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弦代詩集

作者: ツナ川雨雪

秋の寒音




足下より寒さが這い上がってくる


それとともに 陶器のティーカップ 温かな湯気を


天井へと下から 導く


秋の昼下がりには 外を 寒音を鳴らす ヴァイオリンの弦と いっしょに 


歩く


空音のスーパーバイクの 排気音に ふたり


目を閉じ 暗闇 を あるく


二つの音を かき鳴らす 二人の「ね」の番人


悲しみの 歌を 聴かずして


済むことは 無い


黄土色のズボン 秋の枯れ草へと 「かえれ かえれ そこにいたい」 と


空き地の中に 埋もれながら


草木灰の色のスカートともに 倒れ込み 高い空を仰ぎ


目をつぶり 暖かな揺らぎ の中で まぶたの中の


有象無象を 一つへと導いていく


「ほら もう 考えている 暇はない」


このオレンジ色した赤い織物の きれはしが イツノ間に


この不完全な世界を 覆う


走り出した 枯れ草の上を 寒音となり 滑るように 吹き飛ばされるように








 霜上で踊る人形




とおく とおく から 響く 


太鼓の打たれる ね(音)


聞こえている 霜の上の人形


朝靄の中で こびと達が 影絵のように 踊る


ピーント張った綱の 島と大陸という名の孤島 つなぎ目


そこで私たち親指人形も 会話する




とおく とおく から 響く


鐘の ね(音)


金色の夕日の くすぶりを背に 踊りうたう 


太った猫と 痩せた猫の ランニング


今日一日じつ 四人と二匹は 元気に過ごせただろう


ピーント張られた綱の ビルとプレハブ つなぎ目


そう 我々には 厳然たる差がある


いな もう一つの めいには 


恐れすらない 足があるのだから―――呼吸を整え


急ぐ海岸線 の端を 緑と青の猫の人形が 浮かぶように飛ばす


バスの乗客 ひとり


寂しさに 包まれた 学校帰りの少女は 窓越しに写る


とまっているネオンサインの ごとく 視覚し その色合いの


懐かしさに 初恋の時の苦し紛れの 言い逃れの 言葉を


思い出す


ああ寂寥感など持たない猫たちは 


にゃーにゃーにゃあおっと


啼いた




我々は孤独じゃないけど 集団でもない


われわれの好きなことは 霜上で踊る人形達を忘れてしまったように




忘れてしまったあの 白色と白銀の光明




忘れてしまうこと 忘れてしまうこと




人形達はいう それでも 


やらなきゃならん やらなきゃならん やらなきゃならん








虚飾の崩壊とあたりまえの風景




ベランダに並んだ風鈴 少年は見つめる


ともに 長く カトリ線香に 燻されながら


夜風にあたった じいや は いない


やせっぽっちの体を つよくつよく 耐えて




入道雲が大きく 青いスクリーン 映える


僕の帽子は 赤く その灰色と 漆黒の宇宙に のみ込まれ


階下の少女は 穏やかに笑っている 見上げるほほに


少年の涙が ふりかかる




安らかに安らかに 眠れと 祈る 少年




少女の右手に提げられた虫かごから モンキチョウが逃げ出す


下から舞い上がり


逃げ込む場所もない 少年の 瞳に 黄色がふわふわと 映る


入道雲に手を振ることすらできない 少年に チョウチョは 


いまここを辞すと つげる


声帯すら持たない 昆虫のごときが 別れの告げ方を 教える




しゅっぴゅーしゅっぴゅーしゅっぴゅー




雨が降ってくる 


 


