俺のサガ 後
まず、前回一時間後に投稿しますとかほざいときながら10日以上経過してしまったことについて、今後は一週間おき(月・火のどちらか)に投稿しますので許してください(デジャブ)
てなわけで、第3話は後半です(タイトルの通り)なのでまぁ前話をみてからみてくださいな。
あらすじ:臆病で自信のない主人公がクエストのために訪れた村で暴れだした怪獣と対峙...村人たちの様子を見ていたら放っていくわけにもいかずなんとか倒したものの犠牲者が...一夜明けた今日目の前に現れたのは——。
「剣士さまぁーー!おてんとさまがのぼりましたよぉ!!」
大きな声で俺を起こすのは昨日であったアイリスだ。俺は昨日村に現れた怪獣を倒すことができた。自分でもどこからそんな力と勇気が湧いてきたのか後になって不思議だった。あの時は我も忘れていつの間にか街を襲う敵に切っ先を向けていた。
「剣士さまってばぁ、ママがおいしい朝ご飯を作ってくれたよぉ!」
天使のようなその笑顔は寝ぼけた俺を一瞬で覚醒させた。
昨日は命かながら逃げてきた傷や汚れが目立って気に留めなかったがなかなかのかわいさだ。実の妹を見てるかのようであり、純真無垢でくりくりとしたその大きな瞳がこちらへ向けられていると少女とわかっていながらにやけてしまうほどだ。
「あぁ、何から何までごめんな。」
「何言ってるのよ、剣士さま……!昨日アイのママを助けてくれたのは剣士さまでしょ…?」
「そうだったな……」
昨日の犠牲者は一人だったがそれはこの村で極悪非道の限りを尽くし牢に入れられていた冒険者カインだったのだ……。アイリスの母親は俺が介入したおかげで難を逃れれたらしい。
それを聞いてさいなまれた俺の心が少し楽になったのは確かだ。
でも——
「あんちゃん~、ひでぇよぉ。死んだのオラだけじゃんかよ~」
俺の方で大粒の涙を流し泣き叫んでいる男がいる。さっき述べた冒険者カインだ。どうやら幽霊となって俺の前へ姿を現したらしい。つまり俺は今カインの霊によって呪われてる……のか…?
「ちょっと黙ってろよ……後でもっかい話聞いてやっからよ。」
「なんかいった……?」
「いや…なんでもない。」
「はやく下へ降りてきてね!!」
アイリスの表情はとても豊んでおりその一つ一つが実に愛くるしい。俺の心臓へと突き刺してくる。
俺はアイリス達と朝食を終えたらすぐさま借りている二階の部屋へ戻る。
で、さっきから泣きじゃくってる亡霊の話によれば
「オラはぁ……グスッ…クエスト攻略のためにこの村へ来ただけなんだよ…ズゥー…なのにオラの泊まる宿についてみればベッドで人は死んでるし、間が悪く凶器みてぇなもんを触ってたら人が入ってきて捕まっちまったんだい…」
だそうだ。
さっきから泣くかしゃべるかどっちかにしてくれよ。とてもじゃないが聞きづらい。
「でよぉ、あれとあれよと牢屋みてぇなとこに入れられちまって…オラは平凡な冒険者だぞぉ!誰も聞く耳や持ってくれねぇんだい。それで途方に暮れてたら地響きが聞こえてきていつの間にか死んでたんだよぉ……ジンジデグレェェ!!!」
顔の孔という孔から液体を垂れ流しにして引いてしまうような残念な顔になって俺に訴えかけてきた。
「でもよ…お前のその恰好じゃ……」
この世界で死んだ者の魂が成仏しきれなくてこの世にとどまっているという話はよく聞くが、その姿、容姿は死んだときのまんまになると言われている。
冒険者カインの姿はどっからどう見ても気味の悪い道化師の姿でしまいには服のところどころに血のような深紅の液体がしみ込んでいる。
「どっからどう見ても殺人犯じゃねぇかよ……!!」
「違うんだい……オラの出身の村では満月の夜になると道化師や死神みてぇなまやかしの姿になるって決まってんだいよぉ」
「なにも、この村へ来てまでやんなくてもいいだろ…!!」
「ゆるさねぇぞ…この恨み末代まで呪ってやるー……!!」
そう叫びながら俺の首を絞めてくる、苦しい。どうやら物理的反応はあるみたいだ。
「ブエェ…ぐるしい……ヤメロッテ…」
ドシャーァン——俺につき押された亡霊はその勢いのまま棚へとぶつかり中に入っていた小物や本をぶちまけた。
*
しばらくして俺は有効期間のすぎたZ級クエストの紙を屑籠に捨て、アイリスの家族と別れに告げた。すこし心に孔があいたようだ…。
「おい、どこ行くんだいさ…!!」
「ギルドに戻るんだよ、クエストも結局失敗したし。それに、あの調子だと村もすぐ復興できそうだしな。」
「オラはどうすんだよぉ」
「好きな場所へ行って来いよ、初恋の人にあってくるだの故郷へ戻るだの成仏できる方法を探せばいいだろ。」
「オラはあんたの人縛霊だぜ、あんたが行くところにオラはいるんだぞ。」
「なんだよ人縛霊ってゴロわりぃな!!…てか俺はお前を殺してねぇよ。」
「オラはあんたに殺されたと思ってるんだい、だから直接じゃなくてもあんたの人縛霊なんだぞ」
あーこれは何言ってもついてくる奴だ……。
「それにだいよ、あんたあの少女と離れちまっていいのか」
「なんのことだ…?確かにアイリスはかわいいがさすがに俺の恋愛対象じゃないし、いろいろ問題があるだろ……」
「なに顔赤くしてんだい。オラが言ってるのはあんちゃんのあの能力、あの少女がいてこそだい」
赤らめた顔を一瞬で戻しさっきの言葉をなかったかのように
「どういうことだ」真剣な顔つきで答える。
