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夏の濡れ髪が好きだった

作者: 水泡歌

夜風が涼しい夏の夜。

風呂上がりの濡れ髪姿でベランダに出る。

胸元まで伸びた髪。

あの頃の私の髪は首元にあった。

左隣。

あなたが隣にいる夏の濡れ髪が好きだった。 

手すりに寄りかかり目を瞑る。

遠くで聞こえる電車の音。

どこかで夏祭りでもあったのだろうか。

楽しげな笑い声と一緒に水風船をはじく音がする。

ああ、そうよ。

重たい髪の毛をあなたの指先がいじる。

その時間が好きだったのよ。

風が吹き、私の髪が少し乾く。

この心地よさをあなたと分かち合いたかった。

触れてくれる人がいないから自分で触れるのよ。

夏の濡れ髪。

夏の濡れ髪はここにあるのにあなたはいない。

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― 新着の感想 ―
[一言] せつないですね……(´・ω・`) 何故あなたと別離を迎えてしまったのでしょうか。 色々と想像を巡らせてしまいます。 『夏の髪』ではなく、『夏の濡れ髪』というところがまた雰囲気があっていいなぁ…
[良い点] ふとした日常の情景から、当たり前のように隣にいた人を思い出す…… 濡れた髪の感触やひんやりした温度だけでなく、そこに夏祭りの音のという耳の感覚もあって…… 感覚から、よりはっきりと思い出す…
[良い点] この心地よさを分かち合いたかったあなたは、今はいない。 視点人物達の間に何があったのか、考えさせられますね。 何とも切ない読後感が印象的です。
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