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26 食事パーリィ

体調を崩してたのと、本業の塾講が忙しく、更新が滞ってました。お待ちしてくれた読者さんはすみません汗。

再び現代、ペトリカーナの部屋です。

 ペトリカーナの部屋には主人であるペトリカーナ以外に、ロズカ、そして護衛としていつもそばにいるラルゴがいた。


 ほんの数秒前までは、そこにもう一人、彼女の弟テオファルドが来客として訪れていた。

 だが、いまさっき悔しそうに鼻息を荒くしながら扉から出ていったところだった。


 テオファルドが部屋に来た目的は一つ、ペトリカーナ派とテオファルド派での協力関係を作らないか、という提案をするためだ。


「バカな子。提案をするならもう少し旨みのある話を持ってきなさいよ」


 テオファルドの行った提案は、内容も薄っぺらで、組むメリットもよくわからない物だった。それを自信満々に提示して上手くいくと思っているのだから、もはや滑稽だ。


 側から見れば、火を見るより明らかな結果を突きつけられて、憤って帰っていったというわけだ。


「あれでペトリカーナ様と同じ血が流れているというのだから、信じられませんな〜〜」


 もはや感心したようにラルゴがアゴをかいた。


 ところが、最も嘲笑しそうなペトリカーナはというと、どこか寂しげに笑うだけだった。信じられない光景だと、瞬きをした次の瞬間にはいつもの自信に満ちた顔つきに戻っていた。



 まあ、ロズカの本心からすると、そんなことはどうでもよかった。


 ペトリカーナ陣営が同盟を結ぼうが、テオファルドが頭パッパラパーなこと言っていようが、関係ないのだから。


 ただいまの関心事項は、ロズカが呼び出された理由。テオファルドが間が悪く尋ねてきたことで、話が中断されたのだった。

 思い出したようにペトリカーナがロズカに向きなおる。


「あら、ごめんなさい。待たせてしまったわね。まずは一次試験おめでとう」


 ロズカは軽く頭を下げる。

 

「なかなかに立派な『結界魔法』を使えるそうじゃない。ラルゴが褒めてたわ。同じ『結界魔法』使いとして、結界構築の技術は天才的だと感じたそうよ」

「ええ、なかなかどうしてあれほどの技術。一体どんな師匠に教わったのか知りたいところですな」


 自分の魔法の師匠……謎の居候ホズのことが頭に浮かぶ。

 一体何者なのか……ロズカも知りたいくらいなのだ。


「いっそのこと、暑っ苦しいラルゴをクビにして、ロズカを新しい親衛隊長にしようかしら」

「いやはや、確かに技術は優れてましたが、魔法出力はまだまだ未熟と言わざるを得ませんな。やはり、このラルゴにはまだまだ遠くおよばないということ。それに、私であればペトリカーナ様の賛美歌も歌うことが__


 焦って自分の価値を示そうとするラルゴ。こちらもどうでもいい……。

 そんなことより……。

 

「それで、御用は何です?」


 わざわざロズカを呼び出したのは、労うためなはずはない。

 試験通過者はハグリオやヘルメッセンなど、ロズカ以外にもいる。しかしこの場にいるのはペトリカーナとラルゴを合わせたたったの3人。


 ロズカを焦らして楽しんでいるのか、ペトリカーナは目の前にあったキャンバスに向かって色を塗ることを再開した。絵の天才とも称されるペトリカーナは気まぐれに絵画を描くことがある。