遠くから見守る入道雲の後ろで 見守る 太陽が 




きいた




帽子の少年と 虫カゴを持った少女の


笑い声を








 夏のつばさ




路面にふりつける雨


てらしだす2人と有象無象の水滴


けむる辺りの町並み


独りのバスのる初老の男のステッキが カッツカッツと


音を断つ大量の雨を 進み あるく


黒い猫が歩む道は 一つしかなく 選ぶ権利など持ち合わせていない


鼻の穴が水分で 苦しく 呼吸すらままならない


その中で 男と女は 身を寄せ合うだろう


いや 寄り添っているだろう


僕には もう何も見えない


うつむく僕の 視界には何もない


腹の下に潜む 


 潜んでいるだろう 自分すらも知らない


 恐怖と憂鬱


電車がレールを軋ませ ホームに入ってくる


引きちぎられた 雑草の切れっ端


車体に緑色の塗装が ほどこされている




虹色の窓から 虹色の窓へと 通り過ぎてく


太陽光で明るくなりはじめた 辺り一面


虹があふれる そう飛べるさ


そう飛べる




僕はひとりひとり 歩き出す


全員が歩調を合わせている


完璧な調和と旋律


翼を持たない筈の ぼくだって 私になれる




後背に けむる町を 写しながら


それをわかってくれる イキテイル者を探しながら




翼をもっている奴がいるところはわかってる


この町では無いどこかさ






 空気の塵




歌う歌 見つめ合う感情の火を


煙となり 水となり 灰となり 


消滅という名の因縁を ちぎりきれ




この思いをその掬い器に乗せて


歌う歌 寄り添いともに並ぶ ブランコのように


振り切れ 振れず またもとに戻る


原形という名の原形を ちぎりきれ




非常階段を上り 違う速さで君をさがす


歌う歌 悲しく昇り天高く 誰も到達できなかった


生まれ来るその年の 秋 君を見た気がする


君はまだいないのに もういるかのように


歓喜の涙を流した 人は業火から逃げてきて この世に生まれた


喜びの雄叫びだとつぶやいた 


だが悲しみの雄叫びだった


業火の塵となるべく生きるわけじゃない


そんなことはみじんも考えやしない




おおおおうまれてこのかた その目に暖かい灯火はあったのかい


無いだろう それこそが まみれている証拠さ


塵となり 塵となり 塵となり 


それで生きてゆこう


ごーんごーんごーん


古道具屋で買ってきた時計がもうソロソロだと


鳴り


悲しみはそろそろ抜け出そうじゃないかという


それで終りさ






 草原のキリンへと檻のヒューマニズム




僕らはやれるのかもしれない 涙を流すままにして


浮くように走っていたのさ 青雲の波打つ大地に 木の葉を食べながら


眠れない夜も千夜 とびこえろ 仲間と歌うこの声帯からでる 


みなぎるエネルギーのうた 


人には聞こえないさ どうせ 僕らには 近づけはしない


だから だから だから


奴らにばれることなど気にしないで 声帯が がらがら いう まで 叫び続けよう


僕らの 連れ合いは 一生離れはしない いつも孤独と戦っている


星の降る 万夜の藍色の空の下で 黄色に光る 月に 自らのまなこ を


むけて 気の向くまま


体を 感傷的な大地に 口から赤い唾液をこぼす あの独り独りの生命体の


至高という独采配 何年 何千年 繰り返し続く


僕らだけは 彼らより 高い所から見られる長老の証のような 


長い首で 平和を祈り 人には愚鈍と言われながら


歩こう 踏み外すような 大地の切れ目は ここにはない


長老が背中を向けながら ある時言った


我々の檻も 用意されているんだよ 子供達が喜ぶ


僕らの子供達は 泣いてる


あそこからは 何も見えやしないし 大地の切れ目もあるし


大地に触れながらの自由思考なんて ゆめのまたゆめ


我が子ラ 今歩く道 これが一番 安心できる 道なのだよ


ゆけ さあゆけ おそれることはない 大地の果てまで


命の果てが来るまでに






 ふつうの悲劇




恐れなど抱きはしない ストーブの上に置かれた湯気を立てる薬缶


あつく暖かくする炬燵につっこむ両足から つたわる ふつうの日常


柱は何も言わない だが人に語りかけられるのを待ってる




 真っ赤なシャツ


君を彩るのは君自身ではなく その1センチにもみたない


色づけられた第二の皮膚 それは美しく賞賛に値する


君はその皮膚で 色々な目を魅了してきた


美しくて良いんじゃない そんな言葉の裏にへばりついた嫉妬と共に


私はそれを抱くことができる でもその時だけ


いつも何時でも どれでもではない


君は逃げてゆくのか 茜色の空の下で 君来るのを いつも待つ


義眼めいたこの衰えてくる むなしさの色しかとらえられない 視界から


僕は君 逃げたのだろうか 扱いずらく煩わしい この共有存在感から


あれを求めることには 疲れ果てた


しかし 君が もう良いよ こんな赤い色は脱ぎ捨てて


別のトンネルから入り口からはいる そんな冷たい言葉をいう


僕はふわふわと膨張と収縮をくりかえす 君の姿に 慈愛を乞う


トンネルのの闇は 私としか抜けられぬと独り思う


だけど君は 白い輪を作った黄色い髪をふわりと揺らしながら


私の目にもまぶしい 大笑顔で くろいパンツをはいた足を 


君の疲れをいつも癒してくれる 何も変わらず慣れたあの場所へと 向ける


でも 君も知っている事だが もう慣れた場所ではない 


ただ楽しく明かりが差していて もう二度と同じ感情の色を包むこと無い


赤いシャツが掛けられた 希望の元地になるはずの場所なんだ


私は 去った 後のこと知らない


君も 去った後のことを 知らない




 


