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俺のサガ 前

チャンピオンになったサガがどうしてあれほどの圧倒ぶりだったのかがわかる原点物語でござんす。

前後半とわかれちょりますので、後半もぜひみておくんなまし。

◆◆◆(決勝の1年前)◆◆◆


 俺がこれほどまでに強くなったのは一年前のことだ。


 ギルドのクエスト攻略のために訪れたのは青く淡い光を放つ洞窟だった。クエストのレベルはZ級。聞こえはいいけどランクとして下の下だ。Z級は報酬が豪華で効率がいいから受けただけ…….だった。


 大陸南に存在する巨大な原生林、プレインズの森に生息する固有の脊椎生物七色のヘルシェンの捕獲といういたってシンプルな内容だ。ヘルシェンというのは簡単に言えばリス科の動物でこのプレインズの森にしか生息しない固有種だ。


 俺は動物博士じゃないからプレインズの森(生物)の専門書、リス科のページを片手に開きながらこの大森林を散策していた。


「えーなになに、青いサファイア色に光る洞窟の中に巣をつくる生物。夜行性……」


 なんだあっけない。Z級は身の安全が担保されてるから見つけちまえばこっちのもんよ。


 俺は安直に考え洞窟内へとずかずか足を踏み入れた。その洞窟が陽の光で発光色を変えてるとも知らずに……。専門書にも注意書きがなされていたが当然そんなものには目を通していなかった。


子供でも受けるZ級だぜ?


 そして、中に入ると多種多様な生物が棲んでいた。虹色の羽をもつ蝶、くぼみの水を飲む淡いエメラルド色のパピー、そして入り口はサファイア色に輝いていた岩肌もいつのまにかエメラルド色にその姿を変えていた。


異世界に来たような気分だ。誰の手も及ばない自然が今目の前に形成されている。


「ナニをオモトメか、オモトメか…….」


突然岩陰からあらわれたそれは胴の部分が端折られ顔面に四肢を取り付けただけかのようなウサギのような生物で、小さく跳ねながらこちらへ近づいていた。


うぅ……何とも言えない不気味さに一歩引いき無意識に腕を手前に構えた。


「なんだ…….この不気味なやつは……。おっとだめだかまってちゃ、陽が沈むまでにかえらないと……。」


しかし、洞窟の奥へ行こうとするとそれを立ちふさぐように進路を切ってきた。


「すまんなぁ、ちっこいのには今はかまってられねぇんだ……。もっとでかくて綺麗なやつを探してんだけど知らない?」


冗談でそんな発言をしてみたが帰ってくるはずもなく……


「あぁくそっ、俺は早くこのクエストをクリアして来年に開かれる大会の準備をしなきゃいけねぇんだよ、もっともっと強くなるためにな。こんなところで道草くってるわけにはいけねぇんだ。俺はよえぇからよ。もっと特訓して村の代表に選ばれ、胸張って凱旋できるようにしなきゃいけねぇんだよ。そのために……」


無意味な殺生はしない主義だが俺にはそんなことを言ってる時間がなかった。世界が平和になって戦争もなくなり、長い間の太平が続いたことにかこつけて大陸の国々の王たちはその権力をより強く保持するようになった。その方法はもちろん国民からの搾取で。


平和になったからと言って必ずしも庶民(おれたち)の生活が良くなったわけじゃない。かくゆう俺も村へ久々に顔を見せたら妹が病に伏していた。病院は今時どの村にも存在する。だけど今でも妹は相変わらずだ……。不治の病ってわけじゃあねぇ。病院にさえかかれば数か月の治療ですむ……。


「俺は強くなんねぇといけねぇんだよ。誰にも負けない無敗の鬼に……!!な、だからそこどいてくれよ…….。」


「ゲンセイビビシイセイナルトコロ、モトメルモノのジユウサイリョウのママに」


その存在の処理を仕切る前に目の前の物体は液体へと変わりその身もエメラルド、スライム状態へと変化し俺の体へ飛びはねてきた。


「うわっ、冷てぇし気持ちわりぃ……!!」


それは瞬く間に前進へ広がり俺はその場で暴れた。


「ぐふっ…….くそっ」


前進へまとわりついたそれはついに俺の身をすべてつつみこんだ。どんどんと頭が白くなり息ができなくなっていく。


俺の冒険はここで終わるのか——


脳裏に色鮮やかな過去がフラッシュバックする。あぁこれが走馬灯ってやつか。

村を出て同じ門下生だったクラキングとの思い出だ。


「なぁ、サガ。俺は今日で村へ帰るけどよ。またどっかで会ったときは、コテンパンにしてやんよ。」


「あのクラクラキングが言うようになったな……。おぅよ!もちろんそん時も返り討ちだ。」


「俺は強くなるよ。サガ、君の1000倍にね。」


今どこで何してるんだろうか。

一通りの抵抗をしてみたが、その甲斐虚しく俺の意識はそこで途絶えた。



しばらくし、て俺は目が覚めた。何日たったかどうかもわからない、そもそも現実だったのか夢なのかすら今は証明する手多ではない。目が覚めたもののまだ視界が定まらず頭も回らない状態でおぼろげな記憶をたどる。


はっ……!!


