28話
スズさんのパン屋の営業もあるから、スルールの依頼は休日の日、明日にギルドは依頼することにした。
ルリアお祖母様は『ここで解散、わたしは夕方になったら戻るよ』と街の魔道具、魔導書などを扱う古本屋に行き。私達は冒険者ギルドで、手頃な採取クエストを見に向かった。
「ドラ、スルールの採取クエストをギルドへ、依頼するのは簡単だけど……かなりの額がいるぞ」
と、お金の心配をする、アオ君。
カサンドラはそんな彼に。
「アオ君、お金の心配はいらないわ。私、けっこうお金持ちですもの」
そう。いまのカサンドラには王家から慰謝料、諸々の迷惑料などの入金。カサンドラの両親から、毎月少しだけの入金が入る。こちらは手切れ金……「公爵家に、2度と戻ってくるな」と両親が言っているのだろう。
黙ったカサンドラから、アオ君は何か感じたのか。
「……すまん」
と謝った。
「アオ君、気にしなくていいのよ。レベル上げと、生スライムのためですもの」
「私のお給金も少しだけなら、出せます!」
「あら、ほんと。シュシュのお給金はほとんど食べ物か、書物に消えているのに? フフ。私、前から思っていたのだけど。はたして、毎月のお給金が残っているのかしら?」
「残っています、ドラお嬢様! わ、私だって……ほんの、少しなら豚さんの貯金箱に貯めてあります!」
ぷっくり頬を膨らますシュシュに、カサンドラは笑う。初級クエストボードを眺め、楽しそうなドラとシュシュに。アオは「ありがとう」以外、何も言えなかった。
――助かる、カサンドラ。
アオ君はこのとき、とことん2人を……カサンドラを守ろうと決めた。
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翌日、アオ君とスズは冒険者ギルドに出向き、スルールの採取クエストをギルドに依頼した。掛かるお金は……カサンドラが気にせずドンと使ってと渡したので、受け取れる報酬金を高く設定した。
そのお陰か、ランクの高い冒険者パーティーがスルールの採取クエストを受けてくれた。本日の、夕方頃にはスルールが大量に集まったと冒険者ギルドから連絡を受けて。アオ君とスズは冒険者ギルドに向かい、スルールを受け取って戻ってきた。
何かあったら「これで呼びな」と、呼び鈴を渡されていた、カサンドラはパン屋の外に出て呼び鈴を鳴らした。しばらくして呼び鈴を聞いた、ルリアお祖母様が、空にホウキに乗り現れた。
「スルールが集まったようだね」
「はい。これが集まったスルールです」
「魔女様、ちょうど腕の立つ冒険者パーティーが街におりまして、大量にスルールが手に入りました」
スズが集まった、スルールの入ったカゴを見せた。
「ほぉ、たくさん手に入ったね。ちょっと持っていな」
お祖母様は魔法を使い。手際よくスルールの果実入りのお湯割りを作り。次にスルールの皮をナイフで薄く剥き、風魔法で乾燥させチップスにも作った。
「出来たよ。飲ませに行こう」
果実たっぷりなお湯割り飲み、スルールのチップスを食べたチロのお母様の体が黄色に光る。徐々にロンヌの花の毒花粉が抜けて、顔色が良くなり、熱も下がったのかベッドから起き上がれるまでになった。
チロのお母様は周りを見渡して。
「チロ、あなた……この人たちは誰なの? それに体が楽になったわ」
「ほんと? ママが元気になったぁ!!」
「……ユズ、良かった」
チロとスズさんは私たちの説明をして、ユズママに抱きつき大泣きした。今回集めて、残ったスルールは皮を剥いて食べてもよし。料理、パン作りにも使えるとのことで、カサンドラ達も貰って帰ることにした。
「ほら、2人とも喜ぶのは明日にしな。まだ熱が下がったばかり、無理はさせるなよ」
「はい! 魔女様、わかりました」
「うん、ありがとう」
また来ると、私たちは屋敷へと帰ることにした。荷馬車に揺られながら、スルールを剥いて食べてみると、口の中に広がる爽やかな酸味と甘み。
「スルール、甘酸っぱくておいしいわ! これなら何個でも食べれちゃう、屋敷の庭に実らないかしら?」
「ほんとうです。ドラお嬢様の言うとおり、何個でも食べられます」
帰りはホウキではなく、一緒に荷馬車の荷台に乗った、ルリアお祖母様はカラカラ笑い。
「そうだろう、このスルールの果実を好きなヒグマンという、かなり強いモンスターを倒さないと手に入らないからね。このスルールの中に種があったら庭に植えて、庭の井戸の水をかけるといいよ」
「スルールの種ですか?」
「あぁ、これまた滅多にみられないスルールの実の種だから、そう簡単には見つからないさ」
お祖母様の話に目を光らせた、カサンドラとシュシュは。アオ君の分を残して、残りのスルールから種を探した。