「せっかちね。面白い話を聞いたから、あなたにも聞いておきたかったの」


 絵を描く片手間で世間話でもするように言ってくる。


 しかし、嫌な予感がする。

 面白い話が、ロズカにとっても面白いとは限らない。


「ルナットとあなた、同郷だそうね」


「……」


「しかも同じ学校で学年まで同じ。どうして黙っていたのかしら?」


 バレるのは時間の問題だと思っていた。隠し通すのは初めから無理なのだ。


 嘘が通らないのなら、取り繕う必要はない。

 本心を伝えればいい。


「面倒ごとを頼まれるのが嫌だったから、黙ってた」


 ずっと迷っていた。目的のためにペトリカーナの傘下に入り、一定の戦績を残すこと。ロズカに必要なのは、要領の良さ。ペトリカーナに協力的な姿勢を取るか、あくまで一時的なビジネスパートナーとしてドライな関係を作るべきか。


 ペトリカーナの力はこの場所では強大で、無視することはできない。

 それは、もう一つの勢力の裏の代表であるガウスマンであっても例外ではない。


 試験の前後で参加者らしき人間に、ロズカは何度か話しかけられた。

 まるで客観的にギルファス家の後継者争いの情勢を語る彼らは、最後にはギルファスはペトリカーナかガウスマンのどちらかに傾くが、ペトリカーナはかなり問題を抱えているし危ういのでガウスマンの方がいいと結論づけた。


 つまらないハリボテだ。あんなのは人気操作のためにガウスマンが人を雇って印象操作をさせているのだろう。逆に、ガウスマンがペトリカーナを無視できないと考えていることが伺えた。


 長女ペトリカーナ・リ・ギルファスは、圧倒的存在感を放っている。


 しかし、ロズカは「正確にはペトリカーナの部下ではない」。


 必要なのは " ヘルメッセンの評価 " だ。


「協調性がないと社会に出てから生きていけないわよ、学生さん」


「ルナットを引き込む手伝いはできない」


 後には引けない。引かない。


「ロズカ。君は自分で何を言っているのかわかってるのか__

「なぜ?」


 ラルゴの言葉を遮ってペトリカーナが問いを投げる。


 無論、この選択自体賢い選択ではないのはわかっている。

 わかっているが、それでも……。

 

「アタシが、嫌だから」


「あら、彼がアタシのものになるのは嫌なのかしら?」


「…………」


「意外と乙女ね……ふふ」


 嫌だと感じたのだから、拒否しただけだ。


 背中を向け、扉を開けたロズカを呼び止める声。


「ガウスマンが夜に食事会を開くわ。アタシたちも出席するから、アナタも出なさい。愉快な出し物もあるみたいよ。

 それと……


 言葉を一旦区切って、それから意味ありげに口の端を釣り上げて言った。


「今日からはしばらく背後には気をつけた方がいいわ」


「脅し?」


 ペトリカーナ派でありながら、ペトリカーナの意に沿うように行動しない、というのはもしかしたら想像以上に危険なことだったかもしれない。


 しかし、ペトリカーナは唇に指を当てて、妖しく撫でた。


「いいえ、親切な忠告よ」



◆◆◆



 ロズカが部屋を出て、ペトリカーナと親衛隊隊長ラルゴが残った。


 ペトリカーナは絵筆とパレットを置き、ワイングラスを指の間に挟んで回しながら香りを楽しむ。

 赤色の毒々しくも美しい色をした液体が動きに合わせて形を変える。


 美女は呟いた。



「ルナットと一緒にいた不愉快なメイド。あの女、アウスサーダ家の長女だそうよ」


 整った唇から容易にこぼれ落ちる、爆弾のような情報。

 気まぐれのように濃い色をしたワインをキャンバスにかける。傾けられたワイングラスから滴り落ちる雫は、激性の酸のように見え、キャンバスからこぼれ落ちて床についた瞬間から触れた部分を溶かしていくかのような想像を与えた。


「 そうだったのですか!! 」


 ラルゴは驚きの声をあげる。

 当たり前だ。そもそも、良家のお嬢様がお忍びで来るにはこの選抜という空間はあまりに場違いなのだから。予想できるはずもないし、知ってもなお「何故?」となる状況だ。


 ルナットたちはまだ何も知らない。メイレーンの秘密がペトリカーナに利用された時点で詰んでしまうのだ。ペトリカーナが父である党首ジニアオルガに真実を告げてしまえば、党首は他の御三家の関係者であるルナットたちを選抜から外すのは当たり前のことなのだから。


