童話:ごみ姫さまのお話
わたし達は生きている限り「ごみ」を出します。食べ物やその容器、ポリ袋、いらなくなった電化製品やおもちゃ、その他いろいろ。それらのゴミは廃棄物処理場に運ばれてるのはみなさん知っていることでしょう。ごみになる前は何かしらの夢だったもの。例えば飛行機のラジコンは少年にとっての夢だったでしょう。それらがごみとなり運ばれる場所はいつしかドリーム・アイランド、つまり夢の島と呼ばれるようになりました。
そんなところに住んでいる女の子が一人。髪はぼさぼさで服もぼろぼろ、顔や足は汚れ、歯抜けの顔で笑い、近寄るだけでひどい匂いがします。たった一人しか住んでいないからそこは彼女にとっての王国。彼女は夢の島のお姫様でした。名前を付けるとしたら、ごみ姫様でしょうか。
ごみ姫様にとって夢の島はとても楽しい遊び場です。いろんな物を大量のごみの中から見つけては、そのごみの物語を考えるのがごみ姫さまの一番楽しい遊びで、いつもそうしているのです。今日はお人形を見つけたようで彼女の王国にまた一人住人ができました。ごみ姫様の目には、わたし達ではごみの山としか思えない物でも、とても綺麗に映っているのです。その瞳はキラキラと、まるで虹を映す水晶のように。
ごみ姫様はお姫様です。だからお姫様らしくドレスも着ています。本当はそこらで拾ったボロボロの服ですが、彼女の瞳には綺麗なドレスに映っています。
彼女はそのドレスに名前を付けました。そのドレスの名は“理知”と言います。