両の手を体にペタペタと輪郭を確認しどこも異常がないか確認した。


「やっぱ夢か……あんな気持ち悪いウサギ、専門書でも載ってなかったしな……」


夢であってほしいという願望と、専門書に基づく根拠を掛け合わせ、依然起動しきってない頭に言い聞かせた。


「ここって……」


徐々にはっきりしつつある視界であたりを見渡すとそこは、プレインズの森へ旅立つための拠点として借りていたログハウスの宿屋だった。


俺がおぼろげな意識を手探りで確かめていたら突如、ドスゥーンドスゥーンという地響きが俺の意識の中へ入ってきた。外へ出てみるとそこには高さ20メートルの森の半分はある森固有の生物がこの村を蹂躙していた。

ちっぽけな冒険者が集う小さな村は瞬く間に破壊させられていた。


半分覚醒した状態で急いで一階へと降りる。



「剣士様、どうかこの小さな村をお救いください」各所で剣を帯刀してる冒険者であろう者に村人たちはすがっていた。


「大丈夫だ、この村にはローギランス王国の騎士団長様であらせられるサガ・イーランド様がいらっしゃる。これでトミガミ様の怒りを鎮められる…!!」


あっやべぇ——


そう声を上げたのは俺の寝泊してる宿主だ。さきの発言の真偽はもちろん、宿のグレードを上げてもらうために吹いた俺のはったりだ。こんな小さな村には情報なんて行き届くはずもなくましてやここは東の小さな国……。


「オホン、俺がこの村にいる限りあんな怪獣には好きには……させない…….」


足が震える。あんな奴に勝てないだろ、もっと他に強い奴いないのかよ。


それでも反比例のように高まる村人の期待、俺の周りにはいつのまにか村人の群衆があつまっていた。


おいおい、もうこれ後には引けねぇよ。どうすんだおい。


そんな俺の焦りもむなしく目の前の怪獣は躊躇なく次々に村を破壊する。


「剣士さま……!!ママをたすけて……!!」


群衆のなかのポツリとかわいい子供がつぶやいた。アイ——

その少女は俺の妹と装いは違うが顔は瓜二つだった。


——こんなところで逃げてどうする、悠長なことを言ってる間にも怪獣の新劇は止まらない。小さい村にも俺みたいな奴にも尊敬のまなざしで接してくれてるやつが大勢いる。そんな奴らに恩返しの一つもできないでなにが剣士だ……!!


「俺に任せろ……!!なぜなら、この俺は大陸一の剣士なのだから……!!」


「君、名前は?」


「アイリス……!ママはまだ…」


「大丈夫だ。俺はあの怪獣の1000倍強い」

無意識のうちに昔の友のセリフが出てきた。


森の幻獣だかなんだかしらねぇが、村をめちゃくちゃにし妹を泣かす奴は絶対に許さない。


俺は駆け出しアイリスが指さした方向へ向かった。


怪獣の全長は約10メートル、これ以上被害を出さないように仕留めるには頭を狙うしかない。それが狙えるのは……。村入り口にある見張り台!(約8メートル)


まず屋台の上、民家の屋根へと軽快にのぼり十分な助走と距離を取り思いっきりジャンプした。見張り台の屋根へ左足を着地させ次の右足で剣を抜くと同時に高く飛び上がった。


ダリャァッ——



陽は沈みあたりは被害の概算と負傷者の治療の手当てに慌てふためいていた。

俺は倒した怪獣の前に座って虚脱感にさいなまれていた。


俺の実力から言えばあんな怪物倒せるはずもないが、アイリスを見てると虚勢を張ってでも挑まないわけにはいかなかった。


怪獣の正体は森の守護神トミガミ様とあがめられていたものの化身だという。俺たち冒険者が森を好き勝手に探索しかき乱していたのが原因らしい。村の人たちは俺たちを責めるわけでもなく逆に手厚い手当てをしてくれた。


「剣士……さま……。」


俺の下へ来たアイリスは俺に憂わしげな顔を見せていた。


負傷者は27人、犠牲者は1人——


他の冒険者たちは二次災害を防ぐべく各々村人たちを救出すべく動いていた。

被害者は1人。これじゃあどんなに強くたって意味がないじゃないか。


ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーッ——


悲しみにさいなまれた男の叫びだけが茜色に染まる空へと虚しく消えていった……


サガにも友達がいたんですね。あれ、前の話でコテンパンにしてませんでした...!?

それはともかく、足がすくんだサガにも勇気という名のパワーが発動。ビビってた怪獣を仕留め上げるが犠牲者が......


見てくれてありがとうございますぅ~❣❣

下からぜひ評価をお願い致します。

★★★★


後半は18時から上がりますのでそちらもヨシナニ

面白いと思えたらブックマークお忘れなく~❣❣

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