 無色透明の喜色


空き地で遊ぶ少年達 泥だらけになった小麦色の肌


麦わら帽子が 破れていない ほこりかぶらない麦わら帽子


いつも汗で黒くなる帽子の内側 今日も少しだけ気持ちが悪い


そう思っているのは その少年だけではない


少しだけ気持ちの悪さを教えてくれる 昆虫たち


小川をのぞく 少女達 水で濡れた服に ひんやりとした鬱陶しい風が吹き込む


病に伏せる 老人は 家の窓から 外を見る 澄んだ空が


長年つかってきた目玉のせいで 霞んで見える


安堵する 今日は生きていられると


腹の減った足を引きずる労働者は 複合要素の入った水道水を飲む 汚れた生命体を


飲み込んではいないかと 心配しながら


日中少年達を喜ばせる不規則な熱に汗をかいた赤子を 団扇で涼ませながら 


ラジオを聴きたいと思う母親 


ちゅーうーちゅうーちゅう あの雑音が無機質とは遠い有機質を 感じさせる


虫の付いた夏野菜を収穫して これから井戸水で 人の口に入れるにはゴミと呼べる虫や


土を洗い落とさなければならない 老婆は ふと手の平を眺めてしわくちゃだと思う


歳を取るのは嫌だと口にはしてみるが 手の平を見ると シワもなくて汚れてもいない自分の手を 考えると 無性に気持ちが悪いし あり得ないと おもう




辺りはいきなり光り


人々が感じていた 安堵を消し去る


ラジオはキレイに音が無くなり


手の平のシワを キレイに削り汚れを熱で奪い去る


麦わら帽は汗の黒さを消し去られて真っ黒けになる そして昆虫たちは恐ろしいほどの高熱でキレイにさせられる 気持ち悪さが無くなるが 生命はもはや潜んではいない


水は人間でも容易に飲めないくらいの浄化剤を入れられたがごとく 透明感をだす


水を飲んでいた男は 努力まみれの汗まみれの自分に水があわなくなったと感じながら


あっという間に死んでいく


鬱陶しい風を感じていた少女は何もかもをキレイにしていく熱風を感ながら


笑う口を開きながら あっという間に死んでいく




それは死人累々の始まり




キレイにしていった男達は 「これでよし」とうなずき合いながら 狂気の汗を手に握り安堵の空から喜び合う


こんなに汚れがキレイになる姿を見られるのなら 何度でもやってやる


タトエ奴らが諦めたとしても・・・




次はどこかで つぎはどこかで




チャンスはあるさ チャンスはあるさ そう言う






 夏のさむい台風


砂浜に打ち寄せる 今日一番早い波を探そうとして早起きした少年時代


有りそうでなさそうな答えを探す無意味さを


空腹と寝不足の中 地球に降り注ぐ最大の光源を眺める 


私が最初だと思っている波は 他人にぶち壊されることはなかった


人によって違う答えが出るなどという くだらない迷妄な諸学の知識を取り入れることを拒絶していた私には関係ない


子供の頃の私は分からず屋であった


答えがあるのか解らない難解な数学の定理の証明ように


渦巻く私のこころ 


巻き貝が転がっている 耳に押し当てる


私には新鮮なことだった 海の音がする


その行為に 静学することを学ぶ 目を閉じる


貝が聴かせる海の音色に迷子になりそうになりながら 自分の立っている砂浜をイメージする くっくっと押し返してくる砂を靴の裏に感じながら それがどれくらいの深さまで続いているか 考えずにはいられない


