじゃ。

「どうしたんですか?」

「お主にお礼を言いたくてのう」


 ワシはいつも皆の弁当を作ってくれてることに礼を言ったのじゃ。するとアカミは首を横に振るのじゃ。

「ウチの練習にもなるし、皆の感想が糧になるからいいの。ウチがやりたいだけだから」


 そんなアカミの頭を撫でてやるのじゃ。すると照れながらアカミは言うのじゃ。

「誰にでもそんなことしてたら勘違いされますよ? ルナ先輩が悲しみますよ」

 それを聞いてワシは笑ったのじゃ。


「ルナの気持ちはわからんし、ワシとルナはまだそういう関係ではないからのう。それにのう……」

 ワシはアカミの耳元まで近づいて囁くのじゃ。

「」

 ボソボソとワシはアカミにしか聞こえんように話すのじゃ。これはワシとアカミの秘密じゃ。


 アカミは耳まで真っ赤にして俯くのじゃ。ワシはもう一度アカミの頭を撫でてやるのじゃ。

「もう……どうなっても知りませんよ? コン先輩」

 アカミは照れながらもワシの制服の裾を掴んで握るのじゃ。


 チャイムが鳴ったので、ワシとアカミはそれぞれの教室に向かうのじゃった。

 教室の前にルナが立っとるのじゃ。そしてため息をついて言うのじゃ。

「まさか、何かしたんですか?」

「何もしとらんがのう?」


 ワシはある事を囁いただけで、照れたアカミがワシの裾を握っただけじゃ。

「そうそう、ルナよ。明日から意地でもワシを三十分早く起こして、アカミの弁当を部屋で食べさせておくれよのう!」


 そう言って教室に入っていくワシの後ろからついて来るルナじゃった。

 放課後ボクシング部の仮部室に行くと、ゴウ先生が待っとって、早速特訓が始まったのじゃ。

「今日は拳の打ち方を教えてやろう」


 全身運動であると言ったゴウ先生は、サンドバッグにジャブするのじゃ。

「重いパンチはな。全身の力を伝えてパンチを繰り出すんだ。そして当たる瞬間にできる限りの力を込める」


 ゴウ先生は次の瞬間思いっきりサンドバッグにパンチしたのじゃ。神力は使っておらんようじゃったがサンドバッグは吹き飛んでいったのじゃ。

 別のサンドバッグを用意したゴウ先生はワシにやって見せろと言うのじゃ。


 パンババンとジャブしながら、ワシは足、腰、背中、肩に力を加え腕を真っ直ぐパンチを繰り出したのじゃ。

 サンドバッグは強く揺れたのじゃが吹き飛ばんかったわい。

「なかなか筋はいいぞ。もっと力の流れを意識して打ち続けてみろ」


 ジャブで叩きながら自分のタイミングで重いパンチを出す練習をするのじゃ。

「ジャブも意識しろ。当てる瞬間にギュッと力を込めるんだ」

 指導を受けながら、ワシはジャブと重いパンチをマスターしていったのじゃった。


「技術なんて結局コツを掴んだ者が得ていくものだ。あとは繰り返し自分の型を探せ」

 そうして今日の稽古を終えたのじゃった。ワシは部活動にはもう、一人で来ておったので、ルナに終わったことを連絡するのじゃ。


 ルナも茶道部が終わったそうなので、早速食堂に向かうのじゃ。皆集まっとったわい。

 今日も嵐の料理人トルネイドさんの夕食は美味しいのじゃ。

 アカミはトルネイドさんから色々レシピを教わっとるらしいのじゃ。


 今日あったことを話しながら過ごす日々は楽しかったのじゃが、徐々に変わっていくことをワシは知っとったのじゃ。

 折角学園生活を送っておるのじゃから、恋模様も楽しまねばのう。


 ワシは翌日の朝眠い目を擦りながらルナの往復ビンタで目を覚ましたのじゃ。そして渡された、いつもと違う弁当を眺めながら、ふふふと笑ったのじゃった。

 もう間に合うからとルナに先に行ってもらって、お弁当を開けるのじゃ。


 それは愛のあるハートのお弁当じゃった。恋人になったわけではないのじゃ。ただ……恋人ができた時用にワシで練習してみよと言うただけじゃ。

 愛のある弁当がこの世界で一番美味い料理じゃからのう。

アカミの愛のある弁当じゃ!

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