 ルナットたちの目的の存続は実に今、ペトリカーナ次第となっている。


 ペトリカーナがその気にさえなれば、簡単に追放される立場である。


 しかし、ペトリカーナにはまだ、その気はなかった。今はまだ……。



「ヘルメッセンには、次はあの女の目的を探ってもらうことにしたわ」


 アウスサーダ家は人畜無害で博愛主義の集まりという印象があるだけに、この行動は非常に不気味に感じられた。

 すぐに追い出さず様子を見るのであれば、アウスサーダ側が何を考えているのかを把握しておくのは絶対だろう。


「それでは早速、このことをお館様にご報告しなくては__


 と部屋から出て行こうとするラルゴをペトリカーナが引き止める。


「本当にバカなのね。アンタは黙ってアタシの命令だけ聞いてなさい、グズ」

「……へっ?」


 まさか止められるとは思わなかったようで、虚をつかれたような顔になる大男。


「たとえば、あの女がアウスサーダ家の関係者だとバレれば向こうは動きづらくなるでしょうね。なんの魂胆があるのか知らないけど。でも、相手がアウスサーダ家のお嬢様ってことが公になって、万が一そのまま選抜に居座ることになったら、こっちからも手を出しづらくなるわ」


「それってつまり……」


「アタシたちがすべきなのは、知らないフリをすること。今はまだ……ね。

 切り札っていうのは、切るべき瞬間があるの」


 確かにただのメイドに手を出した、というのと、御三家の一人娘に何かをしたのではことの重大さが全く違ってくる。

 後で、メイレーンの正体が公表されたとしても、身分を偽っていたのはメイレーンの方なのだから、ギルファス家からアウスサーダ家への敵対行動という捉え方をすることができない。誤魔化しが効くと考えているのだろう。


 ペトリカーナは強欲だ。

 彼女はまだ気に入ったおもちゃのルナットを自分のものにすることを諦めていない。


 だからこそ、ルナットがこの場を去らないよう、メイレーンの秘密というカードを切らずに残すことにしたのだ。


「ラルゴ……ルナットのことアンタに任せてるけど、それだってあのメイドがアウスサーダだってはっきりしたら手が打ちづらくなるでしょうが。ちゃんと考えてるんでしょうね?」


 ペトリカーナはルナットを引き込むことをラルゴに、正確にはラルゴの選定した部下3人に任せている状態なのだ。


「え、ええ……もちろん……!」


 冷や汗が一筋ラルゴの額を伝う。

 愛する主人(あるじ)のペトリカーナが気に入っているルナットとかいう青年がもしも彼女の檻に捕まった愛玩動物となるのであれば、ペトリカーナはそちらに夢中になってしまうのかもしれない。

 その懸念がラルゴの心をざわつかせ、ルナットの捕獲に専念できないでいるのだ。


 勘の鋭いペトリカーナがそのことに気がついていないはずがない。


 ……試されている。


 ラルゴはきちんと主人の望みを叶えることができる忠誠心があるか、試されているのだと思った。


「それと、そろそろ頃合いよね。あの " アバズレ母子 " を焼き上げようかしら。こんがりこんがりね」


 悪意を内側に飼っている美女はワイングラスの中を覗き込みながらそう言った。彼女には何が見えているのだろう。


 ラルゴはすぐに主人が言っていることに察しがついた。 " アバズレ母子 " とペトリカーナが呼ぶのは後妻オーマンとその唯一の血のつながった次女シェリアンヌ以外にいない。ラルゴにはわからない。なぜここまで彼女が二人を拒絶するのかが。