そして目を開ければ見えるであろう海の波 を 苦労しながら 想像する


浜風に磯の香りを感じて 何のにおいか知りたくて嗅覚に集中する




目を開け イメージから解放された私は  ひとり 静かな砂浜で


夏の寒い台風 が来るのを待つ


その台風というのは 年月歳月を連れてきて わたしを日々年寄りにしてゆく


あの光源は いくつもの 光景をこの目に映し出すようになることになるということを


今の私は知っているが 


私は知らない 






  機械の不完全な かなしき愛




機械技術工にたくすその愛を 乱刷されるその紙の母紙に書いても良いかい


人は喜び 喜び愛の詩だといい 持て囃すか 何もない顔で見たというだろう


ならボクは書かないし書けないと言うしかない




公園の噴水の前で踊る君を見てる


これを愛というのだろうか 恋というのだろうか


愛しい きみの可憐さ きみの中から湧き出る喜び  舞うようなステップに


ボクは 弾き出される


ボクを愛すること その心から生まれる麗しさ というきみ


ボクには自分のせいでそうなったなどと思えない 愛も恋もわからないから 


人並みの恋と言うけれど 自分の前に現れる この恋の姿や愛の姿は 


彼女のもので ボクのものではない 最初からボクのものではない


自分中に吸収してしまいたい そんなもどかしさは 人であるボクには耐え難い


君は舞う 可憐なステップで


愚かなボクは その日史上最強の微笑みをうかべ 目を細めて やさしく


ただやさしく ただやさしく ちぎれそうな想いでやさしく ながめ 


良いな そのステップ 今度教えてと他愛のないことのように言う 


君のようには出来ないとわかっている


それは愛や恋を知らない 悲しき機械のよう




ボクは 調子合わせが出来ない






 楽園への切符




奏でられる音楽は聞こえず 衣擦れの音もしない


私は誰なのだろうか 私は何者にもなれない なれたとしたらそれは 嘘 なのだろう


マグカップで飲むコーヒーが好き 好きであるが故に体調がすぐれぬ時のまずさは


筆舌しがたい そんなことを思いながら 今日半分過ごさせていただいたと安堵する


何もない無事を願いたいけれど 願いすらも届かぬほど世は厳しい だが 落胆するにはまだ早い 私が居る限りにおいて 時間を与えてくれる ものが居る それは神なのだろうか 否違うだろう 真理の法則なのだろうと 蒙昧気味に甘える そしてついえるときは きっと今より楽なのだろうと 勝手な想像をする 巫山戯ているのだ私は 立ち上がり二足歩行して皆生きている 私はそれを真理だとは言わない 当たり前を真理というならば 人間にあらずんば生命ではないと言う短絡思考と何も変わりはしない 思考知恵を感じさせないものは非生命体であるという 肉体を持ってその個である考えを捨てがたい我々の陥りやすい欠陥の結果である 生命の法則は解らない 我々は尊厳すべきと言うが 敬う姿を見せながら簡単に同胞の生命を蹂躙する そのうえ私たちは身の回りの物質が与えられている法則すら知らないで 勝手に 気づかぬうちに効率よくそれを運用することをしている 


それは良いんだとそれが良いんだと 彼らに与えられた法則も知らず 人類が発見 発展させてきた法則は当たり前になる こんなに単純で良いのかなとも時々思う 子供達にそれを教えることが当たり前だと言い賢い救世とも言う


 悲しいかな 真理ではない 


 そもそも 善悪すらしらない 


そういうと生命間の善悪のことを持ち出すでしょう 


仏陀に目を移そう偉大な真理の法則の固まりの存在 彼の人が現れるときには存在する全てのものことが喜び尊ぶ 迷える全てのものに 真理を与えられる 真理とは善である 間違いがない流動性がない 生命がそれをひとたび得れば離すことはない 迷いを 生命の流動性を 肯定する真理は 悪である 前述の 生命間の善悪も迷い 大いに流動的である 真理ではない 仏陀は無常を説いたという人もいるが おそらく人間の知恵に頼りすぎた結果導き出された自分の悟りの境地だろう それは哲学という 当たり前で流動的な迷える生命の本質はそれを見抜いた仏陀の話の序の口にしかすぎない 悪を説いた しかし われわれはそのての話に傾倒する 現状が迷える生命だから真理を受入れることは難い 無常から得られる知恵感覚流動的な真理 悪から離れなさいよ と お叫びになったのが 仏陀であると だから 残っていない 当たり前である 善知識とは語られないものである お弟子方も語られない 確かに そこには真理があり 無類の知恵があるのに 善きことも語られるがそれは言葉になる 言葉に出来ることが真理の一端でしかないのは いま憐れな人間である我々があることで解る 