「オラが死んじまってからなんか千里眼のようにいろんなものが見えるようになっちまったんだい。幽霊の特技なんかもしれねぇんだが、あんたの能力はあのパツ金少女に呼応して発動してるみてぇだいよ。」
俺の能力……?何のことかさっぱりわからない。仮に昨日怪獣を倒せたのがそのスキルとやらならいったいいつ身についたんだ。
頭の中で昨日起きたことすべてを思い出せる限り振り返る。
「まさか……」
ひとつ思い当たる事がある。昨日俺は丸うさぎに襲われて気を失っていた…夢だと思ってたがもしあれが本当だとしたら……可能性はなくはない。
いそいで振り返り昨日の洞窟へと駆け出した。
「どこ行くんだいよぉ…」
*
記憶を頼りに雑木林をずかずかと進んでいく。記憶が正しければここをまっすぐ通れば近道になるはずだ…。
しばらく走っていると目の前にはサファイア色からエメラルド色へと変化していく僅かな光が見えた。
「あれだっ……」
「だから何だいよぉ」
中へ入り昨日不思議なウサギと出会った場所へと向かう。
「この辺のはずなんだけどな、くそっ…来てみたら何かわかると思ったのに……そういえばお前、その千里眼でどこまでわかるんだ。」
「どこまでって言われても、オラ自身びっくりしてんだかんな…!?」
そんなことはどうでもいいとにらみつける目線を感じたその幽霊は言葉を続ける
「まだよくわかんねぇけど、人間のエネルギーの流れみてぇなもんが見えんだ。例えばあんたがあの怪獣へ一撃をくらわせようと飛び上がったとき少女とあんたの体がリンクして青白い光をあげ、その点と点が線で結ばれんだいよ。」
「ってことはアイリスが俺にエネルギーってやつを与えたってことが…?」
「たぶんそうじゃねぇんだい。線といってもその中でエネルギーが通ってるわけじゃなく、なんて言えばいいだろか…少女の思いみてぇのがあんたの魂と反応してあんた自身が莫大な力を身に宿すってかんじだい。」
あいまいな説明を受けてまだよく理解できてない俺は少し思案する。
「ってことはこの能力は俺自身が持ってるものって事か…やっぱりここで何かあったんだ…覚えてないだけで。」
んーと声を上げながら必死に昨日の出来事を思い出そうとする。
そこへぴょんぴょんと音を立てて昨日のウサギが跳ねてくる。
「あっ…お前。昨日の丸うさぎ…!!俺の体に何かしたんだろ…!?」
「オカミサマ……ブジセイコウシタ…ミタイ」
「オカミサマ…?俺の言ってのかそれ」
「プレインズのシンリンのマモリガミのフォース…イショクセイコウ」
こちらの質問に直接答える意思はないらしい。
「フォース、移植?この力、お前のもんなのか?」
「ゲンセイビビシイセイナルチカラのシフトはトリオコナワレタ。ソノチカラはテンカムソウのムテキのフォース」
そのセリフの意味を理解しないまま黙り込んでいると、洞窟全体から輝きが失っていくのが見て取れた。
「この洞窟のフォースがあんちゃんに吸収されて行ってるだい…!!」
「なんだって…!?」
俺には見えないが、この亡霊には見えるらしい。確かに昨日に比べると明らかに薄暗いエメラルド色になってるし、その光はほとんどきらめきを失っている。自分ではそのフォースとやらが身に入ってきてる感覚は一切ない。
洞窟のすべての輝きを吸収したのか周りに存在するのは入り口から差し込む陽の光のみだけになった。
「おい、丸うさぎどうして俺なん……」
どうして自分が守り神のフォースの器になったのか問いただそうとしたが、振り返ってみるともうそこにはなにもいなかった。
「てことはよ、あんちゃんが森の守り神ってののフォースを受け取ったから怪獣は暴走したって事になるよな……」
こちらをまじまじと睨んできた。
「結局あんちゃんのせいだいよ……オラの命かえすだいよぉ…!!」
またも首を絞められたが今度はすぐさまほどいた。
そして、頭の中でさっき目の前で行われた会話?を整理する。
守り神のフォース?それが俺の中に宿って怪獣を倒したときみたいにあれだけ圧倒で来たっていうのか……
てことは
「このフォースを使えば魔剣武カップにでて、あわよくば優勝も狙えちゃったり……」
「なに気持ちわりぃ、笑顔作ってんだい。あんちゃんは今世界最強になったってことだいよ。」
「世界最強?」なんだそのかっちょういい響きは。
「あんちゃんがあの怪獣を倒す時、あの怪獣のエネルギー……といかフォースというのかい。それが一気に縮小したんだい。あんちゃんの1000分の1にな。」
「つまり…俺の能力は1000分の1…ならどんな相手にも効くのか?」
「オラに聞くなよ。憶測にしかすぎねぇけどよ、ただこのエメラルド色の洞窟はそこいらのサファイア洞窟とはちがって、その台地に存在するとされる守り神の住処だい。まさかあんちゃんそんなことも知らねぇで、この洞窟に足を踏み入れたわけじゃねぇだいよな…?」
あーかみねかみ…ととぼけたことを言いながら目の前でチカラある目つきでこちらを見てる亡霊を見る。
「あんちゃんは神と等しい存在になっちまったんだよ。」
かみ......??
見てくれてありがとうございますぅ~❣❣
次回はたぶん月曜にあげるとおもいます。あげます絶対に()
今後の展望はあまり考えてないので自分でもどうなるかよくわかりませんが、どうか温かく見守ってください!
下からぜひ評価をお願い致します。
★★★★