49話
その直後、ルリアお祖母様が慌てて屋敷から飛び出てきた。
「シャルル! 約束の時間より、3時間も来るのが早い!」
「いいや、全然遅い。ルリア会いたかった。君にお茶に誘われて嬉しくて、昨夜は眠れなかった」
ドラゴンの姿のまま、キラキラとルリアお祖母様に愛の言葉を囁いた。
「シャルル……まったく知らない間に、デュオン国の言語まで習得してくるとはね。そのドラゴンの格好のままだと、人々が驚き騎士を呼んで捕まるよ、早く降りといで」
「あぁルリアの所に、すぐに行くよ」
真っ白なドラゴンは庭に降りてきて、人型へと変わった。
人型となったドラゴンは真っ白な長い髪と、黒い立派なツノ、切長な水色の瞳。白と黒のタキシードと鱗状の太い尻尾を持つ、カサンドラ達とさほど歳が変わらない、若い青年だった。
その手には大きな赤い花束を抱え、髪をなびかせ優雅に庭の中を歩き、テラスで昼食を準備する、カサンドラ達に頭を下げた。
「こんにちは、ルリアにお茶に誘われてね。お邪魔させてもらうよ」
「どうぞ、ごゆっくりなさってください」
「シャルル様、お奥様とゆっくりして行ってください」
「シャルル様の服、カッコいいです」
アオ君がの言葉にシャルルはフッと微笑み。
「そうか、どこか変ではないか?」
「変ではないです。とても、お似合いです」
そんな2人のやりとりを、ため息混じりに眺めるルリアお祖母様。そのお祖母様の衣装もいつもの黒いローブではなく、襟元に真っ白いレースが施されたドレス姿だった。
(まぁ、ルリアお祖母様もおしゃれしているわ……もしかして)
テラスで昼食を準備中のカサンドラに、衣装のことを気付かれたことがわかったのか、お祖母様は慌ててシャルルを呼んだ。
「これ、シャルル! ほら中に入って、って……あんたタキシードを着てきたのかい? 普通の服でよかったのに……派手だね」
「何を言うんだい、ルリアがせっかくお茶に誘ってくれたんだ、精一杯オシャレをしてくるのは当たり前だ。これは手土産、ワレの山に咲く花だ薬作りに使ってくれ」
「これは珍しい、ノイバラだね。シャルルありがとう、大切に使わせてもらうよ」
2人は手を取り合い、ルリアお祖母様の部屋の方へと消えていった。それを見送ったカサンドラは、シュシュと顔を見合わせ、お互いの手を握った。
「ルリアお祖母様とシャルル様って、もしかしてお付き合いをなさっているのかしら?」
「ドラお嬢様、絶対にそうだと思います。お奥様のドレス姿、とてもお似合いでした」
昼食の準備そっちのけで、2人は盛り上がる。
アオは2人を見て、自分もシャルル様のような衣装を着れば。カサンドラも見てくれるのかと、あの衣装を手に入れようか真剣に悩んでいた。




