43話
カサンドラがフクロウで送った手紙は、すぐルリアの手元に届いた。ルリアは何事がと手紙を開き、目を通した彼女は……苦笑いを浮かべため息をついた。
「なんてことだい。人様をつかうとは……なんて、馬鹿なことをする」
仕方がないと。「明日の早朝、そちらに向かう」と書いた手紙を「頼むね」とフクロウに渡した。
♱♱♱
返信を待ちながら、カサンドラはギンに話を聞いていた。ギンの話で、彼の両親はあと半年は帰らないと言った。
この村に住む亜人族の人々は貧しく、カーシンでは働く場所も少ない。だから冒険者になる者が多く、一度冒険に出てしまうと半年から一年は戻らない。
「半年から一年ですか。ギンと弟さんはご一緒に行かないのですか?」
「あぁ……行きたくても行けないんだ。弟は生まれたときから、体が弱くてな。俺がここに残り面倒を見て、両親は冒険をしながら弟の薬を探している」
だが、まだ見つからないと、ギンは言った。
カーシンにあるシャノール村、ギンの家にいるカサンドラにルリアお祖母様の返信が届く。フクロウから手紙を受け取り、カサンドラは手紙に目を通して。
「ルリアお祖母様が明日の早朝、こちらに来てくださると書いてあるわ」
「ほんとうか……ありがとう」
「ギン、よかったな。今日は帰って、明日の朝にまた来るな」
「わかった。魔女様に診てもらえば……ラハも良くなる」
アオ君は「そうだな」とギンの肩を叩き、カサンドラを連れて家へと戻って玄関を開けると。シュシュが玄関に仁王立ちして、カサンドラとアオ君の帰りを待っていた。
シュシュがさっき、トイレに目を覚ましところ、ベッドとソファーに寝ているはずのお2人が家にいない。外へ探しにいきたいが……もしかしてお2人は恋仲? と考えて、大人しく家で待っていたらしい。
「ハァ? オレとドラが恋仲⁉︎ そんなんじゃない!」
「……シュシュ、あのね」
カサンドラはシュシュに今あったことを話すと「あの、イジワルのところへ行ったのですか!」と怒った。カサンドラもそれには考えがあるが、弟さんの症状を見たあとで、なにも言わずにいた。
(シュシュが怒るのもわかる。弟さんのことがなかったら。アオ君に近付かないでと、怒鳴っていたわ!)
プンプン怒るシュシュに、明日の早朝にルリアお祖母様がこちらに来たら「一緒に行こうね」と言うと、「ええ、あの輩からお嬢様を守らないと!」と、シュシュの怒りは一旦おさまった。
「さぁ明日は忙しくなるわ、寝ましょう。アオ君はタヌキの姿になってください。モフモフしたい……」
「えぇ⁉︎ ……モフモフ? し、仕方ないなぁ」
ポフンとタヌキの姿になってくれ、ベッドの上に乗った。カサンドラは嬉しそうにアオを抱きかかえた。
(眠れん……ドラが言った、モフモフってこれなのかぁ!)
と、アオはしばらく眠れなかった。
次の日の早朝、アオの家の扉が叩かれる。
カサンドラとシュシュより先に目を覚ました――ほとんど眠れなかったアオはタヌキのまま玄関を開けた。そこには黒いローブ姿の魔女様がいた。
アオは。家を教えていないのになぜわかった? と思ったが……魔女様だからと自己完結した。
「おはようございます、魔女様」
「おはよう、タヌっころ。カサンドラとシュシュはまだ寝ているのかい」
「あぁ昨日、冒険の他に色々ありましたから」
「そうかい。カサンドラが送ってきた手紙のことだね。あれはすぐに解決するが……紙に書いてあった"言葉を話す"という病気の子供が気になる。カサンドラ達が起きたらそこに向かおうか」
「はい」とアオは頷き、魔女様を家へと迎え入れた。