 ペトリカーナの描いたキャンバスの中には、憎悪で塗りつぶされたような色合いで、過激と不安感を表現した画風といえるようなものが描かれていた。母と子の絵。そこにワインの赤色が血のように染み込んでいた。


「アタシのルナットがあれらの元にあるのは我慢ならない。ええ、我慢ならないの。ルナット坊やはアタシのものなのだから。

 だから、ラルゴ。しっかりお仕事してきてね」





◆◆◆




「うわお! めっちゃ濡れた!」


 急な雨に降られた俺たちは、会場に駆け込んだ。会場というのは、お待ちかね、試験官のおじさんが開催する食事パーリィーの会場だ。豪華な食事が食べ放題というのだから、ワックワクが止まんない。


 なんか政治的に策略とかあるのかもしれないけど、この際どうだっていい。美味しいご飯がただで食べ放題だというのだから、詰め込めるだけ腹に詰め込んでやるつもりだ。


 雨ごときで俺の勢いは削がれるものか!


「ブルルルwww」

「のわっ! エビィー、濡れた時の犬みたいに頭を振らないでよ!」


 エビィーの奇行にイェーモが驚嘆の声を上げている横で、俺も真似してみようかと思ったが、近くで見ているシェリアンヌちゃんの教育に悪そうなので控えた。


 なんとも気がきくことに、係の人が綺麗な白いハンドタオルを一人一人に渡している。


 俺たちはそれで体を拭いた。


 テーブルには次々と豪華な食事が並んでいく。


「うわおいしそう! もう食べていいんですかね? いただきます!!」


 オーマンさんは慌てて俺を静止する。


「まだよ。先にガウスマンさんの挨拶があって、それから食事になるわ」


 お預けをくらって、お腹がぐうと鳴る。


 俺が一緒に来たメンバーは、エビィー、イェーモ、オーマンさん、シェリアンヌちゃん、それからよく知らないシェリアンヌ派の他の人たちだ。角刈りに丸メガネのお兄さんや手足の細長い女の人など、割と濃い見た目の人もいる。


 しかし、その中にメイさんはいない。メイさんは「少し外します」と言ってどこかへと行ってしまったらしい。「らしい」というのは、たまたま俺がトイレに行っていた時に、いなくなってしまい、伝言をイェーモから聞いたからだ。……もしかして、またアウスサーダ家のスパイ活動だろうか? メイさんも忙しいぜ……。

 ちゃんと入れ物をもらってメイさんの分もとってくるつもりだ。


 会が始まるとガウスマンおじさんが演説を始める。昼間の司会といい、さては演説好きの目立ちたがり屋だな。


 俺は興味がなかったので、周りが律儀に食事を我慢して話を聞いているなか、あちこちのテーブルにのっている料理を素早い手つきでバレないようにつまみ食いしていった。


 ン〜〜デリシャス!


 密かに舌鼓をうっていると、下の方から視線を感じる。


 ナニヤツ!?

 俺は視線の主を探し当てると、シェリアンヌちゃんが俺のことを不思議そうな目で見ていた。


 俺は人差し指を立てて「しーっ」とやって、賄賂としてテーブルから取ったチーズの挟まったクラッカーをそっと差し出した。


 受け取ったシェリアンヌちゃんは、怪訝そうな顔をしていたが、パクッとクラッカーにくらいついた。演説中は演出なのか会場の灯りが弱くなり、あたりは暗くよく見えなかったが、少しほっぺが赤くなったように見えた。美味しかったのだろう。