これはコーヒーのお供には苦すぎる 楽園気分もぶっ飛ぶ ああ極楽極楽






 ひとりちから男




草花を愛で、歌を好む 


ひとりでいること 無数の金星が 頭上でひかる


わたしが わたしで いることに 意味がくだる 


そのときわたしは ぐっすり ねむりこける わたしの身体がひかるとき


屋根裏のねずみたちが まぶしい まぶしい といいながら わたしの


うたを歌う 私には聞こえない けれど 宇宙のどこかで 私のことを ばかではないと


いってくれている ことに きみは よろこぶ わたしは 寝ている 


そのことを教えてくれるのは 偉大なちちである ははである よろこびである


わたしは かなしみを あたえず くみ水のような うつくしさを 彼らにかんじている


でもいまは はなれている それが かなしみではないことを しってほしい


きみが 苦労しているとき わたしは 喜びに満ちている そのことを


ゆかいなことと かんじてほしい さかさにしたら きみはくるしい 


けれど よろこびにみちた 行動というものが たしかにあることを 信じてほしい


たしかに ある ことの ないという おろかさを あまみずとともに ながしてくれる


かんじょうが 湧き起こることが かんぜんにあることを わたしのそんざい きみのそんざい の あることと ともに こころにねんじて せなかを のそのそとさせながら


いきるという 人間の証を しるべの証として 天高く うちあげよう




 


 時空いと易し




我らの尊厳とは打ちひしがれる 形骸の前にうつモノであろうか


長昔の寺にぶら下がる鐘のように 齢を数え その めずらしきを 善とするモノか


善アリ そこにただあるのは善であるがゆえ 守り抜いてきたと 寺守 のれきし 精神性を興ずるのも 一興 しかし 我々が知りたいのは それではなく 善のただ鐘 その打たれる音 の 美しさにある それは 無限の音が 存在することの証 時空というと 空間 を いい その所は 広がりを持つ 広がりとは 我々の行動が許されるか 許されないかで あるなしの論議にある しかし 音を完全に消し 音の存在を はっきりと認識し それのみにした場合 いかなる世界の支配下にあるであろうか 無数の耳を持っていても聞こえない音があるのが理解できまい しかし 無数の音は存在する 無数の色が存在する いろ と一口に言っても 塗りつぶせる対象は 我々の知る所のモノでしかない 平たく言えば 三次元空間的に存在してくれているモノである そらはどうであろう そらまで 青まで 雲までの間には色が無く 無色透明 とただ単に思うのも 自由 しかし その無色透明の 空間には色がつけられない 高い 法則の存在するためである われわれは 色つきの土壌に足をついての三次元的考え方しかできないが 彼の空間には 無色透明の法則がある 切り離されているのは せめてもの 神的存在の大慈悲 我々が解明できるのは 色としての無色透明の発露であろう みどりもきいろもあかもあおも 色としての法則の解明はされている 三次元的直感において 全てと このことは 人類として恥じるところである かといってそれについて私が論じたりすることはない 普通に人間的な喜びに埋没している愚人なのだから それに 思いつきかもしれない 色は思想的に当てはめていくときに使う 追求をしている人ならば当たり前に使っているだろう 普通そうだろう 気づくとそうに違いない しかし この色の使い方が頭の世界では許されないことだったらどうしようと考える 万の法則に当てはめるための無限数の色の一部である いろは この人間界に当てはめられて法則を導き出さなければならないものである 難しい しかし これは 意外に簡単に頭に入り 理解することは不可能に近い なぜならば ありとあらゆる 違う法則から なる 大慈悲で あるからだ われわれに 法則に裏打ちされた 小さな事でも良いが慈悲の行為があるだろうか 感情論ではないしっかりとした 法則 決まり あるだろうか あるのだとしたら こんな混乱を来してはいまい 何故慈悲か


難しい問題であるが 大慈悲の存在は 仏陀に於いて明確であろう 感情論 人間的感覚 来る論理的慈悲 の 先の細いことは言うまでもない 生老病死 の到来によって 消え去り 無慈悲な順番待ちの楽 を 手に入れてから後となる 普通に 当たり前 しかし それをも超越したのが 諸仏である 当然である 慈悲の絶対なる法則達こそが 生命の救われる道であるのだから 色々な 悟った 存在がいるが 慈悲のない悟りを得たモノが後世に残っていますか 慈悲の法則の大小はたしかに存在するだろう いろいろ 形が違うのだから 法則を見て 悟り 絶対の慈悲心起こさない者のいうことは 全て邪である 法則に裏打ちされた慈悲心というモノは 生老病死などでねじ曲がることはない 唯一無二 である 恐れ多く 歓喜も多し


私はというと ただただ こころ より すがり祈るしかない存在 それは十二分に理解している しかし 邪論の横行より 記さねばいけなかった

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