 挨拶が終わり、いよいよディナーが解禁となった。


 参加者の中にはお貴族様のようなパーティー用の高級そうな格好をした人もいたが、大抵は普段着だ。

 当たり前だ。選抜戦に参加しにきているのだから、ちゃんとした服なんて持ってきてる方が変だ。


 会はなんともちゃんとしていて、途中で催し物が開催される。


 怪しい民族ダンス、彫刻の発表、歌、飽きさせない工夫がてんこ盛り。


 ギルファス家の誇るバカ次男のテオファルドを見かけると、テーブルの一つで料理を食い散らかしていた。

 汚いたべっぷり……。こちらもある意味では飽きさせない見せ物だ。いや、見たくはないけどね。


 不機嫌そうに「うー!」とか「ごー!」とか駄々をこねている。なにをそんなに怒っているのか。

 もしかして、今朝お漏らししてしまったことをまだ根に持ってるのだろうか。


 すっかり第一子分のようになった洒落臭い子供こと、マーボロン・ギョスは、執事のセルドリッツェさんに「あれを取ってこい」だの偉そうに指示をしていた。人のいい執事さんは黙ってそれに従っている。やれやれ……。



 そのうちお腹も膨れてきて飽きてきたので、エビィーとイェーモを探検に誘った。


 メインの会場の扉から出ると廊下のようになっているスペースがあり、その先には関係者以外立ち入り禁止の貼り紙がしてある。


 なんだか探究心と好奇心をそそるフレーズではないか!


「ここからはいけないって書いてあるよ」


 イェーモがどこまでも良識的でつまらないことを言った。


「イェーモには中を見てみたいという乙女心はないの!?」

「えええ!?」


 彼女の思考にはこの先に踏み出すという選択肢自体がなかったようだ。


「なあ、関係者ってなんの関係者だろうなww?」

「この催しのだよ! 決まってんじゃん!」

「うーん。俺たちも広い括りで言えば、関係者に違いないってことだね……」

「いや違いなくなくない!?」


 エビィーと顔を見合わせて、頷き合ったあと、気持ち程度に置いてあるロープをまたいで、侵入を試みる。


 禁止されたところに立ち入る。これが冒険の醍醐味だ。


 灯りが弱く、あたりは暗くなってくる。


 引き止めようとするイェーモも、結局ついてくる。


 おおっ! なんかテンション上がってきた!

 ここから先に何が待ち受けているのか!?


 そう思っていた矢先、助けを求める叫び声が聞こえる。


 俺たちは声のする方へと走った。


「や、やめて!! あなたたちの言う通りにはならないわ!」

「ゲヘヘ……大人しくするんだな……!」


 一人の女の人をいかにも悪そうな二人組の男が追い詰めている。


 『身体起動』!


 すぐに俺は、一人の男の顎下にアッパーを叩き込む。


 同時に動いたエビィーは

「 「身体強化『怪力』」 」

 もう一人の男を投げ飛ばす。


 ヒュー豪快〜〜。


「エビィー、なかなかやるね!」

「お前もなっwwwww」


 なんとも間のいい俺たちは、格好良く悪漢をやっつけてしまった。


「ちょっと、あんたらなにや__


 敵は2人ではなかった。

 背後から忍び寄る影。


 もう一人の仲間の手がイェーモに触れる。だが、瞬間的に働いたさすがはイェーモの反射神経で、背負い投げをくらわされる。


「び、びっくりしたぁ! つい投げちゃったよ」


 投げ飛ばした本人のイェーモは驚いた表情をしている。


 これで悪漢は全てかな? 殲滅完了!

 俺は女の人に声を掛ける。


「大丈夫ですか? 変なことされませんでした?」


 優しく声をかけたつもりだったが、女の人は信じられないものでも見たかのような目つきでこっちを見ている。


 悪者はやっつけたというのに、どうしたことだ。

 それどころか、こっちを責めるような口調でこう言った。


「な、なにしてくれてるんですか!? もうすぐ劇の本番なのに、どうしてくれるのよ!!」


 ………ふぁ?



 そう。

 この女性はピンチでもなんでもなかったらしい。食事パーリィの出し物の一つでこれから劇をやるはずだったそうなのだ。


 なんのことはない。劇の本番前のリハーサルの最中だったということだ。


 あたりを見回すと、悪漢だと思っていた3人の役者は…………すっかり気を失ってしまっていた